アサヒ衛陶 Research Memo(7):海外事業の急拡大がグループの成長ドライバーに(2)

2020年2月20日 15:07

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記事提供元:フィスコ


*15:07JST アサヒ衛陶 Research Memo(7):海外事業の急拡大がグループの成長ドライバーに(2)
■中長期の成長戦略

2. アサヒ衛陶<5341>の海外事業展開
新中期経営計画の海外事業では、ベトナムを中心とした受注見込み工事案件(約24億円)の確実な取り込みを掲げている。ベトナム販売子会社のVINA ASAHIは、2019年1月にショールームを開設し、大型物件の受注を順調に積み上げている。

(1) ベトナムの大口案件納入計画
ベトナムの人口は、9,620万人と東南アジアで3位、世界で15位となる。10年間で1,000万人増加した。同国最大都市のホーチミン市の人口は、約900万人と10年間で180万人増加しており、住宅不足が深刻化している。

2019年夏から2020年1月までに、大口納入予定案件について4回リリースを出している。ベトナム国内における病院、ホテル、集合・戸建住宅に関する9プロジェクトで、合計7,710室、納入予定額187万米ドルになる。2019年9月リリースした大口案件納入計画は、ホーチミン市に建設される600室と130室の2つの病院建設である。ホーチミン市が計画する病院建設を請け負う国営ゼネコングループから受注した。2020年1月リリースの第4弾では、総合病院を運営する投資グループの案件で、2020年度に2病院物件(各約700室)と2021年度に2物件(約750室と約1,000室)にトイレ、洗面器、給水栓、付属金具などを納入する。ホーチミン市の社会住宅(約930室)向けに、トイレと洗面器を納める予定だ。社会住宅は、国家主導の集合住宅を指す。国家または国が認めた組織により、公務員・軍人、経済特区・工業団地・輸出加工区・ハイテク団地の事業に従事する労働者、都市部の貧困者・生活保護対象者、住宅を必要とする学生(大学生、各種学校)などを入居対象とする。

(2) 他の海外市場の開拓状況
国連が進めているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、投資のテーマになっている。17のゴールのうち、6番目に「安全な水とトイレを世界中に」がある。経済発展とともに、新興国で衛生陶器の需要が拡大することが見込まれる。中国は、2017年に習近平国家主席が「トイレ革命」を指示したことから猛烈な勢いでトイレが普及している。インドでは、モディ政権が「クリーン・インディア」を最優先課題に掲げ、トイレの普及を進めている。トイレ・下水施設の整備は、公衆衛生ばかりでなく、夜間の屋外排泄時に起こる性犯罪の防止にもつながる。

同社グループは、2019年3月にバングラデッシュ、同年11月に東アフリカのウガンダ共和国において販売活動を開始した。

アジア開発銀行(ADB)による2019年度と2020年度の実質GDP成長率予測(2019年9月時点)では、ベトナムが6.8%、6.7%、ミャンマーが6.6%、6.8%、バングラデッシュが8.1%、8.0%といずれも高い経済成長が見込まれている。

人口が5,000万人を超えるミャンマーは、ベトナムと同じくASEAN経済共同体に属している。同社子会社は、2017年よりミャンマーで普及活動をしており、既に主要都市のヤンゴン、ダウェイ、マンダレー等5都市に販売拠点を設けている。2019年11月に開催された日本企業を同国国内に紹介する一大イベントである「第8回JAPAN EXPO 2019 YANGON」に出展したが、EXPO来場者とのマッチングにより、世界仏教三大遺跡で有名な中部バガン地域のホテル案件、マンダレー地域での中規模ホテル案件、首都ヤンゴンでのショッピングモール兼アパート案件等の納入が内定した。

バングラデッシュは、人口が世界8位の1億6,100万人いる。2019年3月より同国における販売活動を開始し、日本発の優れたトイレ文化・衛生環境の整備普及を目的として順調に拡販をしている。首都ダッカを中心に、複数の代理店とサービス網の構築が進んでいる。同年11月には、同社の現地代理店が同国の建築士協会が主催する「Dhaka International Building Material EXPO」に出展した。併せて建設関係者・関係機関の幹部などを招いて、PRイベントを開催した。

アフリカは、EAC(東アフリカ共同体)をターゲットとする。経済の中心国であるウガンダ、ケニア、タンザニアの3ヶ国を最優先進出先とする。最初に進出したウガンダでは、発売開始記念イベントに同国の国土開発大臣と日本の在ウガンダ共和国特命全権大使など両国関係者が出席した。ほかにも、現地の建築家、建設業者、建材の卸業者、TV、新聞などの報道機関を含め150名を超える人が集まった。

(3) 海外事業の計画値の検証
新中期経営計画において同社は、海外事業の売上高の急拡大と高い収益性を計画している。前述したように、海外事業の売上高は、2022年11月期までの3期間で400百万円、1,000百万円、1,600百万円と急拡大を見込む。同様に、売上高営業利益率は、13.8%、20.0%、18.8%と高水準で推移する計画となっている。

その妥当性を、業界トップのTOTOのデータで検証してみる。TOTOのグローバル住設事業の売上高は、2020年3月期に5,839億円が見込まれている。10年前の2010年3月期と比較すると43.6%の増加となる。地域別では、グローバル住設事業売上高の76.7%を占める日本国内(4,479億円)の伸び率が26.5%にとどまるのに対し、中国(667億円)は2.75倍、アジア・オセアニア(329億円)は3.79倍となる。

同社グループは、ベトナムを中心に受注見込みが24億円に達していることから、確実な取込みが行えれば過大な目標値とはならない。進出を決めた東アフリカのウガンダは計画値への影響はいまだ軽微だろうが、日系企業が進出しておらず、競合先は中国やインドの企業となる。

TOTOのグローバル住設事業の売上高営業利益率は、2020年3月期の計画が7.6%となる。地域別では、日本が6.4%であるのに対し、海外は11.5%と高い。中国が15.3%、アジア・オセアニアが16.4%、米州が3.1%、欧州がマイナス23.1%になる。中国の利益率は、過去10期中8期で20%を超えた。アジア・オセアニアは、2014年3月以降は常に2ケタ台を維持しており、2018年3月期は21.3%に達した。このことから、同社が海外事業に想定している利益水準がとりわけ高いわけではないといえる。

TOTOがターゲットとする市場セグメントは、ワンランク上の高級ゾーンになる。一方、同社は国別によってミドルからハイエンド、もしくはローからミドルエンドをメインとする。日本仕様の製品は、同社がターゲットする国及び市場セグメントには過剰品質であり、また水の流し方や構造など最適とはならない。ベトナム子会社が、海外市場のニーズに適した商品の企画開発を行っている。アフリカ市場には、日本市場用の商品は不適合だが、ベトナム向けの商品は販売可能だ。国内では、商習慣上、小口・多頻度配送を余儀なくされるが、海外では代理店へのコンテナ売りと販管費が国内ほどかからない。販管費率が抑えられることで、高い売上高営業利益率が実現可能とみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)《YM》

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