ノムラシステム Research Memo(1):2020年12月期見通しは増益基調に戻る

2020年4月6日 16:56

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記事提供元:フィスコ


*16:56JST ノムラシステム Research Memo(1):2020年12月期見通しは増益基調に戻る
■業績動向

ノムラシステムコーポレーション<3940>は、1986年2月に設立され、企業のオープン化コンサルティング業務、それに関連するソリューション提供業務などを展開し、発展を遂げてきた。ITが急速に進化する時代の流れにうまく乗り、ソフトウェア設計・制作請負中心の事業構造から、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹系統合システム)パッケージ導入におけるコンサルティング業務に経営資源をシフトしている。

同社の次世代戦略室では、ライセンス販売を積み重ね、システム更新需要等で安定的に収益を上げるビジネスのストック化を目指す。ストックビジネスが増えれば、中長期的に着実に業績がアップするシナリオが描けるようになる。

民間調査機関が試算した国内ERP市場は、年平均成長率が8%。さらに、クラウド市場やビッグデータ市場も拡大が見込まれており、コンサルティング企業として同社の成長余地は大きいと言えるだろう。

同社の事業内容はSAP導入コンサルティング、SAP保守サポートセンター運営、Webシステム開発コンサルティング、情報サイトコンサルティングなどで構成されるが、2001年にSAP<SAP>とサービスパートナー契約を結んだことが飛躍するきっかけになった。2009年にはSAPのチャネル・パートナーとなり、SAP ERPのスペシャリスト集団として収益を伸ばし、2016年9月に東京証券取引所JASDAQ市場への上場を果たし、2018年3月には同第2部市場に上場。2018年6月には早くも1部市場に指定替えとなり、信頼度の高まりから受注が拡大している。

2019年12月期決算は、売上高が2,412百万円(前期比5.1%減)、営業利益334百万円(同14.4%減)、経常利益354百万円(同12.9%減)、当期純利益241百万円(同12.9%減)と減収減益を余儀なくされた。

プライム※案件にシフトする一方、既存のFIS(Function Implement Service)が減少した。FIS案件は外注コストがかかるため、全体の売上高は減少しながらも、利益率が改善する。ただ、同期は次世代戦略室への先行投資を実施したため、その影響で利益率が低下した。ただし、全体売上高に占めるプライム比率は着実に伸長していることから、今後の巻き返しが十分期待できる。

※クライアントから直接受注し、全工程を同社のコンサルタントが担当する。


次世代戦略室のRPA(Robotic Process Automotion)事業への先行投資は、RPA事業への前向きな投資分による利益への影響であり、不安材料とはならない。

今後も、利益率改善を図るために、プライム案件、準プライム案件の比重を高めていく方針。従来型のFIS案件のように、プライムベンダーから依頼を受け、支援する形で部分的に対応することと比べて、売上総利益率に10ポイントほどの差が生じることになることから、当面はプライム案件の受注確保が業績向上のポイントだ。

さらに、次世代戦略室では、ライセンス販売を積み重ね、システム更新需要等で安定的に収益を上げるビジネスのストック化を目指す。ストックビジネスが増えれば、中長期的に着実に業績がアップするシナリオが描けるようになる。

一方、2020年12月期通期の見通しは、売上高は2,700百万円(前期比12.0%増)、営業利益は379百万円(同13.3%増)、経常利益は379百万円(同7.1%増)、当期純利益は258百万円(同7.4%増)と、増収増益を見込む。

受注は順調に拡大している一方、プライム案件も着実に積み上がる見込み。今後も「高付加価値ソリューションの提供」を目指し、1) SAP S/4HANAのリプレイス需要を取り込むため、SAP認定コンサルタントの資格取得を推進し技術力を強化、2) SAP Success Factors拡販のためのクラウドソリューション強化、を重点施策とする。

また、既存のシステムについてクラウドを導入していない企業が多いため、クラウドへの置き換えを進めるといったビジネスチャンスもある。また、2019年に入社した8人の新入社員(4月新卒6人、9月第2新卒2人)が戦力化することも、利益率のアップにつながることになりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)《SF》

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