野球の打撃練習において重要な要素を科学的に検証 順天堂大の研究

2020年4月17日 19:26

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今回の実験で行われた練習。(画像: 順天堂大学の発表資料より)

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  • 練習結果の概要。(画像: 順天堂大学の発表資料より)

 球技スポーツの練習では様々な独自の練習法が用いられているが、その効果の科学的な検証は多くは行われてこなかった。例えば野球の打撃練習では、どのような練習が実践における打撃成績につながるかは、指導者の経験論によって様々な言説が唱えられてきた。そのような経験論中心の取り組みにメスを入れたのが、順天堂大学の研究グループである。15日の発表では、実際の球速や球種に則した打撃練習や資格トレーニングが、打撃能力向上に効果的であると示された。

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 スポーツ科学の分野において、これまで中心的に研究が進められてきたのは、筋力やパワー、持久力などの「出力」に関する部分だった。しかし、野球の打撃のような視覚的な判断、行動における能力が求められる部分は、検証が十分には行われてこなかった。そのため、近年問題となっている長時間練習など、非科学的知見に基づく慣習の改善が遅れている要因の1つとされてきた。

 そのような背景から、今回の研究では野球の打撃練習を題材として検証が行われた。実験は、打撃練習の球速や球種、スイングの有無の異なる6つのグループで行われた。その結果、同じ球速であれば異なる球種であっても打撃能力向上が認められることが判明した。また、より速い球速での打撃練習であれば、それより遅い球速の打撃能力が向上する傾向も見られている。このことから、速い球速での練習はより効率的であることが期待される。

 また、スイングを伴わない視覚のみの練習の場合は、動体視力や視覚機能の向上も見られた。視覚機能は、眼と手の協応に関するものである。このことから視覚的なトレーニングは、ボールの追跡に意識が集中できるため、より影響が大きくなると考えられる。視覚的なトレーニングはケガをしている選手も取り組みやすいため、活用の幅の広い練習法であると言える。

 今回の研究成果より、特定の球種や急速に着目したトレーニングが効率的であることが判明した。この知見を活かせば、長時間練習が問題となっている部活動の改善につなげることも期待できる。

 本研究の成果は、2019年12月付のJournal of Human Kinetics誌のオンライン版にて掲載されている。

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