市場エネルギー低下もIPOへの関心続く/後場の投資戦略

2020年12月22日 12:24

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記事提供元:フィスコ


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;26613.09;-101.33TOPIX;1773.25;-15.80


[後場の投資戦略]

 国内外での新型コロナ感染拡大への懸念や変異種への警戒感などから、本日の日経平均は軟調に推移している。とはいえ、朝方に一時26500円を割り込んでからはすかさず切り返してきて、基調としては26000円台でのもち合い継続といったところ。日足チャートを見ると、26500円近辺に位置する25日移動平均線が下値のサポートとして意識されているようだ。また、前日は11月18日以来およそ1カ月ぶりに日銀が通常の上場投資信託(ETF)買い入れを実施した。金額は前回と同じ701億円。本日も東証株価指数(TOPIX)が0.88%の下落で前場を折り返しているため、連日でETF買いが実施される公算が大きい。なかなか売り持ちには傾きづらいところだろう。

 新型コロナの変異種に関しては、現在のところワクチンが効かないなどといった事例が報告されていないため、海外トレーダーも下値リスクを過度に警戒しているわけではないようだ。しかし、その感染力や毒性、ワクチンの有効性などについてまだわからないことが多く、様子見ムードも窺える。また、米国では来年1月5日に行われるジョージア州の上院決選投票の行方が注目されている。民主党が2議席とも確保すれば上院でも主導権を握ることになるため、今後の政権運営に与える影響は大きいだろう。

 いきおい、年末を前に取引参加者が減りやすい株式市場では、売買が一段と低調となりつつある。前日の東証1部売買代金は2兆153億円とぎりぎりの2兆円台乗せ。本日の前場は8939億円にとどまっており、1日を通じても2兆円に届かない可能性が高い。市場のエネルギー低下で日経平均の27000円台回復が目先遠のいたと判断されたのか、本日は「環境」などの物色テーマに乗る銘柄を除くと、直近株価が上昇していた銘柄に利益確定の売りが出ている印象だ。また、年末を前に損出しの売りも出やすいと考えられる。

 日銀のETF買いや根強い先高観に支えられつつも、目先の日経平均は節目の27000円を前に伸び悩む展開が続くとみておきたい。

 こうした相場全体のムードも影響し、積極的な取引参加者の関心はなおIPO(新規株式公開)銘柄に向いている。本日は3社がマザーズ市場に新規上場し、資産運用支援のウェルスナビ<7342>が公開価格比+50%、ノーコード(プログラミング不要)アプリ開発ツールのヤプリ<4168>が+66%という初値を付けた。ともに公募・売出しによる吸収金額が100億円を超える大型のマザーズIPOだが、テック系ファンドや個人投資家の旺盛な需要を背景に堅調な滑り出しとなった点は17日上場のプレイド<4165>と同様だ。明日以降は目玉案件がやや乏しくなるものの、IPOラッシュは継続。新興市場は引き続きIPO銘柄を中心に賑わうことになりそうだ。(小林大純)《AK》

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