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【相場展望】海外要因に神経質な地合いに変化なく、クリスマス休暇で個別物色が中心
【株式市場フューチャー:12月19日~23日の株式市場見通し】
■中小型株や材料株の個別物色が中心の展開
来週(12月19日~23日)の日本株式市場(23日は休場)については、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感がくすぶっているため、引き続き海外要因に神経質な地合いに変化はないだろう。前週(12日~16日)は日経平均株価(225種)、TOPIXともに2週連続の下落となったため、一旦は自律反発する可能性が考えられるが、クリスマス休暇で閑散となる可能性も高いだけに、中小型株や材料株の個別物色が中心の展開となりそうだ。日経平均株価8400円台での下値固めや、25日移動平均線の回復もポイントになるだろう。
ユーロ圏債務危機問題に関しては、格付け会社による欧州各国の国債格付け引き下げ観測が広がり、リスク回避の動きが優勢になった。すでにEU首脳会議前の5日と6日には、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がドイツやフランスを含むユーロ圏15カ国の国債格付けとEFSF(欧州金融安定基金)債の格付けを引き下げる可能性を発表していたが、12日にはムーディーズ・インベスターズ・サービスが12年第1四半期にEU加盟27カ国の格下げを検討する可能性を明らかにし、フィッチ・レーティングスもユーロ圏各国の格付けに対する圧力が高まったとの見方を示した。このためイタリアの10年債流通利回りが再び7%台に上昇するなど市場は警戒感を強めた。
またフィッチ・レーティングスは、14日に欧州の大手金融機関5行の格付け引き下げ、15日に欧米大手金融機関7行の格付け引き下げを発表し、16日には12年1月末までにイタリアやスペインなど欧州6カ国の国債格付けを引き下げる方向で見直し、フランスの格付け見通しについてもネガティブに引き下げるとした。さらにムーディーズ・インベスターズ・サービスは16日、ベルギーの国債格付け引き下げを発表した。引き続き、欧州各国の国債格付け引き下げに関する格付け会社のコメント、欧州各国の国債入札や流通利回りの動向に注意が必要だろう。今後の焦点は、メルケル独首相が強硬に反対しているユーロ共同債の導入や、ECB(欧州中央銀行)による重債務国の国債購入拡大に関する議論の動向となる。
米国の主要経済統計を見ると堅調な内容を示す指標が増加している。9日には、米10月貿易収支で貿易赤字が434億ドルと前月比1.6%減少して市場予想以上に改善した。米12月ミシガン大学消費者信頼感指数は67.7と11月の64.1から上昇して市場予想も上回った。13日には、米11月小売売上高が前月比0.2%増加にとどまり前月改定値の0.6%から鈍化して市場予想も下回った。15日には、米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数が9.53と11月の0.61から大幅改善して市場予想も上回った。米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は10.3と11月の3.6から大幅改善して市場予想も上回った。米新規失業保険申請件数は36.6万件と前週改定値38.5万件から1.9万件減少して市場予想以上に改善した。米11月鉱工業生産は前月比0.2%減少と11月の前月比0.7%増加から悪化して市場予想も下回った。16日には米11月消費者物価指数(CPI)が前月比0.0%で変わらず、食品・エネルギーを除くコア指数が前月比0.2%上昇となり、いずれも市場予想とほぼ同水準だった。概ね堅調な結果となり、米景気の2番底に対する警戒感は後退している。
外国為替市場では、関心がユーロ圏債務危機問題に集中したため、ドル・円相場は概ね1ドル=77円50銭台~78円10銭台で小動きに終始した。ユーロ・円相場ではユーロ売り圧力が強まり、1ユーロ=101円台前半に円が上昇した。このため1ユーロ=100円突破の可能性が警戒されるなど、引き続きユーロ・円相場の動向が注目されるだろう。
前週末16日の米国株式市場の株価指標は高安まちまちだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比2ドル42セント(0.02%)安と小幅反落、S&P500株価指数は前日比0.32%高と続伸、ナスダック総合株価指数は前日比0.56%高と続伸した。米議会が12年9月末までの歳出案で合意して政府機関閉鎖の危機を回避したことを好感して序盤は買い優勢だったが、欧州各国の国債格付け引き下げ懸念が強く方向感に乏しい展開だった。格付け会社フィッチ・レーティングスは12年1月末までにイタリアやスペインなど欧州6カ国の国債格付けを引き下げる方向で見直し、フランスの格付け見通しについてもネガティブに引き下げるとした。米11月消費者物価指数(CPI)は前月比0.0%で変わらず、食品・エネルギーを除くコア指数は前月比0.2%上昇となり、いずれも市場予想とほぼ同水準で反応は限定的だった。
このため週初19日の日本株式市場では、様子見ムードを強めて方向感に乏しいスタートとなりそうだ。その後は欧米株式市場やユーロ・円相場の動向を睨みながら、中小型株や材料株の個別物色を中心とする展開が想定される。軟調な展開が続いている中国・上海株式市場の動向にも注意が必要だろう。
テクニカル面で見ると、日経平均株価(16日時点の8401円72銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同8484円25銭)に対しては0.97%のマイナス乖離に転じた。75日移動平均線(同8645円36銭)に対してはマイナス2.81%、200日移動平均線(同9271円64銭)に対してはマイナス9.38%となり、いずれもマイナス乖離幅を広げた。当面は25日移動平均線を早期に回復するかがポイントだろう。
■注目スケジュール
来週の注目スケジュールとしては、国内では20日の10月景気動向指数改定値、7~9月資金循環統計、日銀金融政策決定会合(1日目)、コンビニエンスストア売上高、21日の11月貿易統計、1~3月資金循環統計速報、日銀金融政策決定会合(最終日)、22日の日銀金融経済月報、スーパーマーケット売上高などがあるだろう。なお23日は天皇誕生日で休場となる。
海外では、19日のユーロ圏10月経常収支、スウェーデン中銀金融政策会合(1日目)、欧州議会委員会でのドラギECB(欧州中央銀行)総裁の証言、米12月住宅建設業者指数、米2年債入札、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁の講演、20日の豪中銀理事会議事録公表、独12月IFO業況指数、独1月消費者信頼感指数、スウェーデン中銀金融政策会合(最終日)、米11月住宅着工件数、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、米5年債入札、21日の英金融政策委員会議事録公表、ECB理事会(1日目)、米11月中古住宅販売、米住宅ローン・借り換え申請指数、米7年債入札、22日のニュージーランド7~9月期GDP、英7~9月期GDP確報値、英7~9月期経常収支、ECB理事会(最終日、金利発表なし)、米7~9月期GDP確報値、米7~9月期企業利益改定値、米10月住宅価格指数、米11月シカゴ連銀全米活動指数、米11月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値、米新規失業保険申請件数、23日の仏7~9月期GDP改定値、米11月個人所得・消費支出、米11月耐久財受注、米11月新築一戸建て住宅販売、米11月住宅着工許可件数改定値などがあるだろう。なお26日は豪州、香港、シンガポール、米国、英国が休場、27日は豪州、香港、英国が休場となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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