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アニメ『GET JIRO!』10月3日放送開始へ 寿司職人が挑む近未来ロサンゼルスの料理抗争

(Adultswim.com)[写真拡大]
アンソニー・ボーディンとジョエル・ローズによるグラフィックノベルを原作とした成人向けアニメ『GET JIRO!』が、米国で2026年10月3日深夜0時にAdult SwimのToonamiで放送を開始する。初回は2話連続で放送され、翌日からHBO Maxでも配信される予定だ。日本での放送・配信予定は明らかにされていない。
舞台は、料理人が強大な権力を握り、人気レストランの席を得るために人々が殺し合う近未来のロサンゼルスである。謎めいた寿司職人ジローは、対立する料理勢力の争いに巻き込まれながら、自らの復讐を進めていく。
■食と階級が支配する近未来のロサンゼルス
『GET JIRO!』の世界では、食は日々の営みであると同時に、富や階級を示す価値基準になっている。街では料理人が犯罪組織の首領のように振る舞い、有力なレストランを中心に複数の勢力が対立している。
中心となるのは、ボブが率いる国際色豊かなフュージョン料理の勢力と、ローズが率いる地産地消や菜食主義を掲げる勢力である。両者は異なる料理思想を標榜しているが、いずれも食を権力と支配の手段にしている。
そこへ現れるのが、卓越した腕を持つ寿司職人ジローだ。二つの勢力はジローを自陣営へ引き入れようとするが、ジローはどちらにも従わない。公式に示された物語の軸は、料理人としての純粋な信念というより、復讐を目的とするジローが料理抗争の中を進んでいく過程にある。
作品の構図は、黒澤明監督の映画『用心棒』を連想させる。対立する二つの勢力の間に、独自の目的を持つ人物が入り込むという物語の型が、料理と階級をめぐる風刺劇へ置き換えられている。
■ジローの寿司に表れる職人の矜持
ジローを特徴付けるのは、寿司の作法に対する極端なまでの厳格さである。原作では、客がカリフォルニアロールを注文したり、醤油の使い方を誤ったりしただけで、ジローが暴力に訴える場面が描かれる。
こうした行動を、日本の「職人」という概念だけから必然的に導くことはできない。職人は基本的には、特定の技術によって物を作ったり加工したりする人を指す。一方、木工職人の大館年雄は、職人には技術だけでなく、仕事を通じて社会に貢献する態度や責任も含まれると説明している。
『GET JIRO!』では、この仕事への責任感が極端な形に拡張されている。魚、米、調理、客への向き合い方を一体のものとして考えるジローにとって、料理を味わう前から醤油で覆う行為は、自らが積み重ねた仕事を無視する態度に映る。
ジローの暴力は現実の職人倫理を再現したものではなく、料理人の矜持や食事作法への執着を、ブラックユーモアと過激なアクションへ転換した表現である。技術と責任を重視する職人像は、その人物造形を読み解くための補助線になる。
■活け締めが魚の品質に与える影響
ジローの寿司に現実の魚料理との接点を見いだすなら、活け締めや神経締めによる鮮度管理が挙げられる。活け締めは、魚の脳を破壊して速やかに締め、必要に応じて血抜きや神経締めを組み合わせる処理方法である。
魚の死後、筋肉中のアデノシン三リン酸は段階的に分解され、硬直や風味の変化が進む。捕獲後に魚が長く暴れると、筋肉のエネルギーが消費され、乳酸の蓄積やpHの低下などが起きる。締め方や保管温度によって、その後の硬直、食感、保存中の品質が変わり得る。
神経締めでは、脳を破壊した後も続く神経活動や筋肉の収縮を抑えるため、ワイヤーなどを脊髄に通す。魚種や処理条件によって効果には差があり、活け締めを行えば必ず特定の味や食感が得られるわけではないが、死後変化を管理するための技術として利用されている。
一方、活け締めが「ATPからイノシン酸への変換が最大になる瞬間に反応を停止させる」という説明は正確ではない。ATPの分解は魚を締めた後も進行し、イノシン酸を経てイノシンやヒポキサンチンへ変化する。活け締めや神経締めの役割は、この反応を特定の一点で止めることではなく、魚が締められる前後の過度な運動を抑え、死後変化をより緩やかに進めやすくすることにある。
