シナネンホールディングスは23年3月期予想の売上高を下方、利益を上方修正

2023年4月3日 12:56

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(業績修正速報)  シナネンホールディングス<8132>(東証プライム)は3月31日の取引時間終了後に23年3月期連結業績予想の修正を発表した。直近の原油価格下落に伴って売上高を下方修正したが、電力事業における相対電源の調達、法人向け電力販売における価格改定、LPガス事業における棚卸資産影響などで利益を上方修正し、前回予想に比べて減益幅が縮小する見込みとした。投資有価証券売却による特別利益計上も寄与する。また第3次中期経営計画を策定(詳細は5月12日予定の23年3月期決算発表と併せて公表)した。積極的な事業展開で24年3月期の収益改善を期待したい。株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが、目先的な売りが一巡して切り返しの動きを強めている。利益上方修正を評価して出直りを期待したい。

■23年3月期は利益を上方修正して減益幅縮小見込み

 23年3月期の連結業績予想(1月31日付で売上高を上方修正、各利益を下方修正)は3月31日付で修正して、売上高が22年3月期比17.5%増の3400億円、営業利益が59.7%減の10億円、経常利益が63.3%減の12億円、親会社株主帰属当期純利益が79.9%減の5億円とした。配当予想は据え置いて22年3月期と同額の75円(期末一括)としている。

 前回予想(売上高3700億円、営業利益0億円、経常利益1億円、親会社株主帰属当期純利益0億円)に対して、売上高を300億円下方、営業利益を10億円、経常利益を12億円、親会社株主帰属当期純利益を5億円それぞれ上方修正した。直近の原油価格下落に伴って販売単価が下落しているため売上高を下方修正したが、電力事業において競争力の高い相対電源の調達を行ったこと、法人向け電力販売において価格改定を実行したこと、LPガス事業において棚卸資産の在庫影響があったことなどで利益を上方修正し、前回予想に比べて減益幅が縮小する見込みとした。親会社株主帰属当期純利益については、特別利益(投資有価証券売却益9億65百万円)も寄与する。

 なお第3四半期累計は売上高が前年同期比28.8%増の2353億97百万円、営業利益が4億65百万円の赤字(前年同期は6億02百万円の黒字)、経常利益が2億30百万円の赤字(同10億87百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益は7億76百万円の赤字(同4億90百万円の黒字)だった。

 原油価格高騰に伴う販売単価上昇などで大幅増収となり、石油事業では差益を確保したが、LPガスや電力の売上総利益悪化に加えて、DX推進に向けたIT関連投資や人財関連投資などの先行投資の影響で赤字だった。なお営業外費用では持分法による投資損失2億46百万円を計上、特別利益には固定資産売却益23億53百万円を計上、特別損失には韓国の大型陸上風力発電事業に関連して保有する固定資産の減損損失20億04百万円を計上した。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、主力のLPガス・灯油販売において、原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価上昇で増収だが、利益面はLPガスや電力の総利益悪化により営業赤字だった。なお新たな収益源確保に向けた取り組みとして、第3四半期より関東エリアにおいて不動産事業を開始した。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、主力の石油事業においてBtoC事業と同様に販売単価が大幅に上昇して増収だった。利益面は全体として増益だった。電力販売において調達コストが上昇したが、石油事業において原油市況変動に対応した仕入施策により差益を確保した。船舶燃料部門における長期契約案件獲得も寄与した。

 非エネルギー事業は全体として増収増益だった。自転車事業(シナネンサイクル)は海外輸送費や原材料価格の高騰に対応して価格改定を実施したが、外部環境が想定以上に悪化して減益だった。シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS)は「ダイチャリ」の拠点開発を推進し、22年4月の価格改定効果も寄与して好調だった。22年12月末時点のステーション数は3000カ所超、設置自転車数は1万台超の規模となった。環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク)は建築系廃棄物発生量減少の影響で減収減益だった。抗菌事業(シナネンゼオミック)は抗菌需要一服により減益だった。システム事業(ミノス)は電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が伸長した。建物維持管理事業(タカラビルメンなど)は運営エリアの拡大やマンション共用部清掃業務の拡大などで増収だが、今期受託開始した大型物件の立ち上げに伴う経費先行の影響で減益だった。なお建物維持管理事業を手掛けるグループ4社について、統合に向けた取り組みを進めている。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が711億94百万円で営業利益が50百万円の赤字、第2四半期は売上高が685億46百万円で営業利益が7億70百万円の赤字、第3四半期は売上高が956億57百万円で営業利益が3億55百万円の黒字だった。ガスや灯油の需要期である下期の構成比が高い季節特性がある。

 23年3月期の利益は上方修正して、前回予想に比べて減益幅が縮小する見込みとなった。さらに積極的な事業展開で24年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが、目先的な売りが一巡して切り返しの動きを強めている。利益上方修正を評価して出直りを期待したい。3月31日の終値は3205円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS45円77銭で算出)は約70倍、前期推定配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.3%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS4922円46銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約418億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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