(2)マザーズ市場の投資戦略2021 〜2021年前半の株式相場とマザーズ市場の概況〜

2021年8月12日 15:08

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記事提供元:フィスコ


*15:08JST (2)マザーズ市場の投資戦略2021 〜2021年前半の株式相場とマザーズ市場の概況〜
以下は、2021年8月2日にYouTubeチャンネル「FiscoTV」で配信された「マザーズ市場の投資戦略2021 〜2021年前半の株式相場とマザーズ市場の概況〜」である。フィスコアナリストの白幡 玲美氏とフィスコアナリストの小林大純氏が、対談形式で2021年前半の株式相場、それにマザーズ市場の概況について解説している。3回に分けて配信する。


白幡:それでは2021年前半の株式相場やマザーズ市場の概況についても教えて頂けますでしょうか。

(資料 日経平均株価の推移 2021年前半)

小林:
わかりました。それではこちらのグラフをご覧下さい。日経平均株価の2021年前半の推移を示したものです。2020年に3800円近い大幅上昇を記録した日経平均ですが、2021年初めもこうした流れが続き、2月16日に取引時間中の年初来高値30714.52円を付けました。3万円台を回復したのはおよそ30年半ぶりのことでした。世界経済のエンジン役であるアメリカでバイデン新政権が大型の経済対策を成立させたこと、新型コロナウイルスのワクチン普及とともに経済活動が正常化へ向かったこと、この間も緩和的な金融政策が維持されたことなどが要因として挙げられます。しかし、その後は4カ月以上にわたって高値更新できずもみ合う展開が続いています。

白幡:
確かにグラフからは上値の重い印象を受けますね。なぜこのようになったのでしょうか?

小林:
まずこうしたアメリカの経済・金融政策は景気を過剰に刺激するとして、インフレ、つまり物価高の思惑が広がったことが挙げられます。実際に資源・穀物といった商品市況が急騰し、話題になりましたね。また、その後一転してコロナ禍からの景気回復ペースは徐々に鈍化するとの見方や、アメリカの中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のために金融緩和の縮小開始を早めるのではといった見方が浮上したことも株価の上値を押さえました。

白幡:
そうした懸念から日経平均は上値が重いんですね。では、この間マザーズ指数の動向はどうだったのでしょうか?

(資料 マザーズ指数の推移 2021年前半)

小林:
それでは次のグラフをご覧下さい。マザーズ指数も日経平均と同じ2月16日に取引時間中の年初来高値1340ptを付けましたが、昨年10月の高値1368ptには届かず、やはりその後もみ合う展開となっています。世界的な景気回復を背景に、コロナ禍中も業績堅調だったIT・インターネット関連銘柄からより景気敏感色の強い銘柄に投資資金をシフトする動きが続いたためと考えられます。また、成長期待の高い新興株は株価収益率(PER)などの株価指標も高く、景気回復への期待からアメリカなどで金利水準が上昇するとこうした新興株にとって逆風とみなされました。

白幡:
多少理由に違いはあるかもしれませんが、日経平均とマザーズ指数は似通った動きだったと理解していいでしょうか。

小林:
それがわかるように2つのグラフを重ねてみましょう。こちらは日経平均株価、マザーズ指数とも2020年末の値を100に置き換えてグラフにしたものです。5月にマザーズ指数のパフォーマンスが大きく悪化する場面がありましたが、これはアメリカの消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、株式相場の下落を招いたものです。インフレや景気の過熱懸念がとりわけ新興株にとって逆風であることがわかります。ただ、その後のマザーズ指数は持ち直し、日経平均とともに昨年末の水準をやや上回って今年前半を折り返しました。

白幡:
なるほど、2021年前半の株式相場やマザーズ市場の動向がよくわかりました。小林さん、ここまでありがとうございました。次回の動画では、今後のマザーズ市況やマザーズ企業の決算発表での注目ポイント、マザーズ先物を使った投資戦略についてご説明頂きます。

小林:
はい、ありがとうございました。

「(3)マザーズ市場の投資戦略2021 〜2021年前半の株式相場とマザーズ市場の概況〜」に続く《HT》

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