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【外国為替市場を検証:ユーロ・円相場】1ユーロ=101円台~103円台で推移
【外国為替市場フラッシュ:10月3日~7日の週のユーロ・円相場】
■4日には一時1ユーロ=100円70銭台まで円が上昇、ユーロ安・円高の展開継続
10月3日~7日の週のユーロ・円相場は、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念、南欧諸国へのソブリンリスク拡大懸念、ユーロ圏の金融システム不安が強まり、4日の東京市場では01年6月以来となる1ユーロ=100円70銭台まで円が上昇した。その後はややユーロが買い戻されたが、概ね1ユーロ=101円台~103円台で推移し、ユーロ安・円高水準での展開となった。
ユーロ・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末9月30日の海外市場ではユーロ売り・円買い優勢となり、終盤は1ユーロ=103円10銭近辺に円が上昇した。29日の連邦議会でEFSF(欧州金融安定基金)機能拡充案を可決したドイツが、今後のEFSFの追加拡充に否定的な姿勢を示したため警戒感が強まった。ユーロ圏9月消費者物価指数速報値が3.0%上昇と8月の2.5%上昇から拡大して市場予想も上回ったため、ECB(欧州中央銀行)の利下げ観測が後退して株式市場が軟調だったこともユーロ売りにつながった。
週初10月3日の東京市場では、1ユーロ=102円40銭~50銭近辺に円が上昇した。ギリシャ政府が「11年、12年の財政赤字の対GDP(国内総生産)比率が目標を上回る見込みとなった」と発表したことなどで、リスク回避のユーロ売りが優勢となった。3日の海外市場では、ユーロ売りが加速して終盤に1ユーロ=100円90銭台まで円が上昇した。ギリシャ金融支援を巡る民間負担拡大の観測、フランス・ベルギー系の大手銀行デクシアの経営不安問題などで、一段と警戒感が強まった。
4日の東京市場では、早朝の時間帯に1ユーロ=100円76銭まで円が上昇した。3日のユーロ圏財務相会合でギリシャへの融資問題の決定が先送りされたため警戒感が強まった。その後は1ユーロ=100円70銭台~101円40銭台で推移した。円売り市場介入への警戒感などで一旦はユーロ売りが一服したが、終盤になると欧州株式市場が下落してスタートしたことを受けて再びユーロ売りが優勢になった。4日の海外市場では、1ユーロ=100円80銭~101円20銭近辺でモミ合った後、終盤になると米国株式市場が上昇に転じたことを受けてユーロが買い戻され、1ユーロ=102円50銭~60銭近辺に円が下落した。
5日の東京市場では、ユーロ買い戻しが一巡して1ユーロ=101円60銭近辺に円が上昇した。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによるイタリア格付け引き下げや、EFSF機能拡充に関するユーロ各国の議会批准でスロバキアは連立政権のパートナーとの協議が不調と伝わったことが警戒感につながった。終盤は1ユーロ=102円00銭~10銭近辺だった。5日の海外市場では、1ユーロ=102円70銭近辺に円が下落する場面があった。メルケル独首相などEU首脳から欧州銀行の自己資本増強についての発言が相次ぎ、欧州株式市場が大幅に上昇したことが好感されてユーロが買い戻された。終盤になるとECBの利下げ観測も台頭して1ユーロ=102円台半ばでモミ合う展開となった。
6日の東京市場では、1ユーロ=102円10銭台~60銭台で推移した。日銀金融政策決定会合やECB理事会を控えて様子見ムードを強めた。6日の海外市場では、バローゾEU委員長の「銀行の資本増強に向けてEU加盟国による協調措置を提案」との発言を受けて、序盤はユーロ買い戻しが優勢になった。その後1ユーロ=101円70銭近辺に円が上昇する場面もあったが、再びユーロ買い戻しが優勢となり、1ユーロ=103円10銭近辺に円が下落した。ECB理事会では政策金利が据え置かれたが、銀行に対する無制限の資金供給期間の延長など流動性供給策の拡充を決定し、EU各国が域内銀行に対する資本注入に踏み切るとの観測も強まった。オランダ議会がEFSF機能拡充案を可決したこともユーロ買い戻しにつながった。
7日の東京市場では、ユーロ買い戻しが一巡して1ユーロ=102円80銭近辺~103円10銭近辺で小動きだった。米9月雇用統計も控えて様子見ムードも強めた。日銀金融政策決定会合では現行の政策金利据え置きを決定したが、市場の反応は限定的だった。7日の海外市場では、一時1ユーロ=103円80銭台に円が下落する場面があった。米9月雇用統計で非農業部門就業者数が前月比10万3000人増加して市場予想を上回ったことを好感し、ユーロ買い戻しの動きとなった。しかし、格付け会社フィッチ・レーティングスによるイタリアとスペインの格付け引き下げが警戒感につながり、終盤は1ユーロ=102円60銭台に円が上昇した。
ギリシャのデフォルト懸念、イタリアやスペインなど南欧諸国へのソブリンリスク拡大懸念、ユーロ圏の金融システム不安、ユーロ圏のリセッション(景気後退)に対する警戒感が強い状況に変化はなく、ユーロ安・円高水準での展開が続いている。そしてネガティブな材料が出るたびに、ユーロ売りが加速する展開となっている。
ギリシャに対する次回融資問題では、EU、ECB、IMFのトロイカ合同調査団によるギリシャ査定が行なわれ、その報告書に基づいてユーロ圏財務相会合で決定される予定だが、当初のスケジュールが遅れ、不透明感も増している。EFSFの機能拡充に関しては、ユーロ加盟国での採決が終了する10月中旬までは安心できないとの見方が広がり、今回の拡充案が各国で承認されても規模的に不十分という見方も指摘されている。域内銀行に対する資本注入の動きはユーロ買い戻しの材料だが、ギリシャのデフォルト懸念やユーロ圏の金融システム不安の落ち着きが当面の焦点という状況に変化はない。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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