クリーク・アンド・リバー社は23年2月期3Q累計2桁増益で過去最高、自己株式取得も発表

2023年1月12日 13:16

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は1月11日の取引時間終了後に23年2月期第3四半期累計連結業績を発表した。日本クリエイティブ分野や医療分野の好調が牽引し、成長に向けた戦略投資を吸収して2桁増益だった。第3四半期累計として過去最高だった。そして通期の2桁増益予想を据え置いた。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得(上限26万5000株・5億円、取得期間23年1月12日~23年2月28日)、およびテレビ番組企画・制作のシオングループの株式取得(子会社化)も発表した。株価は地合い悪化も影響して反発力の鈍い展開だが、好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■23年2月期3Q累計2桁増益で過去最高、通期も2桁増益予想

 23年2月期第3四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用で売上高に影響だが、利益への影響軽微)は、売上高が前年同期比6.2%増の332億24百万円、営業利益が10.3%増の33億20百万円、経常利益が11.0%増の33億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が20.4%増の23億82百万円だった。日本クリエイティブ分野や医療分野の好調が牽引し、戦略投資を吸収して2桁増益と順調だった。第3四半期累計として過去最高業績だった。

 なお収益認識会計基準適用により、日本クリエイティブ分野の電子書籍取次事業およびライセンス販売代理人事業で売上高の総額表示を純額表示に変更、請負事業で完成基準から進行基準に変更している。この影響額として、従来方法に比べて売上高が14億15百万円減少、売上原価が14億75百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ59百万円増加している。旧基準による売上高は10.8%増の346億39百万円だった。営業利益以下への影響は軽微だった。

 日本クリエイティブ分野は、売上高が3.2%増の225億14百万円(旧基準では9.7%増収)で、営業利益(調整前)が2.8%増の21億31百万円だった。ゲーム・WEB関連のプロデュース事業が好調に推移し、新規事業投資(メタバース関連等)やDX投資を吸収した。

 韓国クリエイティブ分野は、売上高が0.1%増の26億10百万円で、営業利益が11百万円の損失(前年同期は9百万円の利益)だった。コンテンツ事業のデジタルコミック(Webtoon)が伸長したが、TV局への派遣稼働数が減少した。

 医療分野は売上高が18.6%増の42億82百万円で、営業利益が38.1%増の12億95百万円だった。自動マッチングシステムによる成約件数増加も寄与して医師紹介が好調に推移し、新規事業(クリニック経営支援)投資を吸収した。なおコロナ禍の影響が和らいだため、レジナビFairのリアル開催を再開し、オンライン開催と合わせたハイブリッド型として開催している。

 会計・法曹分野は売上高が11.2%増の17億10百万円で、営業利益が2.0倍の1億11百万円だった。コロナ禍の影響が和らいで人財紹介が回復基調となり、事業承継サービスも進展した。

 その他事業(新規事業合計16社)は、売上高が23.3%増の21億06百万円で、営業利益が2億11百万円の損失(前年同期は59百万円の損失)だった。設立1年未満の子会社が6社と投資段階の事業が多いため全体として営業損失が拡大したが、売上面は16社のうち5社が増収、5社が減収、営業利益は16社のうち7社が収益改善・黒字となった。IT子会社は第3四半期に黒字転換した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高113億71百万円で営業利益16億87百万円、第2四半期は売上高109億63百万円で営業利益8億24百万円、第3四半期は売上高108億90百万円で営業利益8億09百万円だった。なお第2四半期および第3四半期の営業利益は、第1四半期に比べて大幅に減少し、前年同期との比較でも減益となったが、これは医療分野の収益が上期偏重(特に第1四半期偏重)となる季節特性に加えて、第2四半期から成長に向けた戦略投資を活発化させたためである。

 成長に向けた戦略投資としては、日本クリエイティブ分野におけるC&Rクリエイティブスタジオのメタバース化、VR建築展示場「XR EXPO」の構築、収益認識会計基準対応や生産性向上に向けたDX化推進、新卒採用・研修の強化(22年4月入社実績160名に対して、23年4月入社予定300名)、および子会社6社設立・グループ化などを推進した。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年2月期比5.3%増の440億円、営業利益が17.2%増の40億円、経常利益が17.0%増の40億円、親会社株主帰属当期純利益が12.4%増の25億円としている。なお収益認識会計基準適用の影響を除く旧基準ベースの売上高は10.0%増の460億円の計画としている。配当予想は22年2月期比3円増配の23円(期末一括)としている。12期連続増配予想である。

 日本クリエイティブ分野を中心に各セグメントが好調に推移し、成長に向けた戦略投資を吸収して2桁増益予想としている。第3四半期累計の進捗率は売上高76%、営業利益83%、経常利益84%、親会社株主帰属当期純利益95%だった。医療分野の収益は上期偏重となる季節特性があることを考慮しても順調な水準であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は戻り試す

 株価は22年9月の上場来高値圏から利益確定売りで反落し、その後は地合い悪化も影響して反発力の鈍い展開だが、好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。1月11日の終値は1970円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS112円15銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の23円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS540円83銭で算出)は約3.6倍、そして時価総額は約453億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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