ゼリア新薬工業は22年3月期実質増収増益予想、自己株式取得も発表

2021年5月12日 09:12

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  ゼリア新薬工業<4559>(東1)は5月11日の取引時間終了後に21年3月期連結業績を発表した。薬価改定や新型コロナ影響などで減収、営業・経常減益だった。22年3月期は実質増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。また自己株式取得(上限80万株・18億円)も発表した。株価は3月の年初来高値圏から反落したが、増収増益予想や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■21年3月期は減収、営業・経常減益、22年3月期は実質増収増益予想

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比8.2%減の554億42百万円、営業利益が15.9%減の34億42百万円、経常利益が18.2%減の31億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%増の31億19百万円だった。配当は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。

 薬価改定や新型コロナ影響などで減収、営業・経常減益だった。なお特別利益に投資有価証券売却益3億75百万円、債務取崩益6億81百万円を計上して当期純利益は増益だった。

 医療用医薬品事業は5.5%減収だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコール国内外で伸長した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortはフランスでの価格改定や出荷時期のズレ込みの影響で減収だった。機能性ディスペプシアアコファイドは共同販促終了に伴う在庫調整や受診抑制の影響で減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は11.4%減収だった。新型コロナウイルスによる外出自粛の影響などで全体として苦戦した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高133億31百万円で営業利益10億60百万円、第2四半期は売上高134億78百万円で営業利益5億38百万円、第3四半期は売上高155億65百万円で営業利益22億58百万円、第4四半期は売上高130億68百万円で営業利益4億14百万円の赤字だった。

 22年3月期の連結業績予想は売上高が600億円、営業利益が48億円、経常利益が48億円、親会社株主帰属当期純利益が33億円とした。収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため前期比増減率は未記載だが、21年3月期実績との比較で売上高は8.2%増収、営業利益は39.5%増益、経常利益は51.2%増益、親会社株主帰属当期純利益は5.8%増益となる。実質増収増益予想である。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。

 医療用医薬品事業では20年11月に欧州等での製造販売権を承継したディフィクリア錠の通期寄与、アサコールの伸長、フェインジェクト静注500mgやアコファイドの伸長を見込んでいる。コンシューマー事業は販売促進活動の強化で増収を見込んでいる。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は3月の年初来高値圏から反落したが、増収増益予想や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。5月11日の終値は2000円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円21銭で算出)は約28倍、時価総額は約1062億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
エイトレッドは調整一巡、21年3月期上振れ余地(2021/03/16)
シナネンホールディングスは上値試す、21年3月期上振れ余地(2021/03/16)
日本エンタープライズは下値切り上げ、21年5月期増収増益予想(2021/03/16)
【小倉正男の経済コラム】「コロナ後」~米国はインフレ懸念、日本はデフレ懸念という対照(2021/03/21)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事