水素水はなぜアルコールによる肝臓障害を抑制するか メカニズム解明 早大ら

2021年5月26日 08:28

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電解水素水がアルコール関連代謝酵素に与える影響(画像: 早稲田大学の発表資料より)

電解水素水がアルコール関連代謝酵素に与える影響(画像: 早稲田大学の発表資料より)[写真拡大]

 アルコールによる健康への影響は大きな社会問題の1つであり、特にコロナ渦での飲酒量増加による弊害が懸念されている。そこで注目されているのが、水素水の摂取による肝臓障害の軽減である。早稲田大学と日本トリムの共同研究グループは25日、水素水がアルコールの代謝に関わる酵素に作用することで、肝臓障害を抑制することを明らかにしたと発表した。

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 アルコールは肝臓内の酵素によってアセトアルデヒド、酢酸の順に代謝される。このときの中間代謝物であるアセトアルデヒドは、活性酸素を生成することで肝臓へダメージを与えることが知られている。水素水の摂取によってこの肝臓の障害を軽減できることは、マウスやラットを使った研究で報告されていたが、そのメカニズムについては未解明のままであった。

 そこで今回の研究では、アルコールの代謝に関わる酵素に着目した分析が行われた。その結果、アセトアルデヒドの代謝に関わるALDHという酵素の活性が水素水で高められることが判明。

 またアルコールからアセトアルデヒドへの代謝を行うADHは、水素水によって活性が低下することも明らかとなった。つまり、水素水によって肝臓中のアセトアルデヒド量が減ることが肝臓障害の抑制に繋がっている可能性が示唆された。

 なお、この実験で用いられた水素水は1000ppb以上と非常に高濃度なものであり、市販の整水器で作製することは難しい。水素水中の水素分子はすぐに脱気してしまうため、肝臓保護機能を発現させるためには高濃度な水素水の生成が課題となる。

 今回の研究で着目されたALDHは、様々な解毒作用やストレス物質の分解にも関わっているため、他の健康効果に繋がる可能性もある。また水素水がALDHの活性をどうやって高めているのかについても、今後の研究で解明されると期待される。

 今回の研究成果は19日付の「Antioxidants」誌オンライン版に掲載されている。

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