【視線】『いまこそIRを』日々の地道な対応の集積である企業のIR活動

2010年10月11日 11:32

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  投資家への迅速な開示を旨に、四半期決算が発表されるようになって久しい。中長期的な視点からの経営が、ともすれば、近視眼的な経営に重きを置かざるを得なくなってきているように思われる。経営者と所有者(株主)との間には利益の極大化の観点から業績の悪化を経営者の非効率さであるか、と疑心暗鬼となる傾向が強い。

  経営者と株主(投資家)との架け橋がIR(投資家向け広報)の存在である。IR担当者は経営者の代弁者として株主(投資家)からの質問や面会の要求があれば真摯に目的にかなった対応することが求められる。逆にIRがうまく機能していない企業では、株主(投資家)の意図が読み取れず、脅威と感じて相手の懐に飛び込めず、悪しき印象を与えることもある。

  IRの指針として、日本IR協議会が公表した「IR行動憲章」がある。

 1.経営責務、経営トップが確約・率先する。  2.説明責任、真摯に対話し、経営の透明性を向上させる。  3.公正・継続、常に開示の一貫性を保つ。  4.平等・公平、個人や外国人などへの公平開示に努める。  5.法令順守、市場の一員や企業市民として、社会の信頼を得る。  6.社会責任、多くの利害関係者と対話し、環境問題などにも対応する。  7.向上・進化、対話能力を高め、グローバルな視点で変化に対応する。

  IR担当者は、対投資家イベントである株主総会のキーパーソンである。株主総会は経営者の信任投票の場であり、経営トップの直轄であるIR担当者は選挙対策本部長にも匹敵する立場であるといっても過言ではない。経営者の代弁者として活躍するIR担当者は、株主(投資家)からの株式市場というフィルターを通した日頃の会社への不満、希望、アドバイス等を直に受けている部署であるからだ。

  なによりも大切なのは「双方的な会話」の促進に尽きる。それにより得た情報等は上場企業の目的である円滑な資金調達(エクイティ)を有利に進めるベースとなりうるものだ。成長のためのM&Aの成功の是非も日ごろからの市場や投資家との対話が、双方のベクトルを理解し、効率的な資金調達をするうえで非常に重要となるのである。

  日々の地道な対応の集積であるIR活動、企業は不況といわれる今でこそ、目先的なコストではなく中長期的な視野を持ってこの部門の重要性を認識すべきである。経営者である貴方自身が対応できるのなら別だが。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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