コロナ禍だけでない「不安材料」/後場の投資戦略

2021年7月1日 12:23

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記事提供元:フィスコ


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28640.22;-151.31TOPIX;1935.42;-8.15


[後場の投資戦略]

 前日のNYダウが200ドル超上昇したにもかかわらず、本日の日経平均は3ケタの下落で前場の取引を終えた。日足チャートを見ると、値幅こそ大きくないが本日含め5日連続で陰線となっており、上値切り下げの形状。さすがに上値の重さを意識する向きが増えてきただろう。個別に見ても、堅調な値動きが続いていた海運株など高値圏にある銘柄の売り圧力が強い印象だ。ここまでの東証1部売買代金は1兆円割れと低調。新興市場でもマザーズ指数が-0.42%と反落している。一昨日の当欄で取り上げた日本電解<5759>など直近上場銘柄の一角が買われているが、全般にやや利益確定売り優勢だ。

 ADP雇用統計での雇用者数の上振れはこのところ値上がりしていたハイテク株から景気敏感株への短期的なシフトを誘った。ただ、ADP雇用統計の方がその後発表される米政府の雇用統計より強めの数値が出る傾向がここ数カ月見られるため、やはり週末が本番と積極的な売買を手控える向きは少なくないだろう。

 また、日本国内では東京都の新型コロナウイルス新規感染者数が6月30日、5月26日以来の700人超えとなった。東京五輪・パラリンピックでの更なる感染拡大を危ぶむ声が国内外で増えてくる可能性はある。7月は上場投資信託(ETF)の分配金支払いに伴う売り需要が7000億円あまり発生するとの試算があり、需給面でも上値は抑えられそうだ。

 こうした状況を受けてか、しばらく売買が低調だった株価指数先物にここ2日ほど外資系証券の売り越しの動きが見られるようになった。度々当欄で強調しているとおり、米国株が堅調でも日本株は目下蚊帳の外と言わざるを得ない。また、6月25日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度・一般信用合計)は3兆3643億円、日経レバETF<1570>の6月30日時点の純資産総額は3321億円となっている。ピーク時に比べやや減ったとはいえ、ヒストリカルで見てなお高水準であることに変わりない。株式投資家が強気と言えど、買い持ち高を一段と増やす余地はさほど大きくないと考えておいた方がいいだろう。

 足元で小売を中心とした3-5月期決算が発表され、今月下旬には主要企業の4-6月期決算発表が本格化するため、これらをきっかけにした見直しの動きに期待する向きもある。しかし、マルマエが業績上方修正にもかかわらず材料出尽くし感から急落しているあたり、決算発表シーズンの株価反応にも不安はある。同社は中小型株ながら、半導体関連企業等の先行指標として比較的注目度が高い。

 グローバル投資家の「リフレトレード」後退も相まって、まだまだ日経平均は上値の重い展開を強いられるとの見方に変更はない。短期志向の投資家としては新規上場銘柄や材料株の短期トレードでしのぐ格好となりそうだ。(小林大純)《AK》

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