マザーズ市場2022年の動向と先物戦略vol.4〜注目企業の業績動向や市場区分見直し、マザーズ先物を用いた投資戦略~

2022年2月14日 17:06

印刷

記事提供元:フィスコ


*17:06JST マザーズ市場2022年の動向と先物戦略vol.4〜注目企業の業績動向や市場区分見直し、マザーズ先物を用いた投資戦略~
以下は、2022年2月8日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「マザーズ市場2022年の動向と先物戦略」である。フィスコアナリスト白幡玲美と、チーフアナリストである小林大純が、対談形式で今後のマザーズ概況と注目企業についても解説している。4回に分けて配信する。


小林:はい。マザーズ先物を活用するメリットとして、少額から手軽に取引できること、少額の元手でも大きな額の取引が可能で、効率の良い投資ができること、現物株の取引ができない時間帯でも対応可能なこと、売りからも入れる柔軟な戦略立案が可能であることの4つが挙げられます。

白幡:それぞれ詳しく教えて頂けますでしょうか。

(資料 少額から手軽に取引できる/大きな売買代金で効率の良い投資ができる)
小林:はい、まず「小額から手軽に取引できる」という点です。1月20日のマザーズ先物終値は821ptでした。マザーズ先物の最低単位は1枚から、先物価格の1000倍単位からの売買となるので、例に挙げたように82万1000円からということになります。ただ、実際に取引する際はこの金額全てを用意する必要はなく、証拠金という小額の金額を用意すれば始めることができます。1月20日時点のマザーズ先物取引の証拠金は6万円です。つまり、時価総額上位のマザーズ銘柄を現物株で取引しようとするとおおむね数十万円の資金が必要となるのに対し、マザーズ先物は10万円未満という金額から取引できるという手軽さがあるのです。
そして、これが2点目の「大きな売買代金で効率の良い投資ができる」にもつながってきます。マザーズ先物は6万円という証拠金を用意するだけで82万1000円の取引ができるわけですから、およそ10倍のレバレッジがかけられるのです。現物株の信用取引は預けた担保評価額の最大3.3倍程度までの取引となるため、マザーズ先物取引は資金効率がより高いと言えます。
2016年7月の取引開始以降、マザーズ先物の取引高は順調に増えています。個別のマザーズ銘柄に代わり、マザーズ先物を通じて新興株・マザーズ市場に対するエクスポージャーを保有するようになった方が増えてきているのでしょう。

白幡:小額から成長可能性の高いマザーズ企業に投資できるのはうれしいですね。


小林:はい、次に3点目の「現物株の取引ができない時間帯でも対応可能なこと」についてです。先物は現物株の取引が行えない夕方4時半(16:30)から翌日の早朝5時半までの間も取引を行うことが可能です。(※2021年9月より翌日6時まで取引時間延長)
これにより、現物株の取引終了後に多くある決算等の会社発表、また夜間の米国発ニュースを受けていち早くマザーズ先物取引で対応することができるのです。個別企業に関する材料でも、例えばメルカリのようなマザーズ指数への影響が大きい銘柄ならマザーズ先物の代替性は高いと考えられ、積極的に活用することができるでしょう。決算発表シーズンでも主要企業の業績動向をいち早く確認し、マザーズ先物取引で対応することなどが選択肢として考えられます。また、このところアメリカのハイテク株安がマザーズの新興IT株にも波及しがちなため、夜間の海外株式市場の動向によってはマザーズ先物を売り建ててヘッジしておくといった活用も有効でしょう。

白幡:確かに、そうしたケースを想定すると取引可能な時間の長さは有効に活用できそうですね。


小林:最後に「売りからも入れる柔軟な戦略立案が可能」という点です。ほかに売りから入れる方法として、代表的なものに信用取引を活用した空売りがあります。ですが、マザーズ銘柄は流動性などの観点から空売りを行うことが意外と難しいのです。日本取引所グループが空売りできる条件を満たした銘柄として「貸借銘柄」と呼ばれる銘柄群を定めていますが、1月20日時点でマザーズ全上場銘柄424銘柄のうち貸借銘柄は101銘柄しかありません。そのため、貸借銘柄でないマザーズ時価総額上位銘柄を保有している場合、マザーズ先物を短期的な株価下落に備えたヘッジ手段として活用することが考えられますね。例えば長期的に有望な銘柄なのでまだ持っていたいけれど、成長のための先行投資などで目先の決算は心配、また短期的な株式市場の急変が心配、などといったケースが挙げられます。

白幡:現在の環境では、特にマザーズ先物を活用した投資戦略が有効なように思えますね。

小林:そうですね。先に説明した通り、引き続き高成長を実現しているマザーズ企業がある一方、市場環境は新興株のようなグロース銘柄にとって厳しいため、市場全体の下落リスクをヘッジする目的でのマザーズ先物の活用はより重要性が増しているでしょう。逆に新興株の復調が期待できそうなタイミングでは、ひとまずマザーズ先物でエクスポージャーをとることも有力な選択肢になるかと思います。

白幡:なるほど、マザーズ先物を活用するメリットは多いことがよくわかりました。小林さん、解説ありがとうございました。

小林:はい、ありがとうございました。

白幡:ここまでご清聴頂きありがとうございました。皆様にもマザーズ企業の将来性やマザーズ先物の魅力が伝わりましたら幸いです。ぜひマザーズ先物を活用してみて下さい。《NH》

関連記事