【外国為替市場を検証:ドル・円相場】1ドル=76円台~77円台で膠着感強い展開

2011年9月17日 18:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【外国為替市場フラッシュ:9月12日~16日の週のドル・円相場】

■米FOMC(20日~21日)を控えて動きづらい状況

  9月12日~16日の週のドル・円相場は、概ね1ドル=76円台~77円台の小幅レンジで推移し、膠着感の強い展開が続いた。リスク回避のドル売り・円買い圧力は根強いが、量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、円売り市場介入への警戒感などが交錯しているうえに、米FOMC(20日~21日)を控えて動きづらい状況だった。ギリシャのデフォルト(債務不履行)に対する警戒感や、日米欧の主要中央銀行によるドル資金供給措置表明などで、ユーロが乱高下したが、ドル・円相場への影響は限定的だった。

  ドル・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末9日の海外市場では1ドル=77円10銭台~80銭台で推移した。シュタルクECB専務理事の突然の辞任報道やギリシャのデフォルト(債務不履行)の噂などで、ユーロ売り・ドル買いとなった流れが波及し、ドル買い・円売りが先行した。しかし米国株式市場の大幅下落を受けて、リスク回避の円買いが優勢となる場面もあった。終盤は1ドル=77円50銭近辺で推移した。

  この流れを受けて週初12日の東京市場では、1ドル=77円40銭~60銭近辺でモミ合う展開だったが、午後に入るとユーロ売りが加速した流れが波及してドル売り・円買いが優勢となり、終盤は1ドル=76円80銭近辺まで円が上昇した。G7財務相・中央銀行総裁会議(9日~10日)声明に対する反応は限定的だった。12日の海外市場では、1ドル=76円70銭台~77円30銭台で推移した。イタリアが中国の政府系ファンドに国債購入を依頼したとの報道を受けて、終盤はドル買い戻しが優勢になった。

  13日の東京市場では、1ドル=76円90銭台~77円20銭台の小幅レンジで推移した。イタリア国債入札を控えて様子見ムードも強めたが、終盤はドル売り・円買いがやや優勢だった。13日の海外市場では、1ドル=76円80銭台~77円10銭台で小動きだった。独仏ギリシャ首脳が14日に電話会談を実施するとの報道を受けて、ユーロ買い・ドル売りの流れが波及し、ややドル売り優勢だった。

  14日の東京市場では、1ドル=76円80銭台~77円00銭台で小動きだった。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、仏銀行大手のソシエテ・ジェネラルとクレディ・アグリコルの格付けを引き下げたが、市場の反応は限定的だった。14日の海外市場では、1ドル=76円60銭台~90銭台でドル売り・円買いがやや優勢だった。米8月小売売上高が市場予想を下回り、独仏ギリシャの首脳会談でギリシャ支援継続が表明され、ユーロ買い戻しの流れとなったこともドル売りにつながった。

  15日の東京市場では、1ドル=76円60銭台~70銭台の小幅レンジで推移した。米国の主要経済統計を控えて様子見ムードを強めた。15日の海外市場では、米8月消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に上昇し、日本銀行によるレートチェックの噂もあり、一時1ドル=77円30銭台に円が下落する場面もあったが、概ね1ドル=76円60銭台~70銭台で推移した。ECB(欧州中央銀行)、米FRB(連邦準備制度理事会)、スイス国立銀行、イングランド銀行、日本銀行が協調してドル流動性供給措置を表明したため、金融不安に対する過度な警戒感が後退してユーロ買い・ドル売りとなったが、ドル・円相場への影響は限定的だった。また新規失業保険申請件数が市場予想以上に増加し、米9月ニューヨーク州製造業業況指数と米9月フィラデルフィア地区連銀業況指数は市場予想以上に悪化したが、いずれも市場の反応は限定的だった。

  16日の東京市場では手掛かり材料難となり、概ね1ドル=76円60銭台~80銭台で小動きだった。ユーロ圏財務相会合(16日~17日)、日本市場の3連休(17日~19日)、米FOMC(20日~21日)を控えて様子見ムードも強めた。16日の海外市場では、概ね1ドル=76円60銭台~90銭台で推移した。米9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(57.8)が前月比2.1ポイント上昇して市場予想も上回り、ユーロ圏財務相会合でギリシャ支援継続の方針が確認されたため、ドル買い戻しがやや優勢となる場面もあった。ただし米FOMC(20日~21日)を控えて様子見ムードを強めた。

  世界的なリセッション(景気後退)やソブリンリスクに対する警戒感が根強い状況に変化はなく、ドル・円相場はリスク回避のドル売り・円買い圧力、量的緩和策第3弾(QE3)に対する思惑、円売り市場介入への警戒感などが交錯し、概ね1ドル=76円台~77円台で膠着感の強い展開が続いている。ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念と、それに伴う金融システム不安でユーロが乱高下しても、ドル・円相場への影響は限定的である。米FOMC(連邦公開市場委員会)(20日~21日)で動意付くかが注目点となっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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