リスク回避の動きが続き一時28000円を割り込む【クロージング】

2021年5月12日 15:54

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記事提供元:フィスコ


*15:54JST リスク回避の動きが続き一時28000円を割り込む【クロージング】
12日の日経平均は大幅続落。461.08円安の28147.51円(出来高概算15億2939万株)で取引を終えた。前日の急落を受けて自律反発を狙った買いが入り、朝方こそ反発して始まった。しかし、買いは続かず、米国での経済正常化期待やインフレ圧力の高まりによって長期金利の先高観が広がるなか、ハイテク株やグロース株中心にリスク回避の売りが継続。日経平均は一時取引時間中としては、2月1日以来約3カ月半ぶりに28000円を割り込む場面もみられた。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1800に迫り、全体の8割超を占めた。セクター別では、保険とゴム製品の2業種が上昇。一方、海運が4.94%、石油石炭が4.35%、鉄鋼が3.74%、卸売が3.31%と大きく下落するなど31業種が値下がりした。指数インパクトの大きいところでは、トヨタ<7203>、バンナムHD<7832>、エムスリー<2413>、ヤマハ<7951>が堅調だった半面、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、ダイキン<6367>、ファナック<6954>、アドバンテス<6857>が下落し、これら5銘柄で日経平均を約215円超押し下げた。

米金利の上昇懸念は拭えず、時間外取引で米株先物が急落していることが警戒感を強めた。また、11日夜に台湾政府の新型コロナウイルス対策本部が、海外渡航歴のない7人が新型コロナに感染していることを確認したと発表。感染経路が不明な市中感染とクラスターの発生が懸念され、同国の主要株価指数である加権指数も急落しており、こうした先行き不透明感などから、リスク回避の売りが終日優勢となった。

米金利上昇懸念がくすぶるなか、市場の関心は今夜発表される4月の消費者物価指数(CPI)に集まっており、昨年4月のロックダウンの反動から前年比3.6%増と高い伸びが見込まれている。市場予想を上回る好調さが示されれば、インフレ懸念を強める形で米長期金利が急騰する可能性があるほか、米国でのテーパリング議論が前倒しされることも想定されかねない。このため、CPIとこれを受けた米国市場の動きが注目される。《FA》

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