一正蒲 Research Memo(4):2026年6月期は主力商品が伸長するも、コスト上昇を吸収しきれず増収減益
*11:04JST 一正蒲 Research Memo(4):2026年6月期は主力商品が伸長するも、コスト上昇を吸収しきれず増収減益
■業績動向
1. 2026年6月期の業績概要
一正蒲鉾<2904>の2026年6月期の連結業績は、売上高35,542百万円(前期比2.8%増)、営業利益611百万円(同31.3%減)、経常利益529百万円(同41.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益326百万円(同56.3%減)と、増収ながら大幅な減益となった。期初予想に対しては、売上高(36,200百万円)は1.8%下回ったほか、営業利益(1,100百万円)を44.4%、経常利益(1,150百万円)を54.0%、親会社株主に帰属する当期純利益(750百万円)を56.5%それぞれ下回った。売上高は、2025年3月1日納品分から実施した価格改定による販売単価の上昇に加え、主力商品の販売数量が増加したことで増収となった。一方、すり身をはじめとする原材料価格や人件費などの上昇が大きく、売上総利益は6,617百万円(同5.3%減)、売上総利益率は18.6%と前期の20.2%から1.6ポイント低下した。販売費及び一般管理費はEC事業の縮小などにより6,006百万円(同1.5%減)に抑制したものの、原価上昇を吸収するには至らず、営業利益率は前期の2.6%から1.7%へ低下した。
主力の水産練製品・惣菜事業は、売上高31,318百万円(前期比2.8%増)、セグメント利益751百万円(同25.4%減)となった。「サラダスティック」や「小判てんぷら」などの主力商品が好調に推移したほか、物価高や節約志向を背景に値ごろ感と汎用性の高い「はんぺん」や「ちくわ」の販売が伸長した。一方、すり身などの原材料費や包装資材・人件費・物流費の上昇が利益を圧迫し、EC事業縮小による販売費削減や効率化によるコストダウンを進めたものの減益となった。きのこ事業は、大容量パックの販売拡大や新規顧客の獲得、価格政策の強化などにより売上高3,894百万円(同3.3%増)となったが、セグメント損失は247百万円と前期の251百万円の損失から改善幅は限定的だった。販売重量・販売単価はともに上昇したものの、猛暑によるエネルギーコストの増加や包装資材・人件費・物流費などの上昇が重荷となった。さらに、親会社株主に帰属する当期純利益については、インドネシア現地法人IKFののれん減損損失約86百万円を計上したことに加え、前期に計上したIKFの連結子会社化に伴う段階取得に係る差益126百万円が剥落したことも大幅減益の要因となった。
なお、営業利益の増減要因の詳細としては、価格改定と主力商品の販売数量増加による増収効果が9.6億円、これまで取り組んできた合理化集中投資の成果による労務費抑制に加え、「やまびこ活動」を通じた業務改善などによる効率化・コストダウン効果が3.2億円、エネルギーコストの低減効果が0.7億円、EC事業縮小などによる販売費及び一般管理費の抑制効果が0.8億円と、合計14.3億円の増益要因となった。一方、すり身をはじめとする材料費の高騰や人件費等の上昇による原価コストアップが17.2億円の減益要因となり、これらを差し引いた営業利益は前期の8.9億円から6.1億円へ減少した。合理化や経費削減による改善効果は着実に表れているものの、原材料価格を中心とする外部コストの上昇幅がこれを大きく上回った格好だ。
2. 事業セグメント別の動向
(1) 水産練製品・惣菜事業
売上高は31,318百万円(前期比2.8%増)、セグメント利益は751百万円(同25.4%減)と、増収減益となった。売上面では、2025年3月1日納品分から実施した価格改定による販売単価の上昇に加え、主力のスティックタイプのカニかまを中心に販売数量が伸長した。また、物価高に伴う節約志向や内食需要が継続するなか、値ごろ感と汎用性に優れる「はんぺん」商品群が堅調に推移したほか、おせち商品では国産原料100%の「純」シリーズが伸長し、増収に寄与した。一方、損益面では、生産性向上や継続的なコスト削減を進めたものの、主原料のすり身をはじめとする原材料費や包装資材・人件費・物流費などの上昇を吸収しきれず、セグメント利益率は前期の3.3%から2.4%へ低下した。
商品別では、価格改定後も主力商品の販売数量は堅調に推移した。「サラダスティック」は売上高が前期比107%、販売数量が同106%、「香ばし生ちくわ」はそれぞれ113%及び110%、「小判てんぷら」は140%及び134%となり、値上げ後も数量を伸ばしている。特に「小判てんぷら」は販売数量が大幅に伸長した。また、物価高を背景に手頃な価格帯で汎用性の高い「はんぺん」、節約志向による内食需要を捉えた「ちくわ」が好調だったほか、健康志向の高まりを背景に魚肉スナック「カリッこ」シリーズも伸長した。価格改定による単価上昇だけでなく、主力NB商品の数量増加が増収を支えた点はポジティブである一方、原材料を中心としたコスト上昇が収益改善を上回る状況が続いている。
(2) きのこ事業
売上高は3,894百万円(前期比3.3%増)、セグメント損失は247百万円(前期は251百万円の損失)となり、増収かつ小幅な損失幅縮小となった。販売面では、新規顧客の開拓に加え、物価高を背景とした大容量パックの販売拡大が寄与し、販売重量は前期を上回った。残暑の影響で鍋需要の立ち上がりが遅れたものの、需要期における大容量商品の拡販によって通期の販売数量は増加した。販売単価についても、価格政策の強化や在庫管理の徹底により前期を上回ったほか、付加価値商品の有機まいたけも好調に推移した。
損益面では、包装部門の合理化・省人化や生産効率向上によるコスト削減を進めたものの、猛暑によるエネルギーコストの上昇に加え、包装資材・人件費・物流費などのコスト増が重荷となり、損失幅の改善は4百万円程度にとどまった。前期に発生した猛暑による生育不調に対して栽培面の安定化を進めたことで販売機会の確保には一定の改善が見られたものの、収益構造の抜本的な改善には至っていない。今後は、販売単価の引き上げや有機まいたけなど差別化商品の拡販と併せ、省資源化・省力化、エネルギーマネジメントの強化などによるコスト構造改革が収益改善の焦点となる。
(3) 運送・倉庫事業
売上高は329百万円(前期比3.0%減)、セグメント利益は100百万円(前期は125百万円)と減収減益となった。運送部門では、営業活動の強化によって収益性の高い自社定期便の新規案件を獲得したほか、既存取引における運賃の適正化を進めたことで増収増益となった。一方、倉庫部門では、新規入庫案件の獲得に向けた営業活動を継続したものの、食品関連業界における原材料価格の高止まりを背景に、取引先の在庫圧縮傾向が継続した。この結果、平均在庫量が減少するとともに保管回転率も低下し、倉庫部門が減収減益となった。運送部門の増収増益を吸収しきれず、セグメント全体では減収減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)《HN》
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