欧米のインフレ懸念による積極的な利上げへの懸念が重荷【クロージング】

2022年10月20日 16:05

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記事提供元:フィスコ

*16:05JST 欧米のインフレ懸念による積極的な利上げへの懸念が重荷【クロージング】
20日の日経平均は反落。250.42円安の27006.96円(出来高概算10億4000万株)で取引を終えた。英国の9月の消費者物価指数(CPI)が高い伸びとなり、欧米の中央銀行による積極的な金融引き締めが続くとの見方から前日の欧米株価が下落した流れを受け、売りが先行して始まった。じり安基調が続くなか、日経平均は後場取引開始直後には26872.45円まで下げ幅を拡大させる場面も見られた。ただし、後場中盤に入ると「中国当局が新型コロナウイルス防疫対策として定める入国者の隔離期間を短縮することを討議している」と米メディアが伝えたことをきっかけに、短期筋による買い戻しが入り、日経平均は27000円台で底堅さを見せていた。

東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄が1200を超え、全体の7割近くを占めた。セクター別では、鉱業、空運、銀行、ゴム製品など7業種が上昇。一方、精密機器、ガラス土石、海運、金属製品、非鉄金属など26業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、ソフトバンクG<9984>、NTTデータ<9613>、KDDI<9433>、テルモ<4543>がしっかりだった半面、ファーストリテ<9983>、東エレク<8035>、アドバンテス<6857>、HOYA<7741>が軟調だった。

前日の欧米市場では金利が全般的に上昇したことを背景に弱含む展開だった。また、米半導体製造装置メーカーのラムリサーチが、2023年の半導体前工程製造装置市場は前年比2割以上縮小する見通しを示したため、東エレクなどの半導体関連株が値を消したほか、京セラ<6971>や村田製<6981>などの電子部品関連株にも売りが波及した。また、前日に日経平均が上値抵抗帯と意識された200日線水準を上回ったこともあり、全般の地合い悪化を背景に戻り待ちの売りも出たようだ。

英国のCPIに続き、カナダのCPIも予想を上回るなど、投資家の関心は再び世界のインフレ動向に移っている。前日もミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はコアインフレ率が低下するまで利上げを継続する意向を示唆するなど、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅な利上げ継続に対する懸念は拭えていない。今夜も10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数や9月の中古住宅販売件数などが発表される。積極的な利上げによる景気減速懸念が強まるのか見極めたいと考える向きが多い。また、FRB幹部の講演も予定されているため、引き続き外部環境を見定めながらの展開が続きそうだ。《FA》

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