富士フイルム、GFX ETERNA 55の更新計画を公開 自動NDとLANCは2027年初め以降

2026年7月19日 15:56

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記事提供元:Tech Times

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富士フイルムは7月15日、シネマカメラ「GFX ETERNA 55」向けファームウェアv1.10を配信し、2027年1月以降までの公開ロードマップも示した。購入を検討している映像制作現場にとっては、今後の機能追加時期が見える一方、自動NDやLANC対応はまだ先になることが明確になった。進行中の案件を抱えるユーザーは、色味の差が生じる可能性があるため、v1.10への更新時期に注意が必要だ。

■v1.10配信と公開ロードマップの意味

富士フイルムは15日に「GFX ETERNA 55」向けファームウェアv1.10の提供を開始し、2027年1月以降までを視野に入れた複数バージョンの公開アップデートロードマップも発表した。プロ向け映像機材の分野では、ここまで具体的な時期を添えた将来計画の公開は珍しく、発売後のプラットフォームがどこへ向かうのかを、時期付きで示した格好だ。

同時に、このロードマップは競合帯で一般的な2つの機能が現時点では未実装であることも明らかにしている。自動ND濃度制御はファームウェアv1.30で、時期は2027年1月以降の見込みであり、カメラ内部で記録するMXF形式の映像を本体で再生する機能も、2026年末までを見込むv1.20まで待つ必要がある。今回の公開は、将来への約束であると同時に、現状の制約を認めるものでもある。

■v1.10で最も重要な修正はPLマウント使用時のホワイトバランス

今回のv1.10は、新機能の追加よりも安定性と信頼性の改善が中心だが、特に重要なのはシネマレンズ運用に関わるホワイトバランスの修正である。CineDの報道によると、従来は付属のPLマウントアダプター経由で撮影した際にホワイトバランスがずれる場合があり、GFX ETERNA 55専用ファームウェアがまだ適用されていない富士フイルム製PLレンズだけでなく、サードパーティー製のPLレンズでも影響が出ていたという。

プロのシネマ制作では、このカメラのネイティブ4:3ラージフォーマットセンサーとPLマウントのシネマレンズ群を組み合わせる運用が大きな比重を占める。とりわけアナモフィックレンズはほぼPLマウントが前提であるため、この不具合は実運用で無視できない信頼性上のギャップだった。

富士フイルムは今回、更新に合わせて重要な運用上の注意も出している。ホワイトバランス補正により、旧ファームウェアで撮影した素材とv1.10適用後の素材の間で、色調にわずかな差が生じるため、進行中の案件は完了させてから更新するよう勧めている。撮影途中で更新すると、前後のカット間で色が合わず、ポストプロダクションで補正が必要になるおそれがある。

公式ロードマップ告知によると、v1.10ではこのほか、メニューや記録の安定性、表示精度、タイムコード処理、撮影時および再生時のモニター挙動も改善されている。

■これまでの更新履歴

GFX ETERNA 55は出荷開始以降、継続的にファームウェア更新を重ねてきた。2025年12月公開のv1.02では、HDMIとSDIの両方を通じたAtomosレコーダーへの外部RAW記録に対応した。これにより、1億200万画素センサーのデータを、内部記録の圧縮ProResやH.265だけでなく、RAWでも取り出せるようになった。

2026年1月下旬のv1.04では、一部の出力フォーマットで外部モニター表示の遅延が削減された。今回のロードマップは、こうした積み上げの延長線上にある。

■自動NDはなぜv1.30まで待つのか

ロードマップ上で技術的に最も大きい追加要素は、自動ND機能である。これはv1.30で導入される計画で、時期は2027年1月以降を見込む。

GFX ETERNA 55は発売時から電子式可変NDフィルターを内蔵している。レンズとイメージセンサーの間に置かれた液晶パネルが、電気的に分極した分子の向きを変えることで入射光の透過量を調整し、光を減衰させる仕組みだ。CineDのIMAX認証レビューによると、この内蔵可変NDはND 0.6からND 2.1まで、約2段から7段相当を0.015段刻みで調整でき、富士フイルムは視覚的には無段階に見えるとしている。これまでは、濃度調整はすべて手動だった。

v1.30の自動NDでは、カメラの測光系が周囲の光量変化を継続的に計算し、アイリス、シャッターアングル、ISOを一定に保つために必要なND電圧を自動で制御する。ドキュメンタリーや機動力重視の撮影では、屋内外を移動するたびに撮影を止めてND濃度を手動で合わせ直す必要が減り、このカメラの小型ボディーやIMAX対応センサー高を生かしやすくなる。

