博報堂、生活者基軸のデジタルトランスフォーメーションで成長目指す

2020年7月27日 17:27

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 博報堂グループの博報堂行動デザイン研究所は20日、「アフターコロナにおける行動デザイン予報」を発表した。5月に実施した今回の調査と、コロナ前の2019年9月の調査と比較して、「身近に寄り添い安心を得られるサービスや情報コンテンツの開発」や、「自己を充足させる『至極の時間』の提供」、「繋がるためのテクノロジーの更なる活用」などが必要との予報を行っている。

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 博報堂DYホールディングスは、1895年設立の博報堂、1929年設立の読売広告社、1944年に関西地域の広告代理店14社が統合して設立された大広の3社が、2003年に統合して設立された。

 2020年3月期の売上高は1兆4,662億円。うち海外子会社などを除いた売上高1兆1,987億円となり、種目別の構成比は、新聞(3.6%)、雑誌(1.4%)、ラジオ(1.1%)、テレビ(34.7%)などの4マスメディア計で40.9%。一方、インターネットメディア(21.3%)、クリエイティブ(11.9%)、マーケティング/プロモーション(20.0%)など4マス以外計で59.1%となっている博報堂の動きを見ていこう。

■前期(2020年3月期)実績、今期見通し

 前期実績は、売上高が1兆4,662億円(前年比1.5%増)、営業利益は前年よりも102億円減の551億円(同15.6%減)であった。

 営業利益は、4マスメディアが前年比5.5%減であったが、インターネットメディアが同9.3%増、M&Aの効果で海外が同8.5%増などとなり、売上総利益は前年よりも77億円の増益となった。一方、M&Aによる連結範囲の増加などにより前年より人件費が110億円、賃借料、のれん償却費などのその他経費が69億円増加し、最終的には営業減益となった。

 今期の見通しは、業績予想の合理的な算定が困難であることから、非開示としている。

■中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)による推進戦略

 生活者発想を基軸に、クリエイティビティ、統合力、データ/テクノロジーを融合し、2024年3月期のれん償却前営業利益950億円(対前期比48.2%増)を目指して、次の成長戦略を推進する。

●1.オールデジタル時代を見据え広義デジタル領域でのリーディングポジッション確立

 ・4マスメディア、SNS、検索、位置情報、Eコマースなどの生活者データ主導でマーケティングの高度化推進。

 ・従来のメディアと併せて、AIスピーカー、コネクテッドカーなど多様なデジタルタッチポイントへの対応整備。

 ・インターネットメディア領域での総合広告会社機能強化と、インターネット専業市場での次世代型デジタルエージェンシー機能の拡充。

●2.ボーダーレス化する企業活動への対応力強化

 ・グローバルシフト、専門性/先進性の強化、生活者主体のマーケティングなど得意先企業活動変化への対応力を強化。

●3.外部連携によるイノベーションの加速

 ・ベンチャーキャピタルファンドの組成、未来事業センター新設などで外部企業との連携基盤を構築し、先端テクノロジーへの投資とイノベーションの加速を推進。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、「オールデジタル化」の流れが加速する中、中長期的な事業成長戦略を推進する博報堂の動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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