【相場展望】年初3日の海外市場次第では波乱のスタートの可能性も

2012年1月2日 10:17

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フューチャー:1月2日~6日の株式市場見通し】

■海外要因に神経質な地合いに変化なし

  来週(1月2日~6日)の日本株式市場(2日と3日は休場)については、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感が根強く、引き続き海外要因に神経質な地合いに変化はないだろう。国内に当面の買い手掛かり材料が見当たらないうえに、年末12月30日の外国為替市場でユーロ売り・円買いの動きが加速しただけに、年初1月3日の米国株式市場や外国為替市場の動向次第では、波乱のスタートとなる可能性もあるだろう。軟調な動きが続いている中国・上海株式市場の動向にも注意が必要だろう。

  ただし、米主要経済指標で米景気の先行きに楽観的な見方が広がり、米国株式市場が堅調な展開になれば、日本株式市場でも安心感につながる可能性があるだろう。また1月中旬以降には11年10月~12月期の決算発表が始まるため、株式市場の関心が企業業績見通しにシフトする可能性もあるだろう。

  前週(12月26日~30日)の日本株式市場では、日経平均株価(225種)、TOPIXともに4週ぶりに上昇した。ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感がくすぶり続け、年末年始休暇を控えて薄商いの中、外国為替市場でユーロ安・円高が進行したことも買い手控えにつながったが、一段と売り込む動きは見られず、米国株式市場が堅調だったことが安心感につながった。

  年内最終取引となった12月30日の米国株式市場で、ダウ工業株30種平均株価は前日比69ドル48セント(0.57%)安の1万2217ドル56セントと反落したが、10年末(12月31日)との比較で見ると640ドル05セント(5.53%)上昇した。

  外国為替市場では、年末年始休暇を控えて取引が閑散としたが、週後半にはリスク回避の動きで円が買われる展開となった。円売り市場介入に対する警戒感が後退したことも円買いの動きにつながった。そして年末30日の海外市場で、ドル・円相場は1ドル=76円80銭~90銭近辺に円が上昇した。ユーロ・円相場は1ユーロ=99円60銭~70銭近辺に円が上昇し、約11年ぶりのユーロ安・円高水準となった。

  ユーロ圏債務危機問題に関しては、28日にECB(欧州中央銀行)が発表したバランスシートが過去最大に膨らんだ一方で、民間銀行の準備預金残高が過去最大となったため、ECBが期間3年の流動性供給オペを実施したにもかかわらず、流動性が低下しているとの警戒感につながった。28日のイタリア短期債入札では、落札利回りが前回入札時に比べて大幅低下したが、29日に3年債と10年債の入札を控えていたため警戒感の後退につながらなかった。29日のイタリア10年債入札では、発行額が目標上限に届かなかったが、平均落札利回りが6.98%となり、前回(11月末)入札時の7.56%に比べて小幅ながら低下した。この入札結果に対して、欧米株式市場では一定の安心感につながったが、外国為替市場では利回りの高止まりとしてネガティブに反応し、ユーロ売りが加速する展開となった。

  欧州主要国の国債格付け引き下げに対する警戒感もくすぶり続けた。23日にロイターが、欧州政府高官からの情報として「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はユーロ圏15カ国の格付け見直しの結果を来年1月にも発表する見通し」と伝えていたため、年初にも一斉格下げが発表されるのではとの警戒感が強まった。

  年初の1月3日にはフランス短期債、4日にはドイツ10年債、5日にはフランス長期債などの入札が予定されている。さらに12年1月にも発表の可能性がある欧州各国の国債格付け引き下げ、そして12年1~3月期のイタリア国債大量償還(合計1129億ユーロ)に対する警戒感が強いだけに、外国為替市場でユーロ売り圧力が継続する可能性は高く、株式市場でも警戒感を強める可能性が高いだろう。

  米国の主要経済指標には明るさが増している。23日には、米11月耐久財受注が前月比3.8%増加となり、10月改定値0.0%増加から改善して市場予想も上回った。米11月新築住宅販売件数(年率換算)は31.5万件となり、10月改定値31.0万件から改善して市場予想とほぼ同水準だった。米11月個人所得は前月比0.1%増加、個人消費支出は前月比0.1%増加にとどまり、いずれも市場予想を若干下回ったが反応は限定的だった。27日には、米10月S&Pケース・シラー住宅価格指数が前年同月比3.4%低下して市場予想より弱かったが、反応は限定的だった。米12月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は64.5で、8カ月ぶりの高水準となり市場予想を上回った。29日には、米12月シカゴ購買部協会景気指数が62.5となり、前回62.6とほぼ同水準だったが市場予想を上回った。米新規失業保険申請件数は38.1万件となり、前週改定値36.6万件から1.5万件増加して市場予想よりも悪化したが、4週平均が37.5万件に低下したことを好感した。米11月中古住宅販売成約指数は前月比7.3%増となり市場予想を上回った。

  そして年明け3日には米12月ISM製造業景気指数、4日には米11月製造業新規受注、5日には米12月ISM非製造業景気指数、米12月雇用リポート(ADP)、米新規失業保険申請件数、6日には米12月雇用統計の発表を控えている。良好な結果を受けて米景気の先行きに楽観的な見方が広がり、米国株式市場が堅調な展開になれば、日本株式市場でも安心感につながる可能性があるだろう。

  また1月中旬からは米国で、下旬からは日本で、11年10月~12月期の決算発表が始まる。このため株式市場の関心が、12年12月期や13年3月期の企業業績見通しにシフトする可能性もあるだろう。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価(30日時点の8455円35銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同8479円43銭)に対してはマイナス0.28%となり、前週末に比べてマイナス乖離幅をやや縮小した。しかし上値抵抗線として意識される形になっただけに、当面は25日移動平均線の突破が注目点だろう。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、1月4日の野田首相記者会見、5日のマネタリーベースなどがあるだろう。その後の注目イベントとしては、11日の11月景気動向指数CI速報値、12日の12月景気ウォッチャー調査、23日~24日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。

  海外では、1月1日の中国1月PMI(製造業購買担当者景気指数)、2日のユーロ圏12月製造業PMI改定値、3日のシンガポール10~12月期GDP速報値、独12月失業率、米11月建設支出、米12月ISM製造業景気指数、米FOMC議事録(12月13日分)公表、4日のユーロ圏12月総合・サービス部門PMI改定値、ユーロ圏12月消費者物価指数速報値、米11月耐久財受注改定値、米11月製造業新規受注、米12月自動車販売台数、米住宅ローン・借り換え申請指数、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、5日の独11月小売売上高、ユーロ圏10月鉱工業受注、ユーロ圏11月生産者物価指数、米12月ISM非製造業景気指数、米12月チェーンストア売上高、米12月雇用リポート(ADP)、米12月企業人員削減数(チャレンジャー)、米新規失業保険申請件数、6日の独11月鉱工業受注、ユーロ圏11月小売売上高、ユーロ圏11月失業率、ユーロ圏12月景況感・業況感指数、米12月雇用統計、ローゼングレン米ボストン地区連銀総裁の講演などがあるだろう。その後の注目イベントとしては、12日のECB理事会(金利発表と記者会見)、13日の米1月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、30日のEU首脳会議などが予定されている。なお2日は豪州、中国、香港、シンガポール、英国、米国などが休場、3日は中国が休場となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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