米国株式市場見通し:PCEコア指数や小売決算に注目

2024年2月24日 14:36

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記事提供元:フィスコ

*14:36JST 米国株式市場見通し:PCEコア指数や小売決算に注目
 

エヌビディアの四半期決算の期待を上回った結果を受けた投資家心理の改善で、相場は来週も続伸する可能性がありそうだ。投資家の焦点は金融政策から「AI革命」に移行しつつあるようだ。過度な利下げ期待は後退しつつあるが、「AI革命」がまだ始まったばかりで、この先かなりの伸びしろがあるとの期待が強まり、投資家の株式市場への自信につながったようだ。今後、債券市場からの資金流入も期待され、相場押し上げ要因になるだろう。一方、リスクは現行の第1段階のつなぎ予算が来週末に期限がくるため、政府機関閉鎖の可能性だ。もし、下院で来週末までに予算案がまとまらなかった場合、再び政府機関閉鎖のリスクに直面、上値を抑制することになるだろう。

FRBは今週公表された1月開催分のFOMC議事録で大半の高官が時期尚早な利下げのリスクを留意していることが指摘され、政策決定において、インフレ制御に依然、重点が置かれていることが明らかになった。FRB高官は地政学的リスクや賃金の上昇がインフレの上方リスクとなり、インフレの進展が失速する可能性を懸念している。さらに、消費支出は驚く程柔軟性があり、強い需要がインフレの上昇圧力となる可能性にも指摘があった。不透明感がくすぶり、速やかな利下げは予想しないが同時に、利下げのポイントに近づいた可能性があるとの考えを示しており、時期に不透明性があるが年内の利下げの可能性が強まりつつあることは確かで、相場を支える要因になるだろう。

来週はFRBがインフレ指標として最も注視しているPCEコア指数の1月分が発表予定で、インフレの進展動向に注目だ。市場は前年比+2.8%と、21年3月以降で最低の伸びに改善を予想している。もし、予想通り、インフレ改善基調が確認された場合、FRBの年内の利下げを織り込み、新たな相場上昇要因になるだろう。

経済指標では、1月新築住宅販売件数、2月ダラス連銀製造業活動(26日)、1月耐久財受注速報、12月FHFA住宅価格指数、S&P20都市住宅価格指数、2月リッチモンド連銀製造業指数、2月コンファレンスボード消費者信頼感指数(27日)、10-12月期国内総生産(GDP)改定値、1月卸売在庫速報(28日)、1月個人所得・個人消費支出(PCE)、PCEコア指数、週次新規失業保険申請件数、2月シカゴ購買部協会景気指数、1月中古住宅販売仮契約(29日)、2月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値、2月ISM製造業景況指数、2月ミシガン大消費者信頼感指数確報値(3月1日)、などが予定されている。

主要企業決算では、製薬会社のノババックス(28日)、小売り関連では、宅配ドミノ・ピザ(26日)、カジュアル用品小売りのアーバン・アウトフィッターズ、食品会社のJMスマッカー、ビールメーカーのボストン・ビール、ホームセンター運営会社のロウズ、百貨店のメーシーズ(27日)、映画館運営のAMCエンターテインメント・ホールディングス、ディスカウント衣料小売りのTJXカンパニーズ(28日)、パーソナルケア用品のバス&ボディ・ワークス、家電量販チェーンのベスト・バイ(29日)、ハイテク関連ではビデオ会議プラットフォームを供給するズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、クラウドアプリケーションを手掛けるワークデイ(26日)、クラウド型ソフトウエア会社のセールスフォースやソフトウエア・ソリューション会社のスノーフレイク、AI関連のC3.ai(28日)、コンピューターメーカーのデル・テクノロジーズ(29日)、オンラインTVを提供するフボTV(3月1日)などが予定されている。

AI関連ではC3.aiに期待が集まる。また、TJXなど小売決算で国内消費動向の底堅さが証明できるかどうかに注目だ。

(Horiko Capital Management LLC)《FA》

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