サイオス Research Memo(5):2021年12月期は、クロスセリングの強化により更なる成長を目指す

2021年3月29日 15:25

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記事提供元:フィスコ


*15:25JST サイオス Research Memo(5):2021年12月期は、クロスセリングの強化により更なる成長を目指す
■今後の見通し

1. 2021年12月期業績の見通し
サイオス<3744>の2021年12月期の連結業績予想は、売上高で前期比4.4%増の15,500百万円、営業利益で同35.5%増の320百万円、経常利益で同36.5%増の350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.4%減の250百万円を計画している。前期に特別利益を計上した反動で親会社株主に帰属する当期純利益のみ減益となるものの、売上高、営業利益、経常利益は連続増収増益となる。重要経営指標としているEBITDAは同24.4%増の410百万円、ROICも前期の6.9%から9.2%に上昇することになる。

2021年12月期の重点戦略として、既存製品・サービスの強化と販管費の最適化に取り組んでいく。COVID-19の拡大が続くなか、企業のDX化、クラウドシフトへの取り組みは更に活発化しているため、顧客のDX投資に資するクラウド関連製品を強化する方針。具体的には、「LifeKeeper」のクラウド対応強化、「Gluegentシリーズ」の販売強化、大学など学校法人へのクラウド導入支援強化等に取り組んでいく。

また、同社の連結子会社であるSTIは、2020年10月にKPS、GLUと合併したのに続き、2021年4月にはPCIとも合併する予定。これで国内の事業会社はSTI1社に統合されることになる。今後は製品・サービスのクロスセリングを一層強化していくほか、グループ経営体制を刷新し、業務の効率化と生産性向上を図っていく方針。また、販管費の最適化の一つとして、2021年5月末に本社(東京都港区)近隣に賃借しているオフィスを廃止して本社に集約化する計画。


「LifeKeeper」は基幹システムのクラウド移行により需要が増加、MFP向けソフトウェア製品も増収増益に寄与する見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業は増収増益基調が続く見通し。主力の「LifeKeeper」は引き続き増加が見込まれる。ここ数年、大企業では基幹システムのクラウドシフトが進んでいるが、大規模かつ多様なクラウド環境下において、システム障害の監視や障害発生時にシステムを自動的にバックアップシステムに切り替え、システムのダウンタイム時間の短縮を実現できるソフトウェア製品は少ない。また、データをリアルタイムに複製する「データレプリケーションソフトウェア「DataKeeper」も合わせた事業継続ソリューションは、国内でもトップクラスの水準にある。今後も基幹システムのクラウドシフトは続く見通しであるため、「LifeKeeper」は着実な成長が続くものと予想される。

(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業についても2021年12月期は増収、黒字転換が見込まれる。主力のMFP向けソフトウェア製品が増収増益に転じる見通し。サブスクリプション販売の比率は前期比で上昇するものの、前期までの契約分の売上貢献があるほか、引き続き出荷本数の増加を見込んでいる。また、企業のクラウドシフトやテレワーク体制導入の流れは当面続く見通しであること、国内グループ会社の統合に伴うクロスセリング効果も期待できることなどから、「Gluegentシリーズ」についても好調な増収が続く見通し。


自社製品売上はサブスクリプションへの移行を進めつつ年率約10%で成長、2023年12月期にはEBITDAで770百万円、ROICで16.8%を目標に掲げる

3. 中期経営計画について
(1) 基本方針と経営数値目標
同社は、2021年-2023年の3年間で、サブスクリプションの売上比率を向上させ、収益の安定性と成長性を高めていきたい考えだ。企業のDX投資加速によるクラウド関連市場の拡大を好機と捉え、クラウド関連製品・サービスを中心に売上高を拡大していく。同社の中期経営計画における経営指標目標は、2023年12月期にEBITDAで770百万円(2020年12月期329百万円)、ROICで16.8%(同6.9%)とそれぞれ3年間で2倍以上の水準となっている。

同社はEBITDA及びROICを向上するために、事業基盤の強化(顧客満足度の向上、既存製品・サービスの強化、新製品・サービスの投入、M&A、ステークホルダーとの良好な関係構築)と財務基盤の強化(売上・売上総利益の伸長、販管費の最適化、有利子負債の圧縮)に取り組んでいく考えだ。これらの取り組みによって創出されたキャッシュ・フローを、株主やステークホルダーへの還元だけでなく、将来の成長に向けた人材投資や研究開発投資、イノベーションを生み出す企業カルチャーへの投資に振り向け、事業基盤を強化することにより、「世界中の人々のために、不可能を可能に。」という経営ミッションの実現を目指していく。また、M&Aに関しては引き続き前向きに検討していく方針。

(2) 自社製品の売上見通しとサブスクリプションモデルへの移行
自社製品売上高については2020年12月期の4,563百万円から2023年12月期は6,060百万円と年率9.9%成長を見込んでいる。また、サブスクリプションの売上比率は2020年12月期の46.7%から、2023年12月期は51.3%と過半を超える水準を目指している。

サブスクリプションモデルのメリットをユーザー側から見ると、初期導入費用の低減、解約が容易、常に最新化された製品・サービスの利用が可能といった点が挙げられる。一方、事業者側にとっては、サービス開始当初は先行投資負担が重いものの、損益分岐点を超えた後は安定した売上及び利益を創出でき、事業計画を立てやすくなること、継続的な顧客の利用情報収集によって製品・サービスの品質・機能の向上に取り組むことができるといった点が挙げられる。

同社は、サブスクリプションサービスを強化・拡充することにより、顧客企業のDX化を支援するとともに、中長期的な成長を実現したい考えだ。同社の計画では、サブスクリプション売上の今後3年間の平均成長率は13.4%となっている。従前は、売り切りモデルの売上比率が高く、収益の変動も大きかったが、今後はサブスクリプションモデルの売上比率が上昇するにつれて、収益の安定成長が期待できるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《YM》

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