また、2026年に査読誌で公表されたニジマスと交雑ストライプドバスの研究では、手作業と自動化システムによる活け締めが意識消失に及ぼす効果が調べられた。活け締めは窒息より短時間で魚を反応不能にしたものの、魚種によっては直ちに確実な意識消失を起こせなかった。研究者らは、活け締めの前に確実な気絶処理を行う必要性と、魚種に合わせた手法の調整を指摘している。
このため、活け締めを一律に「残酷ではない処理」や「最も倫理的な方法」と断定することはできない。それでも、魚の状態を理解し、締め方から保存までを一連の工程として管理する発想は、ジローが一貫して料理の過程全体に責任を持とうとする姿勢と重ねられる。
■食を思想や権力の道具にする二つの勢力
ボブとローズの対立は、料理の好みをめぐる争いにとどまらない。どの食材や調理法を正しいとみなすかが、所属する集団や社会的な立場を示す記号になっている。
フランスの社会学者ピエール・ブルデューは、著書『ディスタンクシオン』で、趣味や消費の傾向が社会階級と結び付き、人々を区別する働きを持つと論じた。『GET JIRO!』の料理勢力にも、食の知識や思想を用いて人を選別し、権力を維持するという共通構造を見いだせる。
ボブの勢力は、多様な地域の料理や食材を取り込む洗練を価値に変える。ローズの勢力は、地元産や植物性の食材を重視する純粋さを価値に変える。問題となるのは個々の料理方針ではなく、それを絶対的な基準とし、他者を従わせるために使うことだ。
どちらにも属さないジローは、この秩序を不安定にする存在となる。料理を権力の手段として扱う勢力に対し、ジローは料理人としての判断を譲らない。その姿勢が、料理を中心に組み立てられた階級社会への挑戦につながっていく。
■ボーディンが愛した食文化と映像表現
アンソニー・ボーディンは、生涯を通じて食を文化や社会を理解する入り口として扱ってきた。『GET JIRO!』もまた、料理そのものだけでなく、食をめぐる執着、階級、排他性、人間関係を過激な風刺として描く作品である。
アニメ版はWarner Bros. Animationが製作し、リック・モラレスが監督を務める。シリーズ開発はアレッサンドロ・タナカとブライアン・ゲートウッドが担当した。ジロー役にはブライアン・ティーが起用され、タイタス・ウェリヴァー、アリソン・ピル、ジャスティン・カークも声優として参加する。
Adult Swim社長のマイケル・オウェリーンは、物語が食から始まり、文化や執着、人間の問題点へ広がっていく作品だと説明している。ボーディンが生前にピーター・ジラルディとアニメ化の構想を進めており、長年の協力者であるマット・グールディングが料理コンサルタントを務めた。
『GET JIRO!』は、料理をめぐる敬意やこだわりをそのまま称賛するのではなく、それが権力や排他性と結び付いたときに何が起きるかを、血なまぐさい娯楽へと変換する。職人の技術、魚の扱い、食と階級の関係は、作品世界を読み解く手掛かりとなるが、物語の中心にあるのはあくまでジローの復讐と、彼を取り込もうとする料理勢力との抗争である。
■米国では10月3日放送開始
『GET JIRO!』は、米国時間の2026年10月3日深夜0時にAdult SwimのToonamiで放送を開始する。初回は2話連続で放送され、翌日からHBO Maxでも配信される予定だ。
原作は2012年にDC傘下のVertigoから刊行された。日本では『GET JIRO!』の題名で、椎名ゆかりによる日本語訳が2017年に誠文堂新光社から刊行されている。
アニメ版について、日本での正式な放送局、配信サービス、配信開始日は発表されていない。現時点で確認できる10月3日という日付は、米国におけるAdult Swimでの放送予定を示すものである。
元記事: Get Jiro on Adult Swim: Shokunin Ethics and Ikejime Biochemistry Drive the Violence
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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