クロスマーケ Research Memo(2):マーケティングリサーチからマーケティングソリューションへ

2019年9月12日 15:02

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記事提供元:フィスコ


*15:02JST クロスマーケ Research Memo(2):マーケティングリサーチからマーケティングソリューションへ
■会社概要

1. 事業概要
クロス・マーケティンググループ<3675>の事業セグメントはリサーチ事業、ITソリューション事業、その他の事業の3つである。祖業のリサーチ事業では、主力のネットリサーチを核に、オフラインリサーチも含めたマーケティングリサーチ全般に関する事業を展開しており、定量調査も定性調査も、オンラインもオフラインも、すべての調査においてワンストップのサービスを提供することができる。ITソリューション事業では、モバイル向けシステムの企画・開発・運用やエンジニアの派遣などを行っている。その他の事業では、マーケティング支援に関わるプロモーション事業を行っている。これまで同社は、ネットリサーチを核にマーケティングリサーチからマーケティングソリューションへと事業領域を大きく広げてきた。そして現在、時代や技術の進歩に合わせて各事業の機能を強化するとともに、事業同士の機能をクロスオーバーすることで、多様化する顧客ニーズへの対応力を強めている。また、海外での事業構築にも積極的に取り組んでおり、世界11ヶ国に20以上の拠点を展開、子会社33社、関連会社4社を擁している(2018年12月期末時点)。


国内リサーチ業界最大手の一角へと急成長
2. 沿革
同社は、2003年4月に現代表取締役社長兼CEOの五十嵐幹(いがらしみき)氏により、ネットリサーチ専業の株式会社クロス・マーケティングとして設立された。2006年5月にECナビ(現(株)VOYAGE GROUP(CARTA HOLDINGS<3688>):アドプラットフォーム事業やポイントメディア事業を運営)と資本・業務提携、これを弾みに2007年3月には(株)電通リサーチ(現(株)電通マクロミルインサイト)や(株)ビデオリサーチなど大手リサーチ会社とも資本提携した。2008年10月に東証マザーズに上場し、ネットリサーチからマーケティングリサーチ、マーケティングソリューションへと事業領域を拡大、2011年2月に楽天リサーチ(株)などとモニターデータベースの共同開発に向け提携、同年8月には(株)インデックスよりモバイル向けソリューション事業(現ITソリューション事業)を譲り受けた。そして2013年の創業10周年を「第2創業期」と位置付け、社名を株式会社クロス・マーケティンググループとして持株会社化、M&Aや新規事業、海外展開を加速した。2015年以降、Kadenceや(株)リサーチ・アンド・ディベロプメント、(株)メディリードなど有力企業を次々と獲得し、2018年3月には東京証券取引所市場第1部への上場市場変更も果たしている。後発ながら、今や国内リサーチ業界最大手の一角に数えられている。


安定成長を続ける国内マーケティングリサーチ業界
3. 業界環境
マーケティングリサーチは、調査するフィールドがインターネット上か現実社会かで、大きくネットリサーチとオフラインリサーチに分けられる。また、調査方法によって、パネルリサーチとアドホックリサーチに分けられる。パネルリサーチは固定された調査対象者から長期間、定期・定点的にデータを収集する調査である。これに対してアドホックリサーチは、目的に応じてその都度、地域や対象者といった条件を設定して質問票などを設計する単発の調査である。いずれも手間のかかる作業だが、アドホックリサーチの方が案件ごとにカスタマイズする必要があり、なおさら煩雑である。消費の拡大や多様化、企業業績の好調を背景に、国内のマーケティングリサーチ業界は安定した伸びを続けている。

ネットリサーチは、特に2000年以降、インターネットの利用の広がりとともに拡大していった。オフラインリサーチに比べ、調査結果が得られるまでの日数が短い、回答データがデジタル化され加工が容易、印刷や郵送、調査員などの費用が少ない、回答謝礼の削減が可能、数10万人規模のアンケートを短期間で収集できる、レアなターゲットの調査も可能——といった特徴がある。ネットリサーチはスピードやコスト、スケールの点で優れており、このため利用が急速に進んだのである。マーケティングリサーチ業界では、大手企業がこうしたマーケティングリサーチとITソリューションを融合し、マーケティングソリューションへと業容の幅を広げている。ちなみに、マクロミル<3978>(6月決算)、インテージホールディングス<4326>(3月決算)、それに同社(12月決算)の3社が、マーケティングリサーチ業界の大手上場企業として他を圧倒している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《ST》

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