フォーバル Research Memo(1):DXアドバイザーの第一人者としての重責を担う

2021年4月6日 15:11

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記事提供元:フィスコ


*15:11JST フォーバル Research Memo(1):DXアドバイザーの第一人者としての重責を担う
■要約

フォーバル<8275>は、「中小・中堅企業の利益に貢献する次世代経営コンサルタント集団」を旗印に事業展開を行う。IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングを得意とし、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングなどを行う。従来は情報通信機器の卸売販売を主に行っていたが、2000年代半ばに大きな売上・利益減に直面し、アイコンサービスを主軸としたコンサルティング業態に転換した。このビジネスモデルの転換が奏功し、2020年3月期まで営業利益は12期連続の増益を達成している。

1. 事業概要
フォーバルビジネスグループとフォーバルテレコムビジネスグループが2本柱である。フォーバルビジネスグループでは、中小企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出支援、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングサービス、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎなどを手掛ける。

2. 業績動向
2021年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比2.4%減の36,024百万円、営業利益が同22.4%減の1,733百万円、経常利益が同31.8%減の1,571百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同50.0%減の822百万円となり、コロナ禍での落ち込みから回復が顕著になっているものの、3四半期累計では減収減益となった。売上高に関しては、緊急事態宣言が出された第1四半期に前年同四半期比6.7%減と落ち込んだが、第2四半期単独では同4.3%減、第3四半期単独では同3.8%増と、回復傾向は顕著である。

2021年3月期の連結業績予想は、コロナ禍の影響で不透明であり、合理的に算定することが困難であるため、現段階では未定としている。

3. 成長戦略
同社は、2021年3月に、経済産業省による「DX認定制度 認定事業者」に認定された。DX認定制度とは、ビジョンの策定や戦略・体制の整備などをすでに行い、DX推進の準備が整っている(DX-Ready)事業者を経済産業省が認定するものであり、国が策定した指針(情報処理システムの運用及び管理に関する指針、2020年5月施行)を踏まえ、優良な取組を行う事業者を申請に基づいて認定する。同社では、全国の中小企業に対する日々のコンサルティング活動の中で、数多くの経営情報を取得し、情報を整理・一元管理し、中小企業のビッグデータバンクとなる情報基盤を確立し、同社ならびに顧客である中小企業のビジネスモデルの変革と新しい価値の共創に役立ててきた。同社が10年来取り組んできたアイコンサービスの事業モデルが評価された形である。

4. 株主還元策
2021年3月期は、コロナ禍で業績予想が未定ではあるが、配当金は期初の予想を据え置いた、26円を維持する予想となっている。配当性向はコロナの影響により業績予想が未定のため、同様に未定としている。

■Key Points
・フォーバルビジネスグループでは、中小企業支援向けサブスクリプション型コンサルティング「アイコンサービス」が成長の基盤
・2021年3月期第3四半期は、累計で減収減益も、第3四半期単独では増収・営業利益で増益に転換。中小企業向けIT投資(DX)の活発化が追い風
・中小企業のDX推進を行政も後押し。自ら「DX 認定制度 認定事業者」を取得し、DXアドバイザーの第一人者としての重責を担う
・2021年3月期はコロナ禍で業績予想未定も前期並みの配当金26円を維持する見込み

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《ST》

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