Jストリーム Research Memo(3):セグメントの単一化により動画配信の総合サービス力を強化(1)

2020年12月1日 15:43

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記事提供元:フィスコ


*15:43JST Jストリーム Research Memo(3):セグメントの単一化により動画配信の総合サービス力を強化(1)
■Jストリーム<4308>の事業内容

2. 事業内容
医薬系企業ほか一般企業や放送事業者などメディア企業が、自社で音楽・映画・イベント動画、企業説明会・株主総会、教育動画、販促・広告などコンテンツの種類や配信先の端末を問わず配信しようとすると、安定した運用のために大量のアクセスに耐える回線やサーバーを確保しなければならず、多額の投資が必要となる。しかし、「J-Stream Equipmedia」やCDN、ライブ配信など同社のサービス・商品を利用すれば、多額の投資や運用コストをかけることなく、必要なときに必要なだけ配信することができる。もちろん、イベントなど一度に数万人以上のアクセスがあるような場合でも、コンテンツを安定して視聴者に届けることができる。さらに、コンテンツを配信する際の付随的なサービスとして、セキュリティ機能に加え、配信対象を限定する認証機能やDRM※、コンテンツなどの販売に必要な課金決済システム、海外からのアクセスを制限できる国内外判別配信といったサービスも提供している。

※DMR(Digital Rights Management):デジタル著作権保護。


なお、同社は2021年3月期第1四半期より、セグメント情報における事業セグメントを、従来の「配信事業」「制作・システム開発事業」「その他の事業」の3セグメントから「動画ソリューション事業」の単一セグメントへと変更した。現在、動画利用の拡大と動画技術の多様化が同時進行しており、顧客ニーズも急速に変化し、動画を軸とするサービスを総合的に提供することが必要となってきた。このため、事業展開や経営資源の配分、経営管理体制などの観点から、単一セグメントの方が適切であると判断したことによる。同社は新たにソリューション推進本部を設け、CDNを含めた動画配信プラットフォームの提供・運用、コンテンツの制作・システム開発といった同社のサービス全体を、複合化し顧客の課題解決に最適なソリューションとして提案している。

(1) 動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」
同社は、コンテンツ管理やセキュリティといった配信設定、あらゆる端末で視聴可能なマルチデバイス対応、アナリティクス機能など、動画配信に必要な機能とワークフローをトータルで提供している。その中心となるのが、インターネットで動画を活用するために必要なあらゆる機能を装備する、自社開発の動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」である。「J-Stream Equipmedia」の特徴は、利用者のスキルに依存しない使いやすい管理画面、他社のシステムと連携できる柔軟性、月5万円からというリーズナブルな価格設定、高速で安定したCDNの利用など、一般企業でも手軽に動画を活用できる仕様になっていることである。さらに、顧客の課題に適したサービス導入を担当するアカウント営業と実際の運用面で対応する専任スタッフが両面からサポートする体制を取っている。このため、国内最大規模の累計2,000アカウント以上(2020年3月末時点)の利用実績を誇っている。

同社の動画配信プラットフォームにはスタンダードな「J-Stream Equipmedia」のほか、動画マニュアル編集アプリと動画配信がセットになった特別プラン「EQ Creativeエディション」、Salesforce(セールスフォース・ドットコム<CRM>)向け動画アプリ「Equipmedia動画共有ライブラリfor Salesforce」、インターネット番組の編成・配信に必要な機能をパッケージした「EQ Media Suite」、プレミアム版で高度な拡張性やカスタマイズ性、マネタイズ機能を有する「J-Stream MediaLize」などがラインナップされている。なお、2020年5月に「J-Stream Equipmedia」に疑似ライブ配信機能という新しいメニューが加わった。疑似ライブとは事前にライブを収録し時間を予約して配信する方法で、一度に最大300件の疑似配信予約が行えるように機能拡張されている。ライブ中継をしたいが、失敗はできないし準備や現場対応の手間もかけたくないという顧客に対して提案しており、カンファレンスや大型就職イベント、エンターテイメント分野のイベントなど活用事例が急増している。

(2) CDN
動画や音声といったリッチコンテンツや、ゲームなど各種アプリケーションのアップデートファイルは、ファイルサイズが大きく、インターネット上で配信を行うとネットワークに大きな負荷がかかる。特にデータが1ヶ所から配信された場合、トラフィックが集中することでレスポンスの悪化や通信速度の低下、時には配信停止といった事態を招くこともある。サーバーや回線を増強することで対応は可能だが、導入や運用のコストを考えると一般企業には現実的な選択肢とは言えない。こうした課題を解決したのが、配信制御可能な管理コンソールと顧客サポートがセットになった同社のCDNサービス「J-Stream CDNext」である。

最大の特徴は、国内ISP(Internet Service Provider)やIDC(Internet Data Center)に自社の配信用サーバーを分散配置した同社独自のCDNにある。このほか、見やすい管理画面と詳細な設定による柔軟な運営、最新の高速プログラムや高性能サーバー、SSL※1処理の高速化と幅広く利用できるSSL機能といった特徴もある。そのため、重くなりがちな動画やゲーム、インターネット通販、キャンペーンなどのコンテンツを、アクセスが集中しても、数万人のユーザーに高速かつ安定して一気に配信することができる。加えて、DDoS※2防御やWAF※3統合型セキュリティソフト「Imperva Incapsula」、企業の社内ネットワークの高速・安定化に効果が大きい「Kollective SD ECDN」といった海外の優れたサービスを組み合わせることができるという特徴もある。

※1 SSL(Secure Sockets Layer):インターネット上でクレジットカード情報などを暗号化して送受信する仕組み。
※2 DDoS(Distributed Denial of Service):複数のPCから1つのサービスに仕掛ける一斉攻撃のこと。
※3 WAF(WEB Application Firewall):Webサイト上のアプリケーションに特化したファイアウォール。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《EY》

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