【ドル円・3月第2週】月足の安値が今後の焦点となるか?【テクニカル分析】

2020年3月15日 16:29

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 3月2週目末のドル円は年初来の最安値を更新した。

 2019年1月1日の「アップルショック」の暴落以上の規模で価格が推移した時点で、投資家・トレーダーであれば、警戒すべき相場である。ここ数年単位で、極めてまれなボラティリティを見せるドル円の今後は誰しも気になるだろう。

 今週のドル円について「90円台へ突入も十分あり得る」このような結論となった。

●マクロ環境のドル円
●ミクロ環境のドル円

 本記事では、ローソク足チャートからテクニカル分析を行い、ドル円の今週の展望を考える。

【マクロ環境】ドル円は1990年から続く重要な局面


 【ドル円 月足チャート】

 ドル円の月足では、現状2本の線が相場において観察される。

●2015年3月から高値を抑える「トレンドライン」
●2018年3月から安値を支える「水平線」

 この2本の線は、長期にわたりドル円の相場参加者に意識された節目だ。今回の月足においても、確定前ではあるが下髭を付ける形で機能している。


 【ドル円 月足チャート】

 これらの線を複合して考えると「ディセンディングトレイアングル(三角持ち合い)」のチャートパターンが明確にみられる。

 このチャートパターンは、三角形の底辺を下抜けし、価格を下げる事を示唆させる。つまり、月足レベルでは「下抜け」の可能性が高いと言える。


 【ドル円 月足チャート】

 現状のドル円では、この水平線を下回り「陰線の実体」を形成するかは非常に重要な局面である。

 なぜなら、2008年に同水準を下回った際には、「70円台」までドル円相場は下降トレンドを継続させた過去があるからだ。この水平線は、1999年以降しばらくドル円相場のレンジ中間領域として多くの投資家に意識されていたのは、チャートをみれば一目瞭然。

 これらを踏まえてドル円のマクロ環境は「1990年から続く重要な局面」と言える為、3月の月足を注視したい。

【ミクロ環境】やはり104円中間の買い支えは強い


【ドル円 週足チャート】

●104円中間で買い支えられる
●先週高値までの上昇
●先週の下落幅を9割戻す

 先週の値動きを振り返ると「近年まれにみるドル円の活気」が観察できた。

 週明けから大きく下がり、一旦は101円前半まで押し下げる展開。一方で引けにかけて大きく買い戻される様に推移し「先週の下落幅を9割戻す」といった形の週足が確定した。

 この寄り付けから引けにかけての1週間の展開から、やはり買い手・売り手問わず「104円台は大きな節目」と再確認できたと言える。


【ドル円 日足チャート】
 日足チャートで先週のドル円を振り返ると、必ずしも売り手が支配しているとは言えない。

●12日間の下落幅
●4日間の上昇幅

 なぜなら、週足でみた買い戻しが「12日間の下落幅を4日間で大半を戻す」という展開だからだ。

 本来、売り手が支配する相場であれば短期間で大きな下落に対し、緩やかに上昇し「戻り高値」を形成する展開が考えられる。

 しかし、実際には3分の1の日数で上昇幅も大きい為、必ずしも売り手が支配している相場環境ではない。買いと売りの強弱バランスが五分五分と捉えるのが最適解だと考えられる。

 つまり、買いも売りも判断が難しい相場環境に変化したのが先週のドル円と言えるだろう。

【ドル円】今週のキーポイント
●104円中間までの下落
●月足のトレンドラインまでの上昇
●先週の上昇幅を突発的に下げる展開

 上記のいずれか、ドル円は今週の値動きに引き続き注意すべきと言える。仮に、再び月足の安値を試し、下回る展開なら「ドル円=100円以下」の大相場継続の可能性が高い。

 ファンダメンタルズ要因も注目度が高い中、テクニカルにおいても重要な局面。ドル円の今後の展開をみていこう。(記事:ゆうき@FX系ライター・記事一覧を見る

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