自動NDが発売時に入っていなかった理由は、ハードウェア不足ではない。自動制御に対応できる液晶パネル自体は当初から搭載されていた。必要だったのは、測光パイプラインとND電圧制御を結ぶソフトウェアのフィードバックループを最適化し、光が変化する場面でND値が行き来して画面が落ち着かなくなる『ハンチング』を避けることだった。こうした制御は、センサーの全出力域で本番環境の検証を重ねる必要があり、実装には時間を要する。v1.30では、手動派のオペレーター向けに、粗めのND調整をより細かくプリセットできる機能も加わる予定だ。

■v1.20でMXF再生に対応、現場運用の穴を埋める

放送やポストプロダクションの現場では、MXF(Material eXchange Format)が広く使われるコンテナ形式である。主にSMPTE ST 377-1:2019などの規格で定義され、映像、音声、タイムコードを含む各種メタデータを単一のファイル構造にまとめる。GFX ETERNA 55は内部でMXF/ProRes記録を行う。

このカメラでは、これまで本体内でMXF素材を再生できなかったため、撮影後の確認にはノートPCや再生機能付き外部モニター、あるいは別のメディアプレーヤーが必要だった。CineDは、富士フイルムがInter BEE 2025で同機を発表した時点でこの点を指摘していた。2026年後半に予定されるv1.20が提供されれば、セカンダリーデバイスなしでカメラ本体上で素材確認が可能になり、小規模クルーやロケ撮影での扱いやすさが増す。

MXF再生の実装は、組み込み機器のファームウェアとしては軽い作業ではない。専用ハードウェアで加速されるコーデックとは異なり、MXFはコンテナ層でエッセンスストリームやメタデータ構造の解析が必要で、その後に内部のProRes映像を表示系へ渡す必要がある。X-Processor 5はリアルタイム記録はこなせるが、再生時のデコードは別種のソフトウェア負荷を伴う処理であり、富士フイルムはそれをファームウェアで追加しようとしている。

v1.20ではこのほか、専用コンパニオンアプリを使ったカメラ設定のバックアップ/復元にも対応する。複数台のボディーを管理する現場や、数週間空いた後に既存のルックへ戻したい制作では有用性が高い。さらに、SDIとHDMI出力の遅延低減、アナモフィックデスクイーズの拡充、Open Gate 4K 4:3モードの追加も予定されている。

■v1.30でLANC対応、遠隔運用の選択肢が広がる

自動NDと並んで、v1.30ではLANCへの対応も加わる。LANCはLocal Application Control Bus Systemの略で、ソニーが考案し、プロ向け映像機器業界で広く採用されてきた双方向の有線リモート制御プロトコルである。2.5mm TRS端子を介し、各映像フレームの先頭に同期した毎秒9,600ビットの8バイトコマンドフレームを送る仕組みで、三脚の操作ハンドル、フォローフォーカス、ワイヤレスレンズコントローラー、遠隔操作リグなどからカメラを制御できる。

実運用では、LANC対応は多くのリモート撮影構成の前提条件になっている。ドローンリグ、水中ハウジング、クレーンヘッド、あるいはオペレーターが本体ボタンに物理的に触れられないセットアップでは特に重要だ。GFX ETERNA 55は発売時点でこれを欠いていたため、投入可能な現場が限られていた。v1.30はその制約を取り除く更新になる。

同じv1.30では、カメラ本体とハンドルの多機能ダイヤルを通じて、Fujinon Duvoシリーズレンズの遠隔制御にも対応する予定で、既にFujinonレンズ群を運用している撮影現場との統合も強まる。

