DEAR・L Research Memo(6)新型コロナの影響により、資産の回転を重視する戦略に一部転換

2020年6月23日 15:16

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記事提供元:フィスコ


*15:16JST DEAR・L Research Memo(6)新型コロナの影響により、資産の回転を重視する戦略に一部転換
■業績動向

1. 2020年9月期第2四半期の業績概要
ディア・ライフ<3245>の2020年9月期第2四半期は、売上高が前期比95.1%増の7,188百万円、営業利益が同39.4%増の512百万円、経常利益が同39.6%増の492百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同30.1%増の301百万円と、増収増益で順調に折り返した。売上総利益率は14.8%(前年同期は19.8%)と下げたものの、売上総利益額を同45.3%増としっかり確保。販管費の同51.4%増を吸収して大幅な増益となった。

主力のリアルエステート事業では、合計11物件(前年同期は8件)の不動産を、個人・不動産会社・不動産投資ファンド・総合商社などの幅広い顧客層に対して販売した。前年同期と比較すると大型物件の売却が完了したのに加え、物件数も多かった。この結果には、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、一部の物件において資産の回転に重点を置いた戦略に修正したことが現れている。物件タイプとしては、自社開発の都市型マンション物件及びADR(土地の開発適地化)案件、収益不動産案件(稼働率向上や管理コストの見直しなどにより収益価値を向上)である。さらに第3四半期以降の業績となる8物件の売却も完了しており売却は順調である。

セールスプロモーション事業においては、大手不動産会社を中心としたクライアントから、分譲・賃貸マンションのセールスサポート、受付スタッフ、イベントスタッフ等幅広い職種で人材派遣案件を受注した。一方で大規模案件が完了し、また新型コロナウイルスの影響により顧客企業の販売業務がストップしたことなどが影響し、減収減益となった。


財務の安全性に基づく資金調達力が強み。販売用不動産(仕掛含む)を約180億円確保。手元資金は高水準を維持
2. 財務状況と経営指標
2020年9月期第2四半期の総資産は前期末比2,257百万円増の27,594百万円と資産規模がさらに拡大した。そのうち流動資産が2,280百万円増であり、仕掛販売用不動産の増加が主な要因である。将来に向けての仕入れが順調に推移したことを表している。固定資産には大きな変動はなかった。現金及び預金は7,986百万円と手元資金は高水準を維持する。

負債合計は前期末比3,138百万円増の15,385百万円となった。そのうち流動負債は102百万円減であり大きな変動ではなかった。また、そのうち固定負債は3,240百万円増であり、長期借入金の増加が主な要因である。2020年3月には(株)福島銀行を引受先とする私募債(800百万円)を発行しており、多様な資金調達ができるのも同社の強みである。純資産合計は同881百万円減の12,208百万円となった。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益を301百万円計上した一方で、剰余金の配当を1,053百万円、自己株式の取得を129百万円行ったことによる。

経営指標では、流動比率953.7%と安全性の目安である200%を大きく超え、短期の安全性は非常に高い。自己資本比率も44.2%と業界水準を大きく上回っており、中長期の安全性にも秀でる。財務内容が健全なため、金融機関からの信頼が厚く、資金調達力につながっていると評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《ST》

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