Lattice、自然言語でFPGA設計を支援する無料AIツール「Lattice Prompt」を提供

2026年9月20日 00:39

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記事提供元:Tech Times

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FPGAを設計するエンジニアは、Lattice Semiconductorが2026年9月16日に発表した無料ツール「Lattice Prompt」を使い、自然言語から同社製デバイス向けの設計作業を進められる。Claude Code、Cursor、Visual Studio CodeなどのMCP対応環境から利用でき、Lattice Radiantを介して設計フローを実行する。

同社は、一般的な設計作業で「10倍以上」の生産性向上をうたう。従来は数日かかっていた作業を数時間で完了した事例があるとしているが、比較条件や測定方法を示した第三者ベンチマークは公表されていない。

■自然言語でFPGAの設計フローを操作

Lattice Promptは、自然言語による指示を受け取り、LatticeのFPGA開発ソフトウェア「Lattice Radiant」をバックグラウンドで操作するAI支援ツールである。大規模言語モデルと開発環境は利用者が選択でき、オープンなModel Context Protocol(MCP)を通じて接続する。

MCPは、AIアプリケーションを外部のツールやデータソースへ接続するためのプロトコルである。Anthropicが2024年11月に公開し、2025年12月にはLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundationへ寄贈された。

Lattice PromptはMCPサーバーとして動作し、対応する統合開発環境からLattice Radiantの機能を呼び出せるようにする。Latticeの製品ページによると、WindowsとLinuxに対応し、既存のRadiant環境と組み合わせて使用する。

ツール本体は無料でダウンロードできる。ただし、設計フローの実行にはLattice Radiantが必要で、対象となるのはLattice製FPGAである。

■Latticeの文書と設計知識に基づいて応答

Lattice Promptは、Latticeのデータシート、技術文書、ナレッジベースなど、同社が管理する情報に基づいて回答を生成する。汎用的なLLMの学習内容だけに依存せず、対象デバイスや設計ツールに固有の情報を回答へ反映する仕組みだ。

FPGA設計では、デバイスごとのリソース構成、タイミング制約、ピン配置、設計ツールの設定などを考慮する必要がある。一般的なコード例だけでは判断できない要素が多いため、ベンダーの文書やツールから得られる情報を設計支援に利用することには意味がある。

一方、文書に基づく回答であっても、生成されたコードや設定が設計要件を満たすことを自動的に保証するものではない。設計者はシミュレーションやタイミング解析など、通常の検証工程を通じて結果を確認する必要がある。

■シミュレーションからビットストリーム生成まで対応

Latticeの発表によると、Lattice Promptはシミュレーション、論理合成、マッピング、配置配線、タイミング解析、ビットストリーム生成まで、一連のFPGA設計フローを自然言語から操作できる。設計レポートや文書の生成にも対応する。

論理合成では、RTLで記述された回路を論理素子の接続情報へ変換する。マッピングと配置配線では、それらをFPGA内部のルックアップテーブル、フリップフロップ、演算回路、配線資源などに割り当てる。

タイミング解析では、設計した回路の信号経路が設定された時間制約を満たすかを確認する。最後に生成されるビットストリームは、FPGAを目的の回路として動作させるためにデバイスへ書き込む構成データとなる。

これらの工程をMCP経由で呼び出せるため、設計者は普段使用している対応開発環境を維持しながら、Radiantによる処理や結果の確認を進められる。独立したチャットボットではなく、AIエージェントと実際の設計ツールを接続する点がLattice Promptの特徴である。

■「10倍以上」はLatticeによる評価

Latticeは、一般的な設計作業で10倍以上の生産性向上が得られるとしている。日本法人の説明では、従来は数日かかっていた開発タスクを数時間で完了した事例が確認され、平均で10倍以上の設計生産性向上を実現したという。

