三菱商事、ドイツ海底送電インフラ事業に参入 

2012年2月10日 16:54

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プロジェクト地図(画像:三菱商事)

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 三菱商事は10日、オランダの国営送電事業者のTenneT Holding B.V.(以下、TenneT)が保有するドイツ海底送電資産BorWin 1及びBorWin 2(以下、BorWin海底送電線)の事業権の内、49%を取得する事を、TenneTと2月9日に基本合意したと発表した。取得に関する総額は約200億円(約2億ユーロ)となる。同事業権取得により、三菱商事は送電事業者以外では初めてドイツの送電事業へ参入する事となる。

 TenneTと三菱商事は、2013年5月までにBorWin海底送電線の完工を目指す。完工後のBorWin海底送電線の送電容量は合計1,200MWとなり、総資産規模は1200億円(約12億ユーロ)となる予定。また、BorWin 2には現時点で世界最高電圧(300kV)となる最新の直流送電技術を採用する。送電技術には交流送電と直流送電があるが、今後は長距離で大容量の送電に適する直流送電が海底送電の主流になると見込まれている。

 また、BorWin海底送電線はケーブル全長が約400kmの、洋上風力対応としては世界最大規模の海底送電線として、北海に建設予定の洋上風力発電所からの送電を担う。なお、TenneTと三菱商事は、BorWin海底送電線及び付随する洋上・陸上変電設備を20年間保守・管理していく。

 ドイツは、2020年までに電源供給に占める再生可能エネルギーの割合を主に洋上風力の拡充により、現在の17%から約35%に引き上げる事を目標としている。海底送電インフラ事業は、洋上風力発電で作られた電力を需要地である陸上に確実に送電するという低炭素社会の実現に不可欠な機能を担うものであり、洋上風力発電の増加に伴い、今後も市場の拡大が見込まれる。

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