日経平均は3日ぶり反発、コロナ警戒も米ハイテク株の復調期待じわり/ランチタイムコメント

2020年9月25日 12:26

印刷

記事提供元:フィスコ


*12:26JST 日経平均は3日ぶり反発、コロナ警戒も米ハイテク株の復調期待じわり
 日経平均は3日ぶり反発。133.58円高の23221.40円(出来高概算5億3000万株)で前場の取引を終えている。

 24日の米株式市場でNYダウは小幅に反発し、52ドル高となった。トランプ大統領が11月の大統領選で敗退した場合、法廷闘争に持ち込む可能性を示唆したことや、週間の新規失業保険申請件数が予想外に増加したことが嫌気され、景気敏感株を中心に売りが先行した。ただ、共和党のマコネル上院院内総務が「選挙の勝者が来年1月20日に大統領に就任する」と述べて警戒感が後退したほか、8月新築住宅販売件数が14年ぶりの高水準になったことなどから上昇へ転じた。主要ハイテク株に買いが入り、ナスダック総合指数も反発。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで129円高からスタートすると、前場中ごろには23272.67円(184.85円高)まで上昇する場面があった。

 個別では、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、ファーストリテ<9983>、キーエンス<6861>が堅調で、任天堂<7974>や東エレク<8035>は小高い。株式分割実施を発表した神戸物産<3038>は5%超、前日開催の説明会内容が好感された日東電<6988>は7%超の上昇。日立物流<9086>との相互出資見直しなどを正式発表したSGHD<9143>や業績上方修正のガイシ<5333>は急伸し、ニイタカ<4465>が東証1部上昇率トップとなっている。一方、ソフトバンク<9434>やソニー<6758>が小安く、楽天<4755>やJR東<9020>は軟調ぶりが目立つ。今期の大幅赤字見通しを発表した西武HD<9024>や第1四半期の増益率鈍化が嫌気された日本オラクル<4716>は急落し、東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、ガラス・土石製品、倉庫・運輸関連業、輸送用機器などが上昇率上位。半面、保険業、精密機器、空運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の73%、対して値下がり銘柄は22%となっている。

 国内外で新型コロナウイルスの感染再拡大や景気回復の鈍化への懸念がくすぶっているが、米国では追加経済対策を巡る与野党対立や大統領選を巡る混乱への警戒感がやや和らいだことで主要株価指数がひとまず反発。本日の東京株式市場もこうした流れを引き継ぎ、買いが先行する展開となった。前日の先物手口を見ると、日経平均先物、東証株価指数(TOPIX)先物ともクレディ・スイス証券の売り越しがやや大きかった。商品投資顧問(CTA)などの短期筋による先物売りが相場下落を主導したとみられるが、本日は米国株の落ち着きを受けてこれら投資家が買い戻しを入れている可能性がある。

 売買代金上位では日経平均型のファーストリテやソフトバンクG、TOPIX型のトヨタ自やメガバンク株が総じて堅調。東エレクなどは前日までの戻りを受けて利益確定売りが出やすいところだろうが、前日の米ハイテク株高を受けてまずまずしっかりだ。今月下旬から6-8月期決算の発表、また来月下旬からは7-9月期決算の発表を控え、業績修正の発表や観測報道も増えており、物色の手掛かりとなっている。とはいえ、ここまでの東証1部売買代金は1兆円に届いておらず、先物主導の相場であることを窺わせる。

 新興市場ではマザーズ指数が反発。前日は後場に売りが広がる場面も見られたが、1190pt台まで上昇してきた5日移動平均線が下値をサポートする形となり、高値圏をキープしている。連日で上場来高値を更新しているフリー<4478>の上げが目立つほか、上場2日目のトヨクモ<4058>はなお買い気配が続き、新興株のIPO(新規株式公開)人気も健在だ。来週はマザーズで4社の新規上場が予定されており、これらへの期待も高まりそうだ。

 週末前であることに加え、前日の米国株の反発が鈍かったこともあり、積極的に上値を追う動きは期待しづらいだろう。日経平均の日足チャートを見ると、23200円台に位置する25日移動平均線を挟んだもみ合いとなっており、後場もこうした展開が続きそうだ。

 さて、前日の東京都の新型コロナ新規感染者数は195人と、4日ぶりに3ケタに上った。江戸川区の工場等でクラスター(感染者集団)発生が確認されている。また、19~23日の4連休中の感染状況も今後明らかになっていくとみられ、海外での再拡大は対岸の火事ではないと考えておくべきだろう。

 一方、引き続き米ハイテク株の一段の調整を警戒する向きはあるものの、徐々に復調を期待する市場参加者が増えてきた感はある。先日当欄で指摘したファンド勢の売り一巡に加え、米実質金利のマイナス圏での推移、個人投資家の資金余力の大きさ、ハイテク企業の業績モメンタムの強さなどが要因として挙げられているようだ。「ウィズコロナ」への意識が再度高まりつつもあるのだろう。株式市場は悲観一色でもないと改めて指摘しておきたい。(小林大純)《AK》

関連記事