ただし、同社の発表や製品ページでは、測定対象となったタスク、比較した従来手法、使用したLLM、担当者の経験、ハードウェア構成などの詳細は示されていない。したがって、10倍以上という数値はLatticeによる初期評価として捉える必要がある。

効果は作業内容によっても異なると考えられる。コードや文書の生成、ツール操作、レポート作成などの定型作業では時間短縮を見込みやすい一方、回路構成の決定や性能要件の調整、複雑なタイミング問題の解決には設計者の判断が引き続き必要となる。

LLMをFPGA設計に利用する研究では、設計空間を探索し、候補となるアクセラレーターを生成して合成や実機評価につなげる試みも進んでいる。こうした研究はAIを設計工程へ組み込めることを示しているが、特定の商用ツールにおける生産性向上率を裏付けるものではない。

■MCPを利用する半導体設計ツールが登場

半導体設計分野では、MCPを介してAIエージェントへ設計情報やツール機能を提供する製品がほかにも登場している。AMIQ EDAは2026年1月、半導体プロジェクトのコンパイル済み設計・検証情報をAIエージェントから参照できる「DVT MCP Server」を発表した。

DVT MCP Serverは、Verilog、SystemVerilog、VHDL、e言語に対応し、プロジェクト固有の階層や定義、言語情報をコード生成やデバッグへ反映する。Lattice Promptとは対象や機能が異なるが、汎用LLMと半導体設計環境をMCPで接続するという構造は共通している。

MCPは特定のLLMや開発環境だけに閉じない接続方式を提供する。対応するAIアプリケーションが増えれば、設計者が利用するモデルや開発環境を選びながら、EDAツールや技術情報へ接続する構成を取りやすくなる。

■同時発表のMach-N2にも対応

LatticeはLattice Promptと同じ9月16日、セキュアなシステム制御を対象とするFPGAファミリー「Lattice Mach-N2」も発表した。Mach-N2は小型FPGAプラットフォーム「Lattice Nexus 2」を基盤とし、6万5000~22万システムロジックセルの製品で構成される。

同社によると、Mach-N2は従来世代と比べて最大2倍のロジック密度を備え、16GbpsのSERDES、PCI Express 4.0、10ギガビットEthernetに対応する。オンチップの不揮発性フラッシュ、ハードウェアRoot of Trust、耐タンパー監視機能も搭載する。

セキュリティ機能として、CNSA 2.0に対応する耐量子計算機暗号をサポートする。認証用のML-DSA、LMS、XMSSと、鍵共有用のML-KEMに対応し、暗号アルゴリズムを更新できる暗号アジリティも備える。

Mach-N2は受注を開始しており、Latticeは主要なコンピューティングおよび通信分野の顧客へサンプルを出荷済みとしている。開発キットとソフトウェアについては、Lattice RadiantとLattice Promptによるサポートを案内している。

■AIインフラ向け事業を拡大

Latticeは2026年7月27日、プラットフォームファームウェアとインフラ管理技術を手掛けるAMIの買収を完了した。取引額は16億5000万ドルで、指定された1ドル=157円で換算すると約2591億円となる。

同社は、Latticeの低消費電力FPGAとAMIのプラットフォームファームウェアやインフラ管理技術を組み合わせ、クラウドおよびAIインフラ向けの管理・制御基盤を強化する方針を示している。AMIは買収後もLattice内の専任事業部門として運営される。

FPGAは製造後に構成を書き換え、用途に応じたハードウェア機能を実装できる半導体である。データセンターや通信システムでは、電源シーケンス、システム監視、セキュリティ、プロセッサー周辺の制御などに利用される。

Lattice Promptは、こうしたFPGAの設計工程を自然言語とMCP対応開発環境から操作できるようにする。現時点では設計者による検証を前提とする支援ツールだが、AIエージェントとEDAツールを標準化された接続方式で連携させる具体例となる。

元記事: Lattice Prompt: Free FPGA AI Tool Covers Full Design Flow Using Validated Device Docs

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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