うかいは下値固め完了、23年3月期はコロナ禍の影響が和らいで収益回復基調

2022年3月25日 10:59

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 うかい<7621>(JQ、新市場区分スタンダード)は高級和食・洋食料理店を主力として、物販事業および文化事業も展開している。22年3月期予想は未定としているが、第3四半期(10月~12月)は営業・経常・純利益とも黒字転換した。2月の既存店売上はまん延防止重点措置の影響で前年比99.7%だったが、23年3月期はコロナ禍の影響が徐々に和らいで収益回復基調だろう。なお取引金融機関とのコミットメントライン契約を締結・更新しているため資金面の不安はない。株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍く小幅レンジでモミ合う展開だが、一方では下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■高級和食・洋食料理店が主力

 高級和食・洋食料理店を主力として、物販事業および文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。21年3月期末時点の店舗数は和食7店舗、洋食8店舗である。22年3月には銀座kappou ukaiがリニューアルオープンした。物販事業は「アトリエうかい」の常設店、ECサイト、百貨店の催事出店での販売などを展開している。

 海外は、17年11月台湾・高雄市のホテル「シルクスクラブ」内に1号店「うかい亭 高雄」をグランドオープン、19年1月台湾・台北市の商業施設「微風南山」内に2号店「ザ・ウカイ・タイペイ」をオープンしている。

 セグメント区分は、事業本部(和食事業、洋食事業、物販事業)および文化事業としている。収益面では第3四半期の構成比が高い季節特性がある。

■成長戦略としてブランド向上や新サービス創造を推進

 中期成長戦略として、ブランドの向上と確立(オンリーワンの店づくり)、安定的な収益基盤の再構築、戦略的・中長期的な人材育成、財務体質の改善を推進している。

 具体的には、飲食事業における顧客ニーズ多様化に対応した新メニューの開発、郊外店舗の集客力の底上げ、物販事業における「アトリエうかい」の成長促進、文化事業におけるイベント企画強化など、収益力向上に向けた施策を推進する方針だ。

 新型コロナウイルスを契機とする「新しい生活様式」に対応してテイクアウト販売も開始した。今後はテイクアウトやECをはじめとする販売チャネルの拡充など、新たなサービスの形の創造にも積極的に取り組む方針としている。

 21年11月には、京都においては初めての常設店となる「アトリエうかい 高島屋京都店」を新規出店した。

■22年3月期予想未定、コロナ禍の影響が和らいで収益回復基調

 22年3月期第3四半期累計の業績(非連結、収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微)は、売上高が前年同期比14.5%増の73億52百万円、営業利益が8億09百万円の赤字(前年同期は8億03百万円の赤字)、経常利益が2億48百万円の赤字(同7億90百万円の赤字)、四半期純利益が2億75百万円の赤字(同11億3百万円の赤字)だった。

 コロナ禍で厳しい状況が継続しているが、累計ベースの前年同期との比較では前年の臨時休業(20年4月~5月)の反動増などで2桁増収となり、経常・最終赤字が大幅に縮小した。事業別売上高は事業本部(飲食事業部、物販事業部)が15.1%増の67億75百万円、文化事業(箱根ガラスの森)が7.2%増の5億77百万円だった。

 営業外収益では助成金収入が増加(前期は54百万円計上、今期は5億69百万円計上)した。特別利益では前年同期に計上した災害による保険金収入1億23百万円および助成金収入1億75百万円が剥落した。特別損失では前年同期に計上した臨時休業による損失5億58百万円が剥落した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高20億46百万円、営業利益5億01百万円の赤字、経常利益4億59百万円の赤字、四半期純利益4億63百万円の赤字、第2四半期は売上高19億78百万円、営業利益5億78百万円の赤字、経常利益1億61百万円の赤字、四半期純利益1億65百万円の赤字、第3四半期は売上高33億28百万円、営業利益2億70百万円の黒字、経常利益3億72百万円の黒字、四半期純利益3億53百万円の黒字だった。第3四半期は営業・経常・純利益とも黒字転換した。

 通期予想は引き続き未定としているが、コロナ禍の影響が徐々に和らいで収益回復基調を期待したい。なお取引金融機関とのコミットメントライン契約を締結・更新しているため資金面の不安はない。

 月次売上(前年同月比)は、21年10月は全店・既存店とも100.0%、11月は全店(11月1日にアトリエうかい高島屋京都店をオープン)が105.4%で既存店が102.4%、12月は全店が112.7%で既存店が109.6%、22年1月は全店が142.0%で既存店が137.1%、2月は全店が102.9%、既存店が99.7%だった。2月はまん延防止重点措置の影響を受けたが、売上回復基調である。

 なお参考値として、令和元年台風19号被災(19年10月)およびコロナ禍の影響を受けなかった19年3月期との比較で見ると、21年10月は全店が83.1%で既存店が79.9%、11月は全店が85.4%で既存店が80.3%、12月は全店が87.1%で既存店が81.7%、22年1月は全店が85.6%で既存店が78.7%、2月は全店が68.3%で既存店が62.7%だった。

■資金面の不安なく、リスクマネジメントを評価

 なお新型コロナウイルス影響の長期化に備えて、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結・更新しているため資金面の不安はない。

 21年3月期有価証券報告書の「事業等のリスク」欄には「新型コロナウイルスの影響で売上高が著しく減少して営業損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているが、財務基盤を安定させるためキャッシュ・フロー改善の推進、設備投資や経費の見直しなどの対策を行っていることに加えて、手元資金を厚くすることを目的として、21年4月および5月に取引金融機関4行と総額39億円の機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約を締結および延長していることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断している」との内容が記載されている。

 コミットメントライン契約による21年3月末時点の借入残高は14.5億円だった。借入極度枠に余裕があるため資金面の不安はない。リスクマネジメントが強化されていることを評価したい。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて優待券などを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は下値固め完了

 株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍く小幅レンジでモミ合う展開だが、一方では下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。3月24日の終値は3005円、前期実績PBR(前期実績のBPS542円39銭で算出)は約5.5倍、そして時価総額は約158億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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