東芝、二次電池「SCiB」がホンダの電気自動車「フィットEV」に採用

2011年11月17日 14:21

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SCiB 20Ahセル(画像提供:東芝)

SCiB 20Ahセル(画像提供:東芝)[写真拡大]

 東芝は17日、同社の二次電池「SCiB」が、本田技研工業の電気自動車「フィットEV」に搭載される電池として採用されたと発表した。フィットEVはホンダから日米において2012年夏より発売予定で、東芝は量産向け電池モジュールを納入する。

 東芝は、昨年12月からホンダが埼玉県や熊本県と実施している次世代パーソナルモビリティの実証実験における実証試験車両にSCiBを提供するなど、これまで、ホンダとともにフィットEVに搭載する電池モジュールを開発してきた。今回の採用は、SCiBの持つ優れた長寿命(サイクル)性能をはじめ、様々な使用環境における電池性能が、総合的に評価されたもの。

 SCiBは、車載用に適した二次電池。負極に同社独自の材料を採用したことにより、急速充電性能、長寿命性能を有する。また気温マイナス30℃などの過酷な使用条件下でも短絡や劣化の原因となるリチウム金属が析出しにくく、気温40℃以上でも電池の劣化が少ないという特長を持ち、幅広い環境下で急速充電と放電が可能。

 SCiBセルを組み合わせた電池モジュールは、電池の定格容量に対して実使用範囲が広く、さらに一般的なリチウムイオン電池と比較し、回生受け容れ特性が優れているため、車両の電費の向上にも寄与する。そのため、SCiBを搭載する電動車両の走行距離を伸ばすことができるという。

 SCiB20Ahセル単体に80Aの電流を流して充電した場合、15分で電池容量の80%、さらに追加3分で95%程度の急速充電が可能との結果が得られており、一般的なリチウムイオン電池と比較すると、約半分の時間で充電が可能。急速充電時にも、発熱量が少ないというSCiBの特性により、電池を冷却するための電力を省くこともできる。さらに、SCiB電池モジュールのフル充放電の繰返し回数は一般的なリチウムイオン電池と比較して2.5倍以上(セル単体は4,000回)で、将来のリユース用途にも貢献する電池となっている。

 東芝は、今回の受注を機に、電気自動車向けSCiB事業の取り組みを加速していくととともに、スマートグリッドなどで利用される電力貯蔵向けなど新たな市場での事業を拡大していく。

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