■GFX ETERNA 55はどんなカメラか、ロードマップが判断材料になる理由

GFX ETERNA 55は、2025年10月に1万6,499.95ドル(約267万3,000円、1ドル=162円換算)で発売された。静止画と動画の兼用機ではなく、プロ向け映像制作専用として一から設計された富士フイルム初のカメラである。PetaPixelのIMAX認証報道によると、基盤となるのはGFX CMOS II HSセンサーのカスタム版で、43.8×33.9mmのベイヤー配列センサーにX-Processor 5を組み合わせる。対角54.53mmというセンサーサイズが『55』の由来で、Film and Digital Timesによると、一般的な対角約31.6mmのSuper 35クラスより物理的に大きい。これにより、同じ画角を得るにはより長い焦点距離が必要になり、同フレーミングでの被写界深度は浅く、レンズの圧縮感も異なる。

2026年1月にはIMAX認証も取得し、Filmed For IMAXプログラムで承認されたカメラの一覧に加わった。IMAXのChief Content OfficerであるJonathan Fischer氏は、この追加を『映画制作者にとってもファンにとっても勝利だ』と表現している。認証の鍵になったのは、記録時の有効縦方向イメージエリアが32.71mmある4:3 Open Gateセンサー高で、IMAXの拡張アスペクト比である1.9:1や1.43:1は、16:9機では対応しにくいこの縦方向の余裕に依存する。

CineDがNAB 2026で実施したStradaのCEO Michael Cioni氏へのインタビューによると、このカメラは約7万6,610ドルのARRI Alexa 35と比べて、総合的なダイナミックレンジではやや譲る一方、はるかに大きいセンサーを大幅に低い価格で提供する。Cioni氏は両機の直接比較を公開し、『Alexa 35の6分の1の価格のカメラが、画でも6分の1劣るのか』という問いを立て、自身の評価としてはそうではないとした。

一方で、CineDのレビューは、より低価格な代替機と比べてドキュメンタリー制作者や小規模制作会社には『ワークフロー上の制約』があるとも指摘している。また、内部10ビットProRes記録は12ビットARRIRAWより色精度で不利だが、外部レコーダーへの12ビットRAW出力によって、その差の多くは埋められるともしている。

このロードマップが重要なのは、発売以来つきまとってきた『初期機能は完成形だったのか、それとも土台だったのか』という疑問への直接的な答えになるからだ。富士フイルムは、バージョン番号と時期目標を伴う形で、後者だと明文化した。センサーハードウェアに見合うプロ向けワークフロー機能へ今後成熟していくのかを見極めたい撮影現場にとって、今回の公開ロードマップは判断材料になる。

■注目ポイントQ&A

●GFX ETERNA 55のv1.10はすぐ適用すべきですか?

進行中の案件がある場合は、すぐの適用は勧めにくいです。富士フイルムは、v1.10のホワイトバランス補正によって旧ファームウェアの素材と色調にわずかな差が出るため、現在のプロジェクトを完了してから更新するよう明示しています。撮影途中で更新すると、前後のカットをそろえるためにポストプロダクションで色補正が必要になる可能性があります。

●自動NDはいつ追加され、何ができるようになりますか?

富士フイルムは、ファームウェアv1.30を2027年1月以降に提供する計画を示しています。追加後は、周囲の光量変化に応じて内蔵電子式可変NDの濃度を自動制御し、アイリス、シャッターアングル、ISOを一定に保つ運用が可能になります。

●LANC対応はなぜ重要ですか?

LANCは有線のリモート制御プロトコルで、三脚ハンドル、フォローフォーカス、クレーンヘッド、ドローンリグなどからケーブル経由でカメラに指令を送れます。水中ハウジングや空撮リグのように本体へ直接触れない運用では重要で、v1.30で対応すれば既存のLANC対応アクセサリー資産を生かしやすくなります。

●GFX ETERNA 55は完成した製品ですか、それとも発展途上ですか?

両方の側面があります。55mm対角の1億200万画素センサー、内蔵電子式可変ND、ハードウェア基盤は既に出荷され機能しています。一方で、本体内MXF再生や自動NDといった、購入時に期待されても不思議ではないプロ向けワークフロー機能はまだ開発中で、導入時期は2026年後半から2027年初め以降にまたがります。自動NDやLANCが現時点で必須なら他の選択肢が適する可能性があり、現状の制約を受け入れられるかどうかを含めて判断する必要があります。

元記事: Fujifilm Details GFX Eterna 55 Roadmap: Auto ND and LANC Head for Early Next Year

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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