米国株式市場見通し:経済活動の再開や治療薬開発への期待が下支え

2020年4月25日 14:37

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記事提供元:フィスコ


*14:37JST 米国株式市場見通し:経済活動の再開や治療薬開発への期待が下支え
経済活動の一部再開、新型ウイルスの治療薬やワクチン開発が進んでいることが相場の下支えとなりそうだ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ、日銀や欧州中央銀行(ECB)が今週予定している金融政策決定会合で追加緩和を計画していることも支援材料だ。ジョージア州をはじめ6州が24日から外出規制を緩め一部の小売店などが再開された。感染が再び広がったとしても、十分に対応できる医療システムの準備が整ったとジョージア州知事は自信を表明。新型ウイルス対策担当のペンス副大統領は16州がすでに正式な経済活動再開計画を政府に提出したと会見で明らかにした。その他州は、ジョージア州などでの活動再開後の感染の再拡大がないかどうかを見極めて、慎重に判断していくことになるだろう。

同時に、米国や中国、ドイツ、英国でワクチンの治験が開始されている。開発には通常18カ月程度要すると見られているが、何らかの進展があれば素直に好感されそうだ。治療薬では、最も期待されていたギリヤドサイエンスの抗ウイルス剤「レムデシビル」が中国での新型コロナ治験初回に失敗したと報じられた。ギリヤドは、世界保健機関(WHO)が誤ってウェブ上に公表した中国の治験情報は「不完全」と反論しており、今週予定されている米国の一部治験結果に注目が集まるだろう。

経済指標では、新型ウイルスの影響が明確に現れ始めるだろう。4月消費者信頼感指数(28日)では2014年9月以来の低水準、1-3月期国内総生産(GDP)確定値(29日)はマイナス成長に大きく下方修正される見通し。そのほか、4月ISM製造業景況指数(5月1日)で全米の製造業活動状況が明らかになるほか、4月雇用統計(5月8日)にも注目が集まる。非農業部門雇用者数は前代未聞の1300万減、失業率は18%近くまで上昇すると警戒される。FRBは28日から29日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を予定している。4−6月期GDPはマイナス30%前後に落ち込む見込みで、新型ウイルスへの対応策としてゼロ金利政策と過去最大規模の資産購入策という大規模緩和を維持する見通し。同時に他の緩和手段としてフォワードガイダンスを利用し、一段と積極的な緩和姿勢を強調すると予想されている。

1-3月主要企業決算がピークを迎える。テクノロジ—関連で、オンライン小売のアマゾン(30日)、短文投稿サービスのツィッター(30日)、ソーシャルネットワーキングサービス大手のフェイスブック(29日)、携帯端末のアップル(30日)、検索サイトグーグルを運営するアルファベット(28日)、ソフトウェアメーカーのマイクロソフト(29日)などが予定されている。アマゾンは外出規制が強化される中、需要急増で好決算が期待されるほか、アップルは、中国の販売店を徐々に再開させており、国内の販売の落ち込みをどの程度補えたかに注目が集まる。ツィッターやフェイスブック、アルファベットは広告収入の落ち込み状況を注視したい。ヘルスケアでは製薬会社ギリヤド・サイエンス(30日)、製造業関連では重機メーカーのキャタピラー(28日)や化学製品のスリーエム(28日)の発表が予定されている。スリーエムは世界的なウイルス流行で同社が製造する防じんマスクの品薄状態が続くなど、増益が期待される。一方、経済動向の先行指標として注目されるキャタピラーは世界経済の景気後退入りで、業績悪化が警戒される。ウイルス流行によって大きな打撃を受けたセクターや銘柄では、航空機メーカーのボーイング(29日)、自動車大手フォード(28日)、ハイアットホテル(5月6日)、マリオット・インターナショナル(5月8日)などの発表に注目が集まる。

(Horiko Capital Management LLC)《FA》

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