アンジェス Research Memo(6):2019年12月期業績はほぼ前期並みの営業損失で着地

2020年3月19日 17:15

印刷

記事提供元:フィスコ


*17:15JST アンジェス Research Memo(6):2019年12月期業績はほぼ前期並みの営業損失で着地
■業績動向

1. 2019年12月期の業績概要
アンジェス<4563>の2019年12月期の事業収益は前期比46.4%減の326百万円、営業損失は3,270百万円(前期は3,065百万円の損失)、経常損失は3,293百万円(同3,096百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,750百万円(同2,996百万円の損失)となり、ほぼ会社計画どおりの着地となった。

事業収益は、ムコ多糖症4型治療薬「ナグラザイム®」の売上が第2四半期で販売終了となったことにより、前期比55.6%減の170百万円となったが、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売開始により、製品売上高で4百万円を計上した。また、研究開発事業収益については「コラテジェン®」に関するマイルストーン収益150百万円を計上したものの、前期比では32.9%減の152百万円にとどまった。

事業費用では、売上原価が「ナグラザイム®」の販売終了に伴い前期比53.7%減となった。なお、「ナグラザイム®」の原価率は約49%で推移していたが、「コラテジェン®」については82.8%とやや高くなっている。研究開発費は前期比12.8%減の2,215百万円となった。原材料の評価替えや廃棄損の減少(-195百万円)、海外提携先との共同開発費用の減少(-108百万円)が要因となっている。一方、販管費は同36.6%増の1,294百万円となった。主に「コラテジェン®」の販売に伴うマーケティング費用及び新規事業へのコンサルタント契約に係る支払手数料の増加(+141百万円)、ストック・オプションの付与による株式報酬費用の増加(+70百万円)、租税公課の増加(+45百万円)による。この結果、営業損失は前期比で204百万円拡大した。また、特別損失として保有する有価証券評価額の下落に伴い、投資有価証券評価損468百万円を計上している。

なお、同社は2019年3月にイスラエルを拠点とする米国のバイオベンチャー、Emendo※への投資を実施した。Emendoは安全性が高く標的選定の自由度が高いゲノム編集技術「OMNI」を開発し、重症の遺伝子疾患やがん疾患などの創薬開発に取り組んでおり、今後、Emendoが開発を進めている難治性の遺伝子疾患治療用製品の導入や共同開発を進めていくことを目的としている。2020年1月に追加出資し、持分法適用関連会社としており、2020年6月にさらに株式を取得し、出資比率約32%とする予定となっている。

※Emendoは最先端のゲノム編集技術を用いて重症疾患の遺伝子薬と細胞療法を開発するバイオベンチャー。オービメッド・アドバイザーズ(OrbiMed Advisors LLP)と武田薬品工業<4502>のベンチャー部門である武田ベンチャー投資(株)が投資して2015年に設立された。


2. 2020年12月期の業績見通し
2020年12月期の見通しについては、HGF遺伝子治療用製品の海外導出などの事業提携の可能性や新規シーズの導入の可能性など、現時点で業績に影響を与える未確定な要素が多いことから、合理的な数値の算出が困難であると判断し、現時点での開示は行っていない。研究開発費については、HGF遺伝子治療用製品の国内での市販化後調査や適応拡大のための臨床試験が開始されるほか、米国での臨床試験が始まることから、前期比で数億円程度増加することが見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SF》

関連記事