4月のくりっく365、ドル・円は上値を試す展開、豪ドル・円は堅調か

2022年4月12日 13:41

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記事提供元:フィスコ


*13:41JST 4月のくりっく365、ドル・円は上値を試す展開、豪ドル・円は堅調か
東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、2022年3月の取引数量が前月比68.7%増の345万1339枚、1日の平均取引数量は15万0058枚と前月比で増加した。月末時点の証拠金預託額は3968.51億円と前月比で29.05億円増加した。取引通貨量では、米ドル、メキシコペソ、南アフリカランド、豪ドル、ユーロの順となった。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、3月の取引数量が前月比0.5%減の577万4774枚、1日の平均取引数量は25万1077枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は660.51億円となり、前月比で約14.92億円の増加となった。

取引数量トップは米ドル・円で96万6795枚(前月比131.2%増)だった。3月の間に10円ほども円安・ドル高が進展した。3月15-16日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内の利上げ回数として7回(前会合では3回)、2023年は3~4回の見通しが示された。想定されていたシナリオの中ではかなりタカ派の結果となり、日米金利差の拡大への思惑からドル買い・円売りに繋がった。また、ウクライナ情勢を巡る対ロシア制裁強化を背景にエネルギー市況の逼迫長期化が見込まれるなか、資源輸入国である日本の貿易収支の悪化を通じた実需によるドル買い・円売りへの思惑も一段と強まった。さらに、3月28日には、日銀が国債を無制限に買い入れる「指し値オペ(公開市場操作)」を実施したことで、金利を抑え込む姿勢が鮮明となり、日米金利差拡大への思惑から、為替は6年7カ月ぶりとなる1ドル=125円台を付けた。

メキシコペソも3月は対円で力強い上昇基調を続けた。日本とメキシコの間での中央銀行の政策スタンスの違いや、対ロ制裁を背景としたエネルギー市況の高止まりから、資源輸入国である日本に対して、資源輸出国であるメキシコの相対的な強さが際立った。24日には
メキシコ銀行(中央銀行)が7会合連続の利上げを決めたことも、こうした流れに拍車をかけた。

4月のドル・円は上値を試す展開か。日銀の黒田総裁は「円安は日本経済に全体としてはプラス」、「いま金融を引き締めれば、景気がさらに悪化する」などと述べており、市場の思惑を覆すかのように緩和政策を維持する考えを強調した。実際、指値オペを連続して行うなど円安進行を気にかけていない様子。ドル・円については日本の政財界の要人発言などをきっかけとした投機筋の持ち高調整くらいしか、下落要因を見出しにくい。日米金利差の拡大や、エネルギー市況の高止まりという構造的な要因が解消されない限りは、じりじりと円安・ドル高が進行しそうだ。

豪ドル・円は堅調もみ合いか。資源価格の派手な上昇は一服しているが、対ロ制裁の長期化が見込まれるなか、需給逼迫が解消されるには相当な時間がかかるだろう。新型コロナ感染が再拡大している中国では再びロックダウン(都市封鎖)が実施されており、需要面での鈍化もリスクとしては想定されるが、構造的・長期的な視点から見れば需給はやはり逼迫が続く公算が高い。これに伴い、石炭や天然ガスなどの資源輸出大国であるオーストラリア通貨を選好する地合いは続きやすいと考えられる。《YN》

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