ペラペラにならなくても大丈夫! 英語学習を通じて得られる喜びを大切に

2021年3月21日 08:27

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 今回の話は、英語学習に煮詰まっている人に向けて伝えたい。特に、中級レベルに達していながら、目立った成長を感じられずになかだるみに陥っている人にとって、英語を学習する意味を考え直すきっかけになれば幸いである。

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■長く険しいペラペラへの道のり

 「英語を始めるからにはペラペラになるぞ」と、高く目標を掲げる人がいる。実際、ネイティブのように流暢になることを目指して英語学習に励んでいる人もいるだろう。

 だがしばらく続けてみればわかることだが、ネイティブのようにペラペラになることは、決して生易しいことではない。というより、一生かけても実現できるかどうかわからないほどの究極目標である。

 ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)という外国語の習得状況を示すガイドラインをご存じだろうか。下からA1、A2、B1、B2、C1、C2と6段階でレベル分けした「ものさし」のようなものだ。英語の習得状況もこのものさしで測られ、A1は英語を習い始めたばかりのごく初学者であり、最高レベルのC2に至っては、ネイティブと遜色ない極めて高度なレベルを意味する。

 CEFRで1つ上のレベルに達するには、その1つ前のレベルに達するのにかかった時間の2倍の時間を要すると言われている。たとえば、A1からA2に上がるのに3カ月かかったのなら、A2からB1には2倍の半年、B1からB2にはさらにその2倍の1年の学習が必要という具合だ。

 このことからも、優れた言語運用能力を持つとされるCレベルに達するには、非常に時間がかかることがわかるだろう。ましてや、いわゆるペラペラ状態であるC2に達するには、まじめに学習を続けても何年かかるかわからないのである。

■英語を学習しているからこそ味わえる喜び

 ほとんどの外国語学習者は、C2レベルに達することはないのが実情だ。また、たとえC2レベルに達したとしても、母国語のようにその言語を自由自在に扱えるという感覚は決して得られないと言う。学べば学ぶほど、自分の至らなさに気づいてしまうのが人間だからだ。

 どんなに上達しても、自分の英語のレベルに満足することは決してないと言ってよい。途上にある学習者にとってがっかりする話かもしれないが、だからといってあきらめる必要はない。英語を学ぶ喜びは、ペラペラにならなくても日々味わえるからである。

 たとえば外国を旅行した時に、現地の人に英語で話しかけて通じた時の達成感。逆に、日本に来た外国人に英語で手助けできた時の喜びといった感情を考えてみよう。たとえ下手でも通じた時、相手の言っていることがわかった時は、なんとも言えない満足感や充実感が味わえるだろう。そういう非日常的な貴重な感情は、英語を学習し続けているからこそ得られる感情である。

 完璧な英語を目指すことも確かに大切だが、そのために挫折してしまってはもったいない。うんざりしそうになった時には、英語を学習しているからこそ味わえる、こうした小さな喜びを見直してみてはいかがだろうか。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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