【SCM4期デモデイ】一歩踏み出した社会起業家たちはどんな社会を描くのか?

プレスリリース発表元企業:一般社団法人ImpacTech Japan

配信日時: 2021-08-13 17:40:00

ソーシャルチェンジメーカーズ(以下SCM)第4期デモデイ「SCM#4 LIVE PITCH NIGHT」が、2021年7月8日に開催された。

SCMに参加した社会起業家たちは、約4ヶ月という短い期間に何を学び、どんな成長を遂げたのか? 第4期を振り返りつつ、デモデイに臨んだ起業家たちの声を聞いた。





●4ヶ月で著しい成長を見せた SCM第4

SCM第4期は、コロナ禍の影響によりオンライン中心のプログラムとなった。しかしSNSアプリなどを通してコミュニケーションが活発に行われ、チームワークは他の期と比べても強いものとなったという。

「第4期は特に、社会的な起業を成功させたいというモチベーションが高く、『自社の成功』と『みんなの成功』の両者を目指せる、コミュニティセンスの高いチームが集まりました」。SCMを運営するImpacTech Japan 代表ファラ・タライエはこう語る。
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同じアクセラでも、期によって、集うスタートアップのステージや、彼らがアクセラに求めていることが異なる。できる限り求められていることに沿いながらプログラムを組み立て、起業家たちのアイデアをどうしたら形にできるかを一緒に考えていく。

「第4期のスタート時には、ピッチ・デック(ピッチで使用する資料)やビジネスプランがまだ無く、アイデアだけの状態で応募をしてきたスタートアップも数社ありました。しかし彼らの『社会をより良くしたい』という気概は強く、期を通して著しい成長を見せてくれました」(ファラ)

熱意ある社会起業家が多く見られるとともに、先輩起業家が後輩起業家をサポートするコラボレーションも生まれるプログラムとなった。

●4ヶ月の学びをデモデイで発揮

彼らの集大成となるデモデイ「SCM#4 LIVE PITCH NIGHT」は、シェアオフィス CIC Tokyoのオープンスペースで行われ、オンラインでの同時生配信も実施。関係者以外でも気軽に社会起業家たちのピッチを聴くことができ、投資家をはじめとしたオーディエンスが参加した。
第4期12社を2つのグループに分け、各社6分間のピッチを行い、オーディエンスがそれぞれのグループの中で最も共感した企業に投票を行う。そして各グループで最も票を集めた2社に最優秀賞が、成長が著しいなどの評価を得た2社にチャレンジャー賞とベストパフォーマンス賞がそれぞれ贈られた。
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【Sustainability Impact and Social Services グループ】
1.ICHI Commons株式会社
2.mamoru
3.Japan Workation
4.SIVENTH株式会社
5.SOLIT株式会社
6.Support4Good Inc.

【Education, Healthcare and Aging Society グループ】
1.Comobi株式会社
2.Creative Tokyo
3.株式会社Easpe
4.enjoi Japan K.K.
5.ココホレジャパン株式会社
6.株式会社イースマイリー

https://nf-startup.jp/list

●SOLIT株式会社
最優秀賞(Sustainability Impact and Social Services グループ)


[動画: https://www.youtube.com/watch?v=j0XhpbslCRo&t=1s ]



Sustainability Impact and Social Services グループの最優秀賞に輝いたのは、SOLIT株式会社(以下SOLIT)だ。誰もが「着たい」を諦めない世界を目指し、体型や障害の有無などに関係なく着られる「セミオーダー」のファッションブランドを展開する。

代表取締役の田中美咲さんは、自然災害・防災分野のソーシャルビジネスを国内外で8年経験した後、社会課題に特化した企画・PR会社を創業。SOLITは3社目の起業に当たり、社会起業家としての経験は豊富だ。SCMに参加した理由は、「起業のペースメーカーとなるような、一緒に走ってくれる仲間を見つけたかったから」だと語る。

