NYの視点:FOMC、タカ派的利下げへ

2019年10月29日 07:36

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記事提供元:フィスコ


*07:36JST NYの視点:FOMC、タカ派的利下げへ
米連邦準備制度理事会(FRB)は29日から30日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。インフレの低迷、世界経済の成長減速や貿易への不透明性を受けてFOMCはこの会合で25ベーシスポイントの利下げに踏み切ることがほぼ確実視されている。

同時に、米中通商協議の進展や英国の欧州連合(EU)離脱が延期される可能性で成長減速リスクが軽減したため、FOMCは10月の利下げ後、政策金利を年内据え置くことをを示唆するとの見方も浮上。FOMCメンバーは年内3回の保険的な利下げで「十分」との見方を強めている可能性がある。FRBが公表した9月FOMC議事録の中で、何人かのFOMCメンバーは「市場は過剰に利下げを織り込みすぎている」と見ていることが明らかになった。

ゴールドマンサックスのエコノミストは10月の追加利下げを予想しているものの、次回会合で一連の利下げをいったん打ち止める方針を示す可能性を指摘した。FOMCが声明の中で6月から維持している「持続的な成長を維持するために適切な行動をとる」との文言をより明言しない文言に修正する可能性を指摘している。本年3回の利下げで「中間期の修正midcycle adjustment」を達成したと判断すると見ている。

また、追加利下げの反対票が3票から2票に減少する可能性にも言及。エスター・ジョージ・カンザスシティー連銀総裁と、ローゼングレン・ボストン連銀総裁は引き続き政策金利据え置きの必要性を主張し、利下げに反対する可能性が強い。しかし、9月会合で50ベーシスポイントの利下げの必要性を主張していたブラード・セントルイス連銀総裁は10月FOMCでの25ベーシスポイントの利下げを支持する可能性があり、反対票は3票から2票に減少すると見られている。

パウエル議長は会合後の会見で、「midcycle adjustment」の終了に言及する可能性も指摘されている。タカ派的な利下げで年内の利下げ観測が後退するとドル買いに拍車がかかる。

■10月FOMC会合での予想
*25ベーシスポイントの利下げでFF金利誘導目標を1.5%−1.75%
*声明で「適切に行動」を削除し、明確化を弱める。一連の利下げ終了を示唆。
*一方、消費の判断を「強い」から「堅調」に下方修正する可能性。
*利下げ反対票が3票から2票に減少。《CS》

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