一家ダイニング 理念に基づくおもてなしで飲食事業とブライダル事業を展開。4期連続増収・営業増益見込む

2020年2月3日 11:15

印刷

記事提供元:フィスコ


*11:15JST 一家ダイニング---理念に基づくおもてなしで飲食事業とブライダル事業を展開。4期連続増収・営業増益見込む
一家ダイニングプロジェクト(9266)は、「屋台屋博多劇場」などの居酒屋チェーンを展開する飲食事業と、ブライダル事業を運営する。1997年、千葉県本八幡に居酒屋1号店をオープンし、2017年12月、東証マザーズに上場。現在の店舗数は70店舗。

業績は好調で、2020年3月期通期では4期連続の増収・営業増益を見込んでいる。

「あらゆる人の幸せにかかわる日本一の“おもてなし”集団」をグループミッションに、「お客様、関わる全ての人と喜びと感動を分かち合う」「誇りの持てる『家族のような会社』であり続ける」などを理念にかかげ、社名も「家族のような会社」という理念が由来だ。

理念に基づいた徹底したおもてなしが、同社の強みだ。それは同社の居酒屋事業において、会員顧客のリピート率の高さという特長にも表れる。自社アプリ「屋台屋会員アプリ」の会員数は現在、55万人を超える。主要業態である「屋台屋博多劇場」では、来客数の4割以上がリピーターだという。

会員数を増やすには、初回来店時に「また来たい」と思わせる満足度の高さが重要となる。そのために、アルバイトスタッフにまで理念の共有を徹底。社内イベントや店舗ミーティングへの参加率を重要指数(KPI)の一つとしており、これらの参加率の高さがスタッフへの理念の浸透、ひいては顧客満足度の向上、会員数の増加へつながると同社は考えている。

さらに、リピート率の高さの要因は、顧客とスタッフとの距離の近さだ。そのための施策の一つが、店舗でのイベント企画。顧客が接客の良いスタッフを投票する「総選挙」企画などを実施している。

「一般的に、居酒屋のアプリでは予約ページやメニューページが1番見られるが、うちは、スタッフ紹介ページが1番見られています。お客様が“人(スタッフ)”に付いてくれています」と語るのは、同社の武長太郎社長。

一方で、顧客との接点以外の部分では、オペレーションを効率化。調理では、味に直結する部分には徹底してこだわり、そうでない部分では生産性を上げている。たとえば餃子は冷凍ではなく、店舗での手包みにこだわるが、餃子のタネは工場で作ることで効率化とコスト削減を実現。以前は各店舗で作っていたタレ類も、自社のレシピ通りに工場で生産することで効率化を図っている。

2012年に進出したブライダル事業では「コストパフォーマンス重視×高回転率の結婚式場」という、居酒屋チェーンのノウハウを生かしたスタイルを確立している。

同社の結婚式場「The Place of Tokyo」(東京都港区)の価格設定は、東京都内の結婚式場平均費用の7割程度。ブライダル業界では、見積金額と最終的な請求額との差が大きくなることが少なくないが、同社はあくまで新郎新婦の負担にならない価格に抑え、最終的な満足度を上げることを重視している。

さらに、東京タワーを真上に臨む立地を活かし、ライトアップした東京タワーが楽しめる“ナイトウエディング”を取り入れ、高回転率を実現。一般的な結婚式場で1日に可能な挙式数は午前と午後の2枠のみだが、同社では、午前、午後、ナイトの3枠となっている。年間の平均回転数は1会場あたり約200回転で、一般的な結婚式場の回転率を大きく上回るという(同社調べ)。和テイストの婚礼料理の評価も高く、結婚式場の口コミサイト「みんなのウエディング」では、東京都内の結婚式場約900施設の中で、料理部門1位を獲得している。

また、結婚式の特性上、一般的にはリピーターの存在しないブライダル業界だが、結婚式を挙げた新郎新婦が利用できる永久会員制のバーを館内に用意し、挙式後も思い出の場所としての来店につなげている。

今後はM&Aや海外展開も視野に入れながら、「日本のおもてなしを世界へ発信していくリーディングカンパニー」を目指していく。

「上場してからは、理念にある『関わる全ての人』の中に、投資家の方が入ってきた感覚がある。10年後、『株を持っていてよかった』と思っていただける会社でいたい」と武長社長は思いを語ってくれた。《SF》

関連記事