「自走だけでは、起業スピードが遅くなり、ドメスティックな視点にもなりがちです。SCMは、始めからグローバル前提でビジネスモデルを考える方が多く、さまざまな業種の方が参加しているので、いろんな視座を得て刺激を受けました」(田中さん)

SCMでは大きく2つ学びを得たという。

「1つはピッチの内容です。これまで経験したピッチでは、とにかく数字が求められました。ですから、いかに売り上げを立てるか、KPIや事業計画、資本政策などの数値をメインで伝えるピッチを行っていたんです。
しかしSCMでは、『まずは想いを伝えること』が重要だと学びました。そこでカスタマーの声を動画で入れたり、プロダクトをしっかり見せたりなど、ピッチの内容はSCM参加前と比べて大きく変えました」(田中さん)片手で外せるスナップボタンなど、着る人に合わせて仕様を選択できる服。多くのオーディエンスが手に取れるよう、デモデイの場にもプロダクトを用意した。「もう一つは、母国語ではない英語でのピッチを行ったことです。日本語だと、ニュアンスでなんとなく伝える癖がありました。しかし英語だとそれはできません。一層わかりやすい言葉、齟齬のないニュアンスなど、言葉選びを気をつけるようになりました」(田中さん)

そんな田中さんを、「『売れるから』ではなく、『世の中に必要だから』物事に取り組み、『どうしたら売れるか』を考えられる人」だとファラは評価する。
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「ファッション分野は事業拡大の難易度が高い。初めて会って面談したときに、彼女は『(事業をどう進めるべきか)迷っています』と正直に話してくれました。面談時にほとんどの人は『わかったふり』をし、素直に『迷っている』と言える人は多くありません。しかし、そのような素直なマインドを持っている人こそ、ソーシャルチェンジに向いていると思いますし、悩んでいる人と一緒に答えを探すことが、SCMの役割だと考えています」(ファラ)

SOLITが目指すのは「誰もがありのままを大切にできる世界」の実現。ファッション領域はその第一歩として、国内の病院・福祉施設との提携を進めつつ、グローバルな展開も検討するなど、SCMで学んだことを活かして事業を成長させていきたいと話す。

●Comobi株式会社
最優秀賞(Education, Healthcare and Aging Society グループ)

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Education, Healthcare and Aging Society グループの最優秀賞に選ばれたのは、Comobi株式会社(以下Comobi)だ。幼い子どもたち専用に開発したデバイスとプラットフォームを活用し、子ども達に新たな遊びの時間を提供すること、そして親の負担や心配を解消することを目指している。

CEOのマチュー・ギヨウムさんと CTOのベンアーツィ・ロンさん。2人の共同創業者によって立ち上げられたばかりのComobiは、SCM第4期スタート時には、参加企業の中で最も遅れていたスタートアップだった。

「Comobiは、『子どものためのインターフェイスを作りたい』という思いとアイデアがあったものの、既存のデバイスを使うか、新しく開発するか、全く決まっていない状況でした。シード期対象のSCMへの参加は、まだ早いのではないかとも思いましたが、起業を通して教育を変えたいという彼らの思いは熱く、面談を重ねる度、熱意を持ってプランをブラッシュアップしてきたのです」(ファラ)

結果、4ヶ月後の卒業時には、どのスタートアップよりも早くプロトタイプを完成させるまでに成長した。

「SCMは、私たちにとって初めて参加したアクセラでした。本当に社会にインパクトを与えたいという人たちが集まるコミュニティは、私たちにとって魅力的なものでした。
毎週開催されるプログラムに参加しながら、プロダクトを並行して開発していましたが、得た知識をストラテジーや商品開発にどのように活かすかを毎回考えてブラッシュアップしていきました。忙しくはありましたが、SCMへの参加が良い進捗管理にもなったと感じています」(ギヨウムさん)完成したプロトタイプ。子ども専用のデバイスで、配信されるコンテンツを楽しむなど、新たな遊びの形を提供する。2022年中の日本市場でのローンチを目指し、その後は米国市場にも展開したい考えだ。
「ここから1年半は、かなり忙しくなるでしょう。その間には資金調達をする必要がありますし、デザインや製作を担当してくれるメンバーを募ることも必要です」(ロンさん)。

