テラスカイ Research Memo(6):コロナ禍でクラウドシフト加速が追い風、21年2月期業績は過去最高を連続更新

2021年7月12日 15:26

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記事提供元:フィスコ


*15:26JST テラスカイ Research Memo(6):コロナ禍でクラウドシフト加速が追い風、21年2月期業績は過去最高を連続更新
■業績動向

1. 2021年2月期の業績概要
テラスカイ<3915>の2021年2月期の連結業績は、売上高が前期比19.8%増の11,144百万円、営業利益が同7.5%増の779百万円、経常利益が同2.5%増の780百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同179.2%増の2,459百万円となり2期連続で過去最高業績を更新した。また、期初会社計画や2020年10月に発表した修正計画に対しても上回って着地した。

コロナ禍により社会様式が変容するなかで、企業は守りのDX(業務効率化による生産性向上)や攻めのDX(オンライン営業、EC活用等による売上拡大)に対する取り組みを加速する状況にあり、オンプレミスからクラウドシステムへの移行案件などを含めて、主力のソリューション事業の売上が前期比25.8%増と高成長を持続したことが業績のけん引役となった。一方で、製品事業の売上が2020年2月期に大きく伸長した大型案件のピークアウトにより同7.1%減と減少したこと、減価償却費が増加したこと等により、売上原価率が前期の68.9%から70.4%に上昇し、また、人件費や研究開発費を中心に、販管費が前期比15.8%増加したことにより、営業利益の増益率は7.5%にとどまった。研究開発費の増加は、Quemixで取り組んでいる量子コンピュータによるアルゴリズム開発などが主な増加要因となっている。また、親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増益となったが、これは保有資産の有効活用による財務体質強化を目的に保有株式の一部を売却し、投資有価証券売却益2,806百万円を特別利益として計上したことによる。

なお、期初会社計画や2020年10月に発表した修正計画に対して、売上高、各利益とも上回った要因として、売上高についてはSalesforceの導入・構築案件やSAPシステムのクラウド移行案件が想定以上に拡大し、ソリューション事業の売上高が計画を上回ったこと、各利益については増収効果に加えて、期初段階で見込んでいたタイの子会社の立ち上げ費用が殆ど掛からなかったことが挙げられる。タイではコロナ禍で非常事態令が発出されたことにより、日本人責任者が現地に赴任できず、事業活動が進まなかった。現在は日本で数名のタイ人エンジニアのトレーニングを実施している程度で、コロナ禍が収束してから本格的に事業活動を進めていく予定となっている。


ソリューション事業は高成長継続、製品事業は大型案件の一巡で減収減益に
2. 事業セグメント別・会社別の収益動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高は前期比25.8%増の9,579百万円、セグメント利益(営業利益)は同28.7%増の1,527百万円と2ケタ増収増益が続いた。大企業を中心にSalesforceの導入構築案件が増加したほか、BeeXで展開するAWSの導入支援、SAPシステムのクラウド移行支援案件の需要が引き続き拡大したことが主因だ。四半期別の業績推移を見ると、売上高は第4四半期に前年同期比21.1%増の2,538百万円と過去最高を更新した一方で、営業利益は同14.4%減の328百万円と減少に転じているが、これは採用増に伴う人件費・教育費の増加や、子会社の業績賞与、第4四半期にリベルスカイ、テラスカイ・テクノロジーズの2社を新設したことに伴う関連費用の増加が影響したものと見られ、プロジェクトの収益性については変わりなかったようだ。なお、受注については前期比2割以上の増と、直近もすべての需要に応えきれないほどの引き合いが来ている状況に変わりない。

(2) 製品事業
製品事業の売上高は前期比7.1%減の1,570百万円、セグメント利益(営業利益)は同41.2%減の158百万円と減収減益に転じた。「DataSpider Cloud」に関する大型導入案件が当第1四半期で完了したことを主因として、フロー収入(システム導入時の一過性の売上高)が同43.1%減の455百万円と大きく落ち込んだこと、また、自社製品の開発に関わる減価償却費が増加したことが減収減益要因となった。一方、ストック収入については「DataSpider Cloud」「SkyVisualEditor」及び「mitoco」の契約件数増加により、同25.4%増の1,115百万円と順調に積み上がっており、収益基盤の強化は着実に進んでいる。

製品別売上高で見ると、「DataSpider Cloud」はフロー収入の落ち込みにより前期比減、「SkyVisualEditor」は微増、「mitoco」を中心としたその他製品は大幅増となった。「mitoco」については企業がテレワークへの取り組みを進めるなかで、コミュニケーション・プラットフォームとして採用が進み、また、2020年6月には三井住友フィナンシャルグループ<8316>が提供する「テレワーク導入支援プログラム」の対象サービスとして加えられたことも契約件数の増加につながった。

四半期別の推移を見ると、当第2四半期以降収益が落ち込んだように見えるが、前述したように前期から続いた大型案件の導入が当第1四半期で完了し、フロー収入の規模が縮小したことが要因となっている。このため、この影響は2022年2月期第1四半期まで続くこととなる。

(3) 会社別の動向
同社単独業績は売上高で前期比3.6%増の6,074百万円、経常利益で同35.2%減の367百万円となった。Salesforceの導入・構築案件は好調に推移したものの、製品事業の落込みが減益要因となった。BeeXについては売上高、経常利益共に大幅増となった。AWSの導入支援やSAPシステムのクラウド移行支援など旺盛な需要を取り込んだことで、大きく業績を伸ばす格好となった。また、北海道エリアでSalesforceの導入支援を行うキットアライブや、MSPサービスを提供するスカイ365、2019年5月に子会社化したCuonについても収益は順調に拡大したようだ。CuonについてはShopifyの導入支援を開始したことも収益増につながったと見られる。

一方、研究開発子会社であるQuemixでは、量子コンピュータを用いてビッグデータ等の解析を行うアルゴリズムの開発を行っている。具体的には、金融系、化学系(創薬、物質科学)をテーマとして大学とアルゴリズムの共同研究を進めており、将来的にアルゴリズムのライブラリー化とライセンス化による収益を獲得していく戦略となっている。

また、2019年12月に新設したタイの子会社については、前述した通りコロナ禍で殆ど事業活動は実質ストップした状況となっている。今後、業務活動が正常化すればSalesforceの導入支援と併せて「OMLINE」シリーズ等のソリューションを拡販していく予定となっている。タイはLINEの普及率が高いことや日系進出企業も多いことから顧客開拓も進めやすいと見ている。

なお、2021年2月期末の連結従業員数は前期末比で83名増の605名となった。単体で50名増、BeeXで14名増、Cuonで8名増等となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《ST》

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