日経平均は小幅続落、新規材料難のなか薄商いで狭いレンジ推移/ランチタイムコメント

2019年11月29日 12:10

印刷

記事提供元:フィスコ


*12:10JST 日経平均は小幅続落、新規材料難のなか薄商いで狭いレンジ推移
 日経平均は小幅に続落。31.55円安の23377.59円(出来高概算4億1689万株)で前場の取引を終えた。前日の米国市場は感謝祭の祝日で休場。米中貿易協議に関する新しいヘッドラインも見当たらない中、1ドル=109円50銭台後半と円安基調に弱含んだ為替を材料に日経平均は反発して始まった。ただ、その後再び1ドル=109円台前半に戻したことから下げに転じ、結局、日経平均は前日比マイナスで折り返している。前日の日経平均は、取引開始直前にトランプ米大統領による「香港人権・民主主義法案」の署名報道が伝わったことで市場センチメントが後退し、5日ぶりに反落した。上述の法案署名による米国株式市場への影響を見極めたいとの思惑もあり、本日の日経平均はほぼ対ドルでの為替の動きと連動する展開となった。

 セクターでは、鉱業、証券業、非鉄、パルプ、電機などがプラスで推移する一方、サービス業、精密業、建設業、卸売業、不動産業などがマイナス推移。売買代金上位では、半導体事業の売却発表から収益力向上の期待が高まっているパナソニック<6752>や、先日国内証券による目標株価の引き上げがあったレーザーテク<6920>が大きく上昇している。その他、ソニー<6758>、村田製作所<6981>、ファナック<6954>など、取引前半の円安を背景に半導体関連を中心とした電気機器や機械といった景気敏感株が強含んで推移した。

 日経平均は引き続き23500円前後の水準での値固めとなっている。昨日にも説明したように、24000円を窺うようなもう一段の上値を追う動きは米中貿易協議に具体的な動きが見られない限りは難しいだろう。ただ、こうしたもどかしい中でも、日々下値が堅いことが確認されることはセンチメントを明るくさせよう。昨日発表された投資主体別売買動向によれば、7週連続で買い越してきていた海外投資家が8週ぶりに売り越しに転じた一方で、6週連続で売り越していた個人投資家が逆に買い越しへと転じてきており、10月以降の上昇相場に乗り遅れていた個人の押し目買い需要の強さが確認される形となった。こうした事に加え、9月末配当の再投資や買い余力を依然残している日銀のETF買いなどの思惑も下支えとして意識され、日経平均は引き続き底堅さを保つことが予想される。

 東証1部市場の大型株の細かい動向を確認してみると、上昇相場の前半にけん引役となっていた半導体関連の代表格である東エレク<8035>が10月末の終値から昨日まででみて2.5%程度の上昇であるのに対し、東証業種別で機械株の時価総額上位にあるSMC<6273>は7%近い上昇を見せており、物色の矛先が半導体から機械など景気敏感業種の中で広がっていることが分かる。その他、11月に入ってJASDAQ平均が引き続き年初来高値を更新し続ける中、出遅れていたマザーズ指数も52週移動平均線を上抜いてくるなど、物色が大型株から中小型株へと転じてきていることからも、買いの対象が幅広く巡っていることが分かる。こうした背景からも市場環境の良好さが窺えよう。29日の米国市場が短縮取引であることや11月最終週末であることなどから、後場の東京市場は引き続き薄商いとなることが予想される。そのため、昨日同様、この先も幕間つなぎ的なかたちでマザーズ市場を中心とした中小型物色が中心となることが予想される。(仲村幸浩)《AK》

関連記事