圧電材料による新たな有機合成手法の開発に成功 北大の研究

2019年12月23日 07:32

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圧力電材のチタン酸バリウム(左)と、今回の研究の概要。(画像: 北海道大学の発表資料より)

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 従来用いられてきた化学反応を促進する方法は、主に熱や光などによるものであるが、機械的な力を化学反応に利用することで、全く未知の反応が実現される可能性がある。そこで着目されたのが、圧電材料と呼ばれる、機械的な圧力で電気を発生させる材料である。北海道大学の研究グループは20日、圧電材料を利用した有機合成手法を開発したと発表した。

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 今回の研究成果は20日付Science誌のオンライン版に掲載されている。

 通常の有機合成は毒性や安全性の懸念がある有機溶媒の中で行われる上に、空気中への暴露を避ける必要がある。そのため、利便性や簡便性といった点でも課題となっていた。

 そこで研究グループは、圧電材料と有機化合物を、ボールミルと呼ばれる粉砕機で混合する手法の開発を行った。圧電材料にはバリウムチタン酸を、有機化合物にはアリールジアゾニウム塩をそれぞれ使用した。

 ボールミルで混合を行うと、アリールジアゾニウム塩が圧電材料から発生する電気によって活性化されることが、見いだされた。この電気はピエゾ電気と呼ばれるもので、圧電材料が圧力でひずむと発生する電気である。この電気を利用することで、新しいカップリング反応やホウ素化反応を起こすことに成功。いずれも空気中において数時間程度で反応が発生する。

 また、ボールミルを使う代わりに金鎚で叩くことでも、同じように反応が促進されることも判明。バリウムチタン酸とアリールジアゾニウム塩をビニール袋に入れたものを叩くといった、より簡便な手法も効果があるため、より応用可能性が広がる。

 今回の研究の反応方法は有害な有機溶媒を用いずに実施できるため、より環境負荷を抑えた生産方法を確立できる可能性がある。溶媒の乾燥や脱水にかかるコストもかからないため、コストダウンへの効果もあると考えられる。特に化学製品や医薬品、機能性材料の生産への応用が期待される。

 研究グループは今後、計算科学や機械学習などを取り入れた開発を継続し、性能向上を目指す方針。

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