このタイミングでのSCMへの参加は、“トンネル”から抜け出す良い機会となったとギヨウムさんは話す。
「プロダクトはこれから検証を再開していきます。ピッチにはすでに多くのフィードバックが寄せられているので、より深く検証していきたいと考えています。
こんな風に、アクセラに参加するメリットを実感する機会を得られたことも今回の収穫でした。起業には支えてくれるネットワークのエコシステムが必要ですから。今後のステップとしては、製品を広めていくことを視野に、次のアクセラレーターへの参加も検討したいと考えています」(ギヨウムさん)
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表彰では、最優秀賞のほかに、「ベストパフォーマンス賞」と「チャレンジャー賞」が用意された。
選ばれたのは次の2社だ。

●Creative Tokyo
ベストパフォーマンス賞

Creative Tokyoは、デザイナーをはじめクリエイティブに関わる人たちを繋ぐSNS「ソーシャル・コラボレーション・プラットフォーム」だ。メンターとの結びつきによるデザイナーの育成や、協働プロジェクトの推進、さらにデザイナーの採用・雇用支援につなげていくことを目指している。
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SCM第4期がスタートした当時、Creative Tokyoを運営する株式会社SKYDEA 取締役/共同経営者 マイク・ドーンさんは、別のコンセプトを考えていた。

「元々、NPOなどの非営利組織を、デザインで支援したいという思いがありました。デザイン力やデジタル化を推進する力が不足し、課題をうまく発信できずにいる組織が多いからです。
SCMへの参加を決めたのも、そこに貢献したいという思いがきっかけでした」(ドーンさん)

しかし、当時描いていたビジネスモデルは持続可能なモデルではなく、プランを大きく変える必要があった。

「SCMのおかげで、そのことに気づくことができました。このプログラムを通して、私たちは5人のメンターを得たのですが、彼らの存在はとても大きいものでした。自分たちが考えていたビジネスプランを一から作り直すというのは、とても不安になるものです。そこも含めて、メンターに相談できたのは助かりました」(ドーンさん)

プログラムに参加しながらビジネスプランを再構築するのは、とても難しいことだったが、メンターとの面談を積極的に依頼し、できる限りのフィードバックを得て改善に活かした。Creative Tokyoのピッチ・デックより。再構築したビジネスプランによって、プラットフォームが提供する価値も変化した。ファラは「彼らは必死だった」と語る。
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「並行して仕事を持ち、スタッフも抱えるなかで、一からビジネスプランを描き直すことは、簡単にできることではありません。それを約4ヶ月の期間で成し遂げるというのは、すごい実力だと感じています」。

Creative Tokyoは、2021年の秋にはβ版をローンチし、2023年にかけて日本全国へ展開。以降はグローバルに向けたリブランドや資金調達も視野に入れる。


「もちろんNPOなどの非営利組織を、デザインで支援し続けるという思いは変わっていません。このプラットフォームを通して、そこに貢献していきたいと考えています」(ドーンさん)

●SIVENTH株式会社
チャレンジャー賞

SIVENTH株式会社(以下SIVENTH)は、CSRやSDGsに取り組みたいと考える企業と、NPOやNGOなどの組織をデジタルプラットフォームでつなぎ、BOP(Bottom of the pyramid:経済ピラミットの底辺・低所得者層)を支援することを目指す企業だ。テクノロジー、デザイン、法務、経営管理のエキスパートたちが集い、社会課題解決に向けて精力的に活動する。
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「事業計画を作成し、市場に参入する方法を検討するときに優れたメンターを持つこと、そしてビジネスの確立と成長に向けたあらゆるプロセスにおいて、支援してくれる人を持つことは、とても重要でした」。弁護士のキャリアを持ち最高法務責任者を務めるジョナサンさんは、SCMに参加した理由をこう話す。

CEOのミッチェル・カヴェン・セイドさんが行ったピッチでは、一般の人にとっては少し理解が難しいサービス内容や、CSRへの興味を促すため、まずチョコレート市場で起こっている課題を例に説明を始め、オーディエンスに「課題の自分ゴト化」を促した。そして日本企業に起こっている、CSRやサステナビリティに対する知識不足、人材不足、また効果的なCSR活動が行えていないことによって生じる社会的影響力の不足について解説し、それを改善する自社のサービスを説明した。
CSRに意欲的ながら適切な活動を行えていない企業を支援することで、多くの人にその活動が届き、企業のCSRに対する理解が深まるという循環を目指している。

「私たちのメッセージをオーディエンスに集中して聴いてもらうためには、できる限り不要な内容を削ぎ落とし、分かりやすくすることが必要でした。メンター2人は、複雑な内容を消化しやすくする手助けをしてくれました。これは、私たちがSCMを通して学んだ一番大きなことです」(ジョナサンさん)

法務を担当する立場としては、東京で活動する弁護士や特許庁の方と話ができ、スタートアップに必要な法律や知的財産の知識を得られたことも良い成果だったという。

ファラは、「多様なバックグラウンドを持つ彼らが、日本でこの課題に取り組む意味は大きい」と語る。

「日本では、さまざまな問題が起こっても『仕方がない』と受け入れてしまうことが度々あります。それではどこが問題かを見つけ、ソリューションを生み出すことができません。SIVENTHは、NPOが助け合うシステムを作りながら、リサーチやアプリ開発なども安価で積極的に請け負い、社会をより良く変えるために日々邁進しています。プログラム中も彼らは意欲が高く、さまざまなコラボレーションを生むなど素晴らしい活躍でした」(ファラ)
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今後はピッチ内容を実行に移す段階だと、ジョナサンさんは話す。2021年7月には、さらなる成長に向けて資金調達を開始。見過ごされがちな社会課題により多くの人が気づくよう、引き続きサービスの開発を進めつつ、自分たちの取り組みを発信していきたいという。

●一歩を踏み出した社会起業家を応援する
あっという間の4ヶ月だったが、SCM第5期開始も2021年秋に迫っている。ファラは、参加者の顔ぶれを考慮しながら、他のアクセラとのコラボレーションなど新たな試みも取り入れていきたいと話す。

「SCMは、社会を良くしたいと考えているけれど、サポートが受けられず進めない人、言語の壁が怖くて海外のピッチにチャレンジできない人、そんな人たちの一歩をサポートしたいと考えています。

SCM第4期でも『すごく難しいと思っていたピッチが、自分にもできることだと気づけた』『海外のピッチコンテストにも挑戦していきたい』などの声を聞くことができました。一歩を踏み出せる社会起業家を増やしていくことが、私たちの目標です」(ファラ)

そして、一歩を踏み出した起業家を応援したい、協働したいという方は、ぜひ各社ページの問い合わせ先から連絡していただきたい。社会課題に果敢に取り組むスタートアップに、ぜひ多くの方の力を貸していただければと思う。

・SOLIT株式会社
障害の有無に関係なく着られるファッションブランド「SOLIT」

・Comobi株式会社
あそびをあたらしくするデバイス「Comobi」

・Creative Tokyo
全ての「クリエイティブ」を繋ぐコミュニティ「Creative Tokyo」

・SIVENTH株式会社
CSR活動や持続可能性の改善を支援するソリューション

●IMPACTECH JAPAN
www.impactech.com/japan/

●日本財団スタートアッププログラム
nf-startup.jp

●CIC TOKYO
jp.cic.com

●Venture Cafe

●Custom Media
custom-media.com

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