富士重、クリーンロボット事業を縮小・撤退へ 元部長の不正問題を受けて

2012年2月21日 17:27

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 富士重工業は20日、同社のエコテクノロジーカンパニー クリーンロボット部において不正経理が行われていたと共に、経済産業省、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、科学技術振興機構(JST)からの委託事業・補助金事業に関する不適切な請求が行われていたことが判明したことを受け、クリーンロボット事業について、「将来における縮小・撤退を視野に入れた事業の見直しをはかる」としている。

 当面は引き続き同社の一部門として事業を継続していくが、新規受注は中止するという。また、既に注文している顧客への製品納入が完了した後は、メンテナンス及びアフターフォローを中心とした事業としていく予定。

 富士重は、1989年に清掃機器の自動化研究をスバル研究所(当時)で本格化。1992年には清掃ロボット試作1号機を納入した。その後、「エレベーター連動清掃ロボットシステムを実用化」、「マンション共用部屋外型ロボットシステムを実用化」、「農業用ロボット、オフィスエリア清掃ロボットシステムを開発」などの実績がある。人員は正規従業員7人、嘱託従業員1人の合計8人。2010年度売上高は2億1,700万円。

 今回発覚した不正経理および不適切な請求は、元クリーンロボット部長の指示によって行われていたことが判明している。元クリーンロボット部長は当初、会社の正規の手続きを経ずに使用する資金を生み出すためや、クリーンロボット部業績の赤字決算回避を目的とした粉飾決算のために不正経理を行っていた。その後、社外でクリーンロボット事業を行うことを目的に、その受け皿とする自らが設立に関与した企業への資金移転を行うようになった。

 また、不正の原因について、富士重は、「クリーンロボット部の製品であるサービスロボットの市場は、現時点では極めて小規模であり、当該業界において元クリーンロボット部長は一定の評価を受けていたことから、属人的にビジネスを進められる状況にあった。また、新規事業であるクリーンロボット部は、社内の他組織と業務上の関連性が極めて低く、また小規模であることから、独自の判断で日常的な業務運営を行うことができる環境にあった。社内では支払い承認ルールの整備をはじめ、業務監査の実施、内部通報制度の整備などを通じて不正経理リスクへの対策を講じていたが、元クリーンロボット部長は上記の特殊な状況・環境を利用し、外注取引先と共謀し証憑を偽造するなどの巧妙な手口による不正を行っていた」と説明している。

 なお、富士重は20日、元クリーンロボット部長(2月17日付懲戒解雇)を、詐欺の疑いで栃木県警察に告訴した。

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