PCNET Research Memo(8):テレワーク、DXの必要性が高まりPCの更新需要は継続的に発生

2021年2月24日 13:08

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記事提供元:フィスコ


*13:08JST PCNET Research Memo(8):テレワーク、DXの必要性が高まりPCの更新需要は継続的に発生
■パシフィックネット<3021>の事業環境

(1) ビジネス向け新品PC市場、ITサービス市場
ビジネス向け新品PC市場、ITサービス市場(情報機器サブスクリプション、ITサービス)におけるビジネス向け新品PC市場においては、国内の2020年4月~9月のビジネス向け新品PC出荷台数は、文部省が進める「GIGAスクール構想(義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する計画)」の教育市場での拡大があったものの、「Windows10」入れ替え需要が一巡したことにより一般法人向けが減少傾向にある。中期的には、一般法人向けPC市場は「Windows10」の更新需要による反動が続くと見られている。一方で、コロナ禍による新たな生活スタイルによって、テレワーク及びDXの必要性が高まっており、PCの更新需要は継続的に発生すると見られる。また、政府のテレワーク推進によってデスクトップ型PCからノートPCへの切り替えや高機能PCの需要拡大を会社側では想定している。なお、会社側では「Windows10」の反動からの本格的な回復については、2023年頃と想定している。ただし、依然としてサポート対応切れのPCを活用している企業が多く、定期的な入れ替え需要は存在すると弊社では見ている。加えて「所有から利用へ」の傾向が拡大することにより、同社におけるサブスクリプション形式でのサービス利用の割合がさらに増加することが見込まれる。

情報機器サブスクリプションは持続的な市場成長を想定している。主な調達手段であった購入やリースは、故障対応や代替品確保・PC再設定、危機管理等をすべて自社で行わなければならないが、情報機器サブスクリプションにはこれらがサービスとして含まれている。情報システム部門の負担軽減につながることから採用が増加しているほか、IT人材不足も追い風となる。市場規模については、国内法人等が所有するPC約3,600万台のうち、サブスクリプション利用台数は未だ数%と想定されており、成長余地が大きい市場である。

ITサービス市場は、少子化やDXの必要性等からIT人材不足は深刻化しており、同社のサービス分野である情報機器の管理・運用保守等、情報システムの負担軽減につながるサービスへのニーズはさらに拡大していると想定している。また新たな生活スタイルやテレワーク対応等からクラウド活用は必須となることから、企業によるDXのためのIT投資も持続的に拡大すると想定している。

(2) ITAD市場
ITAD市場(使用済みIT機器の回収・データ消去、リユース・リサイクル販売)においては、回収・データ消去市場は「Windows10」入れ替え拡大により使用済み情報機器の排出台数が増加に転じ、さらに2019年12月に発生し社会問題となったハードディスク転売事件により適正処分の重要性がクローズアップされ、データ消去需要が引き続き拡大している。情報機器のリユース・リサイクル市場については、高い価値のリユース品は安定した国内流通市場が存在しているが、低い価格のリサイクル品については、バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)の規制強化等により有害物質を含むリサイクル品の輸出禁止が厳格化されており、世界的な廃プラスチック問題や中国等の廃プラ輸入禁止により、プラスチックを多く含む情報機器の海外流通が難しい状況となっている。そのため、近い将来、適正処理に対応したサービスへ転換していく必要性が非常に高くなると想定されている。そのなかで同社は、以前から適正処理サービスを推進しており、データ消去サービスを強化しているほか、リサイクル品については国内リサイクルまたは適正処理を行っている。そのため、今後同事業を行っている業界の再編が進むとともに、同社の優位性が高まることにより適正処理サービスの需要拡大が見込まれると弊社では考えている。

(3) ガイドレシーバー市場
ガイドレシーバー市場(「イヤホンガイド(R)」の販売・レンタル・保守)は、主な顧客は観光業界であるが、コロナ禍により大きな打撃を受けている。今後の回復もコロナ禍の推移次第ではあるが、収束段階となれば需要は反転すると想定している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《ST》

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