フォーバル Research Memo(2):情報通信分野を得意とする中小・中堅企業向けコンサルタント集団

2019年9月18日 15:02

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記事提供元:フィスコ


*15:02JST フォーバル Research Memo(2):情報通信分野を得意とする中小・中堅企業向けコンサルタント集団
■会社概要

1. 会社概要
フォーバル<8275>は、「中小・中堅企業の利益に貢献する次世代経営コンサルタント集団」を旗印に事業展開を行う。IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングを得意とし、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングなどを行う。従来は情報通信機器の卸売販売を主に行っていたが、2000年代半ばに大きな売上・利益減に直面し、アイコンサービスを主軸としたコンサルティング業態に転換した。このビジネスモデルの転換が成功し、2019年3月期まで営業利益は11期連続の増益を達成している。情報化や経営改善、海外進出など中小企業が抱える様々な課題を解決するユニークな企業である。

2. 沿革
電気通信機器、コンピュータ、端末機器の販売、設置工事などを事業目的とした新日本工販株式会社として、1980年に設立された。1988年に、創業者社長であった現代表取締役会長大久保秀夫(おおくぼひでお)氏が第1回アントレプレナー大賞を受賞したほか、当時の日本最短記録で店頭登録銘柄として株式公開した。1991年には、「For Social Value」から着想を得て現在の社名の株式会社フォーバルに商号を変更した。2008年に総合ITコンサルティングサービス「アイコン」の提供を開始した。2014年1月に東証2部へ市場変更、同年10月に1部に指定された。

創業以来、同社は情報通信の分野でユーザーの視点から「新しいあたりまえ」を創出することに注力してきた。創業当時の電話機の自由化から始まり、市外料金の値下げ、国際料金の値下げ、市内料金の値下げに続き、回線基本料の自由化、法人携帯電話の普及と通話料金の更なる削減を目標に挑戦してきた。現在は、「中小・中堅企業の利益に貢献する」と明確な目的を設定し、コンサルティングファームへの進化を掲げ、アイコンサービスのほか、次世代経営コンサルティング事業で中小企業に経営技術を伝授している。

3. 事業内容
同社は、主軸のアイコンサービスやセキュリティ関連、複写機の販売などを行う「フォーバルビジネスグループ」、光回線サービスやISPなどの通信サービスを取り扱う「フォーバルテレコムビジネスグループ」、太陽光システムやLED関連事業を取り扱う「総合環境コンサルティングビジネスグループ」、人材・教育分野の「その他事業グループ」の4つの事業セグメントから構成される。

2020年3月期第1四半期は、フォーバルビジネスグループが全社売上高の構成比で42.6%、全社セグメント利益の中の構成比で43.3%を占め、グループの大黒柱である。フォーバルテレコムビジネスグループは売上高の40.9%、セグメント利益の39.7%であり、第2の柱となっている。総合環境コンサルティングビジネスグループ、その他(人材・教育分野)の規模は相対的に小さいが、潜在的に成長が期待される領域であり、収益力も出ている。

4. 人材の育成と処遇
同社では顧客企業との接点を重視しており、接点を担う人材の教育に力を入れている。毎年入社する約70名の新入社員には、1年間という長い研修期間が設けられており、入社1年後に配属が決まる。1年間の中で、同社の中核サービスであるアイコンサービスのアドバイザー、遠隔サポートのコールセンター、営業部門などを順次経験し、必要な専門知識やスキルを学んでいく。また、同社の業務を遂行する上で、ITの基礎知識は必要不可欠であるという考えから、10以上の推奨資格を明示し、能力開発に活用している。なかでも、1) ドットコムマスター、2) Webリテラシー検定、3) 個人情報保護士、4) スマートマスター(社内資格)の4資格は重要視しており、顧客接点を持つ部署(コンサルティング、コールセンター、営業)のほぼ全員が取得を終えている。

同社はITなどにより顧客企業の生産性を向上させ、中小企業の課題である長い労働時間を解決する支援を行ってきた。自らも残業時間の削減や有休取得などを継続的に推進し、従業員の健康と生産性向上を図っている。特に 、柔軟な働き方、メンタルヘス等のストレス関連疾患の発生予防を重点課題と捉え積極的に取り組んできた。2019年2月には、特に優良な健康経営を実践している企業や団体を認定する「健康経営優良法人2019(ホワイト500)」に2年連続で選出された。

健康経営優良法人認定制度は、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する表彰制度。健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的評価を受けることができる環境を整備することを目的としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《ST》

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