米国株安嫌気も売り一巡後は28000円を挟んでのこう着【クロージング】

2021年5月19日 16:01

印刷

記事提供元:フィスコ


*16:01JST 米国株安嫌気も売り一巡後は28000円を挟んでのこう着【クロージング】
19日の日経平均は反落。362.39円安の28044.45円(出来高概算11億6484万株)で取引を終えた。前日の米国ではアップルやアマゾンなどクオリティ株の弱さが目立つなか、値がさ株などを中心にリスク回避の動きが広がった。ただし、寄り付き直後につけた27842.98円を安値に前場半ばには28200円まで下落幅を縮小する場面が見られるなど、売り一巡後は28000円を挟んだこう着感の強い相場展開が続いた。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1400を超え、全体の6割超を占めた。セクター別では、精密機器、空運、ゴム製品、その他製品など8業種が上昇。一方、パルプ紙、機械、ガラス土石、鉱業、石油石炭、繊維など25業種が値下がりした。指数インパクトの大きいところでは、KDDI<9433>、中外薬<4519>、ネクソン<3659>、トレンド<4704>が堅調。半面、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、ダイキン<6367>、TDK<6762>が軟調だった。

前日に発表された4月の米住宅着工件数の減少のほか、イエレン財務長官が演説で、バイデン大統領が提示しているインフラ計画を実施するため法人税制に改革が必要と増税を推進したことをきっかけにNYダウなど主要株価指数が下落し、投資マインドが悪化。東京市場でも売り先行して始まった。こうしたなか、新疆ウイグル自治区での強制労働問題をめぐり、米国が1月にユニクロ製シャツの輸入を差し止めたと伝わったことで、指数インパクトの大きいファーストリテが一段安となり、日経平均を約100円押し下げる要因となった。

市場では、米国のインフレ関連の動向が注目を集めている。今夜は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。量的緩和の縮小(テーパリング)の開始時期についての思惑が交錯しており、6月FOMCでの議論開始となるのかどうか見定めたいとみている向きが多い。また、エネルギー情報局(EIA)も原油の週間在庫統計を発表する。原油在庫が大きく減少していれば、インフレ懸念が再び高まることも想定され、株式市場には波乱要因になるだけに、こちらにも警戒が必要だろう。《FA》

関連記事