独立した研究で熱帯林減少による総CO2排出量についての見解が一致
配信日時: 2012-12-04 14:02:00
独立した研究で熱帯林減少による総CO2排出量についての見解が一致
(カタール・ドーハ)- (ビジネスワイヤ) -- ウィンロック・インターナショナル(WI)の生態系サービス・ユニットとウッズホール研究センター(WHRC)は本日、熱帯林減少による総二酸化炭素(CO2)排出量に関して科学的合意に達したと発表しました。この分析には、科学的に得られた基準に基づいて政策立案者が自信を持って排出削減目標を設定することを可能にする極めて重要な情報が含まれています。
総熱帯林減少によるCO2排出量に関する新たな見解の一致は、2012年にWIとWHRCがそれぞれサイエンス誌とネイチャー・クライメート・チェンジ誌に発表した査読済み独立研究2件の分析から得られました。元となるこれら2つの研究(非連携的なもの)は、当初は熱帯林減少による世界的な総排出量の問題に関して大きく異なっているように思われました。しかし、2つの研究チームが集まってそれぞれの研究結果を協議・調査した結果、データセット、方法論、時間枠の違いを除去すると当初の研究は著しく一致していたことが分かりました。
WIとWHRCは本日、元となる2つの研究の分析を「熱帯林減少による炭素排出量に関する合意へ向けた進展(Progress Toward a Consensus on Carbon Emissions from Tropical Deforestation)」と題して発表しました。この分析によれば、同一の炭素プールと時間枠で計測した場合に、当初の両研究は、熱帯地域の総森林減少による2000~2005年の大気中へのCO2排出量が年間約3.0ギガトンだったという結論で一致したことが示されています。
WI研究の主執筆者でWIの炭素・土地利用研究者のナンシー・ハリスは、次のように述べています。「私たちの2つの独立研究の結果に関して今回新たな科学的合意とデータの一致を得ることができたことで、政策立案者は偏りのない歴史的事実に即した基準を手に入れました。この基準に照らすことで、熱帯林減少に関する排出削減目標を設定し、進捗状況を測定することができます。」
WHRC研究の主執筆者でWHRCの准研究員のアレッサンドロ・バッチーニは、次のように述べています。「当初の両研究は、熱帯林減少を測定する異なる方法に関する知見を提供しています。しかし、私たちが非常に異なるデータセットと方法論を持つこれらの異なる研究を一致させることができたという事実は、政策立案者に科学を味方として行動できるという顕著な安心を提供します。」
熱帯林の減少や劣化は、気候変動を引き起こす温室効果ガスの大きな要因と考えられています。REDD+(森林減少・劣化に由来する排出の削減)政策およびプログラムの制定に向けた活動は、森林に蓄えられた炭素の保持、森林保全、森林の持続可能な管理、森林の炭素貯蔵の向上や、その他の取り組みを確保することを目的としています。
共同分析では、次のように記されています。「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)内のREDD+の交渉担当者は、これまでも排出削減への明確な目標設定について協議してきたが、実際の目標設定は避けてきた。欧州委員会、REDD+に向けた中間金融に関する非公式作業部会、英国政府のエリアッシュ・レビューを含むその他のグループが集まり、2020年までに熱帯林減少を50%削減するという目標を掲げたが、この目標の評価基準は不明確だった。科学者コミュニティー内で2000~2005年の熱帯林減少による年間CO2排出量が3.0±1.1ギガトン(年間0.8±0.3 Pg C)だったという合意に達したことで、研究者は政策立案者に対して、2020年までの総熱帯林減少によるCO2排出削減目標を年間1.5ギガトン(年間0.4 Pg C)以下とする取り決めを議論する際に使用できる明確で歴史的事実に即した基準が得られた。」
WIとWHRCの分析では、森林の劣化、土地利用の変化、鉱質土壌や泥炭からの排出といった森林減少以外によるCO2排出量については合意に達しませんでした。両グループは、これらの要素の大気への影響を正確に定量化するためにはより質の高いデータが必要ということで意見が一致しています。これらのCO2排出量だけでもさらに年間2.3ギガトンに及ぶ可能性があり、政策立案者はその気になればREDD+を上回る削減目標を掲げることも可能です。しかし、両グループは、この推定に関する不確実性は大きく、定量化できていないと述べています。
「もし政策立案者が森林減少に加えて、REDD+にとって重要なその他の排出源を組み込むことでより包括的な目標を使用したいと望むなら、50%の目標は、2020年までにCO2で年間約2.6ギガトン(年間0.7 Pg C)に増加する」と分析は指摘しています。
この分析には、ノルウェー政府の国際気候・森林イニシアチブ(NICFI)と気候・土地利用連盟(CLUA)が共同で資金を提供しました。
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