【株式市況を検証】米国や欧州の株式市場の動向に神経質な展開

2011年9月17日 18:24

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フラッシュ:9月12日~16日の週の日本株式市場】

■日経平均株価は14日に一時8500円台割れ

  9月12日~16日の週の日本株式市場では、世界的なリセッション(景気後退)やソブリンリスク拡大に対する警戒感が根強く、引き続き米国や欧州の株式市場の動向に神経質な展開となった。外国為替市場のユーロ・円相場で円高が進行したことも弱材料視され、特にギリシャのデフォルト(債務不履行)に対する警戒感の影響を受けた1週間だった。

  前週末9日の米国株式市場が大幅下落したことを受けて、週初12日の日経平均株価(225種)は大幅下落し、終値で年初来安値を更新するなど軟調なスタートだった。13日には一旦は反発したが、14日には取引時間中に一時8500円台を割り込む場面があり、終値でも12日の安値を下回って年初来安値を更新した。しかし、12日以降の米国株式市場が反発していることを受けて、15日と16日には日本株式市場でも買い戻しが優勢となり、日経平均株価は大幅反発した。そして週間ベースで見れば、日経平均株価、TOPIXともに2週ぶりの上昇となった。

  前週末9日以降の欧州ソブリンリスクに関する動きと、米国や欧州の株式市場の反応を見ると、9日には、ECB(欧州中央銀行)のシュタルク専務理事の突然の辞任が発表され、ギリシャなどに対する金融支援策に関してECB内部の意見対立が警戒された。ギリシャ政府がデフォルトを宣言するとの噂も広がった。12日には、イタリアが中国の政府系ファンドに国債購入を依頼したとの報道や、トリシェECB総裁がユーロ圏の銀行に対する資金供給を無制限で実施すると表明したことを受けて、過度な警戒感が和らいだ。13日には、独仏ギリシャの首脳が14日に電話会談を実施するとの報道を受けて、警戒感が和らいだ。14日には、独仏ギリシャ首脳の電話会談でギリシャ支援の継続を表明したため、安心感が広がった。15日には、日米欧の主要中央銀行が協調してドル資金を供給すると表明したため、金融システム不安への警戒感が後退した。16日には、ユーロ圏財務相会合でギリシャが財政赤字の削減目標を守ることを条件に10月の次回融資を承認するなど、支援継続の方針が確認されたことで安心感が広がった。

  米国主要経済指標には依然として強弱感が交錯している。14日の米8月小売売上高は市場予想を下回った。15日の米8月消費者物価指数(CPI)は市場予想以上に上昇し、米新規失業保険申請件数は市場予想以上に増加した。米9月ニューヨーク州製造業業況指数と米9月フィラデルフィア地区連銀業況指数は市場予想以上に悪化した。16日の米9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は前月比で上昇し、市場予想も上回った。しかし、いずれも市場の反応は限定的にとどまったため、市場は悪材料を織り込んだとも考えられる。

  外国為替市場のドル・円相場は、リスク回避のドル売り・円買い圧力、量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、円売り市場介入に対する警戒感が交錯する状況が続き、概ね1ドル=76円台~77円台の水準で膠着感を強めており、円の高止まり状況が続いている。ユーロ・円相場では12日に一時1ユーロ=103円90銭台まで円が上昇する場面があり、01年6月以来のユーロ安・円高水準となったことも日本株式市場の下押し要因となった。ただし週後半にはユーロ買い戻しで1ユーロ=106円台に円が下落した。

  需給面で見ると、外国人投資家の売り越し基調に変化の兆しも見え始めた。寄り付き前の外国証券(9社ベース)経由の注文動向は、前週8日に29営業日ぶりに売り越しが止まったが、16日には差し引き930万株と大幅な買い越しとなった。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価の週末16日時点の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線に対してプラス0.66%、75日移動平均線に対してマイナス5.58%、200日移動平均線に対してマイナス9.65%となり、いずれも前週末9日時点に比べて乖離が縮小した。東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は週末16日時点で112.7%となった。

  日経平均株価の終値ベースで騰落状況を見ると、週初12日は前週末(9日)比201円99銭(2.31%)安で大幅続落、13日は前日比80円88銭(0.95%)高で反発、14日は前日比97円98銭(1.14%)安で反落、15日は前日比150円29銭(1.76%)高で大幅反発、週末16日は前日比195円30銭(2.25%)高で大幅続伸した。日中の値幅は12日が63円08銭、13日が86円82銭、14日が171円90銭、15日が61円93銭、16日が90円00銭だった。

  日経平均株価の14日の終値8518円57銭は、終値ベースでの年初来安値となったが、週末16日の終値は8864円16銭となり、前週末9日の終値8737円66銭に比べて126円50銭(1.45%)上昇し、週間ベースでは2週ぶりに上昇した。取引時間中ベースの週間高値は16日の8864円16銭、週間安値は14日の8499円34銭で、1週間の取引時間中の値幅は364円82銭だった。

  TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末16日の終値は768.13ポイントとなり、前週末9日の終値755.70ポイントに比べて12.43ポイント(1.65%)上昇した。週間ベースでは2週ぶりの上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は16日の768.42ポイント、週間安値は12日の738.80ポイントだった。なお週末16日時点の終値ベースでのNT倍率は11.54倍となり、前週末9日時点の11.56倍に対して0.02ポイント